任務説明
ジブラルタルの街が一目で見渡せる山頂。そこに立つ『天奏』の拠点からそう遠くない所にそれはある。
切り立った崖の縁、、、街と山々の景色が綺麗なコントラストを見せるこの場所には、結界が張られていた。
何者をも彼らを汚すことが無いように。
誰をもシェニーの思い出を汚すことが無いように。
結界に入ってきたシェニーは、そこにある三つの古びた石柱と桜の木を眺めたあと、それに近寄る。
「いくら動物を弾く結界を張ってても、一年たつと、かなり汚れるんだよな」
石柱の埃を払い、溝につまった泥を落として名を見えるようにし、水で清め、回りの草を切り揃えてからやっと、彼女は腰を下ろす。
「一年ぶりだな。お前ら。あっちでも元気にやってるか?まあ、そうだろうと思うが。私もいつも通りだ。つい一昨日、腕のいいやつを見つけたんだ。まだ弱いけどな。いずれは、、、」
喜びと、悲しみを胸に抱き、シェニーは懐かしき者たちと話続けた。
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「それだけじゃない、バカエルフから依頼任務について説明するよう頼まれているんだ。だから、任務を受けてくれないか?」
不機嫌そうな俺を察してシリウスが言葉を足した。
「じゃあ、行きます」
メモ帳、そして借りる手続きをした本をカード化し、外へ出る。
「まあ、実を言うとこのギルド人数が少なくてね。依頼が溜まりがちなんだ」
「はあ、まあそうなんでしょうね。俺まだほとんどギルドメンバーに会ってませんし」
「ああ。それは時間的に、な。今なら多少いると思うぞ」
山を登り、ギルドの受付へ入る。その部屋にあるテーブルは確かにギルドメンバーがたくさん座っているのが分かる。
「シリウスさん?何で部屋入らないんですか?」
「僕は人の注目を浴びるのは好きではない。ましてや多くのギルドメンバーに称賛と尊敬の目で見られるのはごめんだ」
「そう、ですか、、、」
つき放つように言う彼の思考がいまいちわからない。褒められることにトラウマでもあるのだろうか?
「まあとにかく、ここで説明するよ。依頼任務にはランクがあり、ギルドランクと対応しているのは、会員証発行時に説明した通りだね。任務は受付横のボードに貼ってある。そのほとんどが報酬つきのものだ。金のものもあれば、農作物や、魔法薬のものもある。このくらいかな、詳しいことはこれを見てよ」
と、一枚の紙を渡される。(後書き参照)それを読んでから、俺は思いたつ。
「そういえば、ギルドランクの仕組みってどうなってるんですか?」
「ああ、そうだ。それを言おうとしてたんだ。ギルドランクの上昇は任務の受注数と、その成功率から自動で昇格する。こうして名をあげていくと、いずれは個別依頼を受けることができる。個別依頼って言うのは、王家や貴族、大商人の特別依頼だ。困難だが、報酬は高い。じゃあ任務ひとつ、とってこようか」
ボードの前に立つ。出来れば簡単なのがいいが、生活費の関係で、簡単すぎるものはできない。少し考えて1つの依頼を取る。
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ランクD
種類:薬草採集
概要:ジブラルタル近くの山林に生息する
トルクアップル5個~、数によって報酬は増加
報酬:金75G~または魔法薬
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割のいい依頼だと思ったのだが、俺が持ってくるとシリウスは少し困ったように首を傾ける。
「面倒なのを持ってきたね、、、」
「薬草採集って面倒なんですか?」
「低ランク任務のなかでは面倒な部類だな。考えたら分かるだろう、生産職がずぶの素人に薬草をとってきて貰いたいと思うか?ふつう」
「うっ、まあ確かに、、、でも採集に時間をかけたくないのでは?」
俺の言葉にシリウスは苦笑する。
「君ねえ、商業ギルドには採集者っていう職業がある。採集を頼むなら、鑑定系の魔法を持つ彼らの方がよほど効率的だ。だから、冒険者ギルドに頼むような採集は何か面倒事だと思ったほうがいいよ」
「そうなんですか、、、」
だがもう受領してしまった依頼である。今さら断ることもできない。
「仕方ないよ。まあ、頑張って集めてこい。俺は個別依頼を受けてくる、、、ああ、そうだ。ギルドバッジだ。見えるところにつけておけ」
桜の花に天使の輪をかたどったピンバッジ。依頼主に報酬を貰いにいくときなどの簡単な個人証明になるらしい。
言うだけ言ってシリウスは山を下りていってしまった。
俺も、街でないほうの森へと、足を進める。たとえ今の俺に難しい任務でも、絶対に完遂してやる、そう心に決めるしかなかった。
ギルド任務に関する要綱<ギルドメンバー用>
「基本事項」
1、依頼はギルドメンバーのみが受けることができる
2、任務には依頼任務、個別依頼任務、特務任務がある
3、個別依頼でなければ必ず受付横のボードから依頼用紙を取ること
4、任務の成否は必ずギルドへ報告すること
5、任務に失敗した場合報酬の半分の額を依頼主に支払うこと。そのときギルドの保険に加入している場合、罰金額の25%を払うのみでよい(残りはギルドから支払われる)
6、任務の成功率が著しく低い場合、ギルドから除名する場合がある
「依頼任務」
1、ギルドランクと対応しており自らのランクの1つ上まで受けることができる
2、遂行者が承諾した場合に限り、パーティーメンバーやギルドメンバーと共に任務を行うことができるが、事後でもよいのでギルドへ報告すること。またこの場合、報酬は均等に配分すること
「個別依頼任務」
1、ギルドメンバーは個別依頼を受けることができる
2、いかなる理由があってもギルドへ詳細を報告すること
3、失敗した場合、罰金の支払いにはギルドの保険金を使うことはできない
4、犯罪歴があるものからの依頼は受けることができない。
5、犯罪に関わる依頼を受けることはできない
6、犯罪に関わる依頼をそうと知らず受けてしまった場合は、責任をもって犯人を捕まえること。それができない場合ギルドから除名することがある
「特務任務」
1、特務任務は他のギルドと合同で行う
2、特務任務は参加人数の上限を持たず、どのランクでも参加できるが、そのほとんどが大規模なものであるため、自由行動は原則許されない
3、四天や他のギルドの長の指令にしたがって任務が円滑に進むようにすること