4話
「最初に紫芋のスライスしたものからいただきますね……
パリッ! こ、これは⁉︎ ……塩しか使っていないはずなのに、ほんのりとした甘みと紫芋のコクがこの一枚に凝縮され、高温の油で揚げたことによりパリッとした食感が癖になる、うまい……。さらに、口当たりが軽やかなため、ついつい手を伸ばしてしまう、まさに魅惑の食べ物……」
「お気に召していただけましたか? 今のは紫芋のチップスと言います」
「はい、とても美味しいです! ふんだんなスパイスを使わなくても深みのある味は出せるのですね……。この間のパン粥を自分でも食べたのですが、美味しくて、すぐに全て食べてしまいました! ……はっ! ついつい興奮してしまいました。気を取り直して、次は白芋のくし切りしたものをいただきますね」
「はい、召し上がれ」
「……! うまい! 先ほどのより大きく切った白芋を小麦粉でまぶしただけでここまで美味しくなるとは⁉︎ 外はサクッと中はホクッとしており、塩を振りかけたことにより油がしつこくならず、白芋の甘みが引き立てられている‼︎ しかも、先ほどの薄いものよりやや腹が膨れるので小腹が空いている時に食べたい一品‼︎ 先ほどのものより私はこちらの方が好みです‼︎ 普段は焼くことしかしておらず、油で揚げるなんて考えたこともなかったです‼︎」
「そうね……この世界は食べ物をあげることはしないものね。これは素揚げというもので名前はそうね……揚げ芋よ」
「素揚げに、揚げ芋……他の食材でも応用できそうですね……」
「えぇ、できるわよ。ただし合わないものもあるからね」
「はい、試してみたいですね……。最後にこの”ぽたーじゅ”をいただきます」
「えぇ、もしかしたら味が薄く感じるかもしれないけどどうぞ」
「…………このポタージュは確かに味が優しめです……が、しかし! 優しい味の中にある白芋の甘みや旨みを塩や胡椒で一段、引き立てておりとても落ち着く味ですね。飲んだ後はホッと一息つける一品です! 食事中に飲んだら、その後の料理がより一層おいしくなりそうです」
「……私の料理は気に入っていただけましたか?」
「……はい。正直、私が料理長なんで烏滸がましく、お嬢様の弟子になりたいくらいです。私には揚げたり、野菜を漉したらスープになるなど思いつきもしませんでした。お嬢様には是非、新しい料理の指導者になって欲しいです……」
「……私は、指導者になれる器はしておりません……が、お手伝いすることはできるわ。みんなで一緒にやりましょう?」
「えぇ、初めはそれでいいです‼︎ お嬢様、この料理達を他の者達にも食べさせてもいいでしょうか⁉︎」
「えぇ、そのために多く作ったのよ。食べてちょうだい」
「ありがとうございます! ……ほら、お前達‼︎ お嬢様がくださった料理だ‼︎ 食ってみろ‼︎」
さて、私は自分用に取り分けたものを食べましょう……
「……うま‼︎」
「初めての食感だ‼︎」
「すごい、手が止まらないぞ‼︎」
「このスープも胃に染み渡る優しい味をしてる‼︎ いつもの薄味のスープとは何もかもが違う‼︎ 旨味や甘みを感じることができる⁉︎」
「なんだこれ⁉︎ 外はサクッと中はホクッと‼︎ 初めての食感だ‼︎」
私はみんなの興奮した様子を横目に自分の作った料理達を食べる――うん、チップスは少し分厚いけどパリッと、甘さを仄かに感じさせる塩味の効いたお菓子になってるね。
次はポテトフライね。こっちはケチャップとマヨネーズが欲しいな。それか、粉末のコンソメとかのり塩とか……要改良ね。
最後にポタージュは……と。うん、物足りない。やっぱり白芋だけじゃ、野菜の旨みや甘さが足りないし、舌触りも滑らかじゃないね。玉ねぎに似たものがあれば良かったんだけど、今回は芋しかなかったからね、次回再チャレンジ。あとはブレンダーが欲しいなぁ……。
「「「お嬢様、ご馳走様でした‼︎」」」
どうやら私が食べている間に料理人達にあげたものは全て食べてしまったらしい。私が食べているやつに目を向ける人達がいる。
「……良かったら、これも食べる?」
「いいんですか⁉︎」
「ありがとうございます‼︎」
みんなが口々にお礼を言いながら私のお皿に手を伸ばしてくる。
「それじゃあ、また作りにくるわね?」
「はい! いつでもどうぞ‼︎」
「また、お待ちしています‼︎」
さて、これからのことを考えなきゃね……。まずはお父様達に相談いたしましょう。




