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改めて

窓からはいってくる光に、目が覚める。ベッドと、洗面台、机以外には何もない殺風景な部屋。数瞬それを見渡してから、俺は思い出した。


ギルド『天奏』の拠点で、犯罪の疑いをかけられ、朱雀と戦ったこと。勝ちはしたが、譲られた勝ちのようなこと。そして、犯罪の証拠ともなる溜め込んだ水のカードを使ってしまったこと。


じゃあ、ここは牢屋か?でもそれほど悪い環境ではない。ドアに向かう。別に鍵が掛かっていそうではない。


「あ、ちょうど起きましたか」


ドアを開けると目の前に教会のシスターと思われる少女が立っていた。背丈は俺より少し下、朗らかな笑顔を浮かべている。


「ちょうどって、何かあるのか?」

「朱雀様が、あなたに話したいことがあると」


、、、いやな予感しかない。


「わかった。案内してくれないかな。まだここに来たばかりで、わからないんだ」

「そのために朱雀様が私をよこしたんです。行きましょう」


と言って彼女は一歩踏み出した瞬間、自分の修道服に足をひっかけて盛大に転んだ。


大丈夫か、この子?


「いっ行きましょうか」

「そっ、そうだな。何も見なかったことにするよ」


俺がいたのは寮だったらしい。そこから待ち合わせた場所へ向かう途中でふと気づいた。


「そういえば、まだ名前聞いてなかったな」

「カノンです。所属は街の教会ですけど、普段はここにいて、ギルドメンバーの治療とか、雑用をしてます」

「そうか、シスターだし、やっぱり魔法系統は治癒なのか」


と言ったのだが、カノンは少し困った顔をする。


「ええと、私は確かに治療の魔法を使いますけど、スキルによる治療なんですよね。通常魔法はどれも苦手で。見いだされたスキルが治療できる能力だったんです」


そして彼女は続ける。


「運悪いですよね。せっかくのスキルも治癒魔法とそう変わらない」

「俺は、そうは思わないけど。治療は重要な仕事だ。人々から感謝されるいい仕事だと思うよ。あと、これは可能性に過ぎないけど、スキルは一見わからない能力のことがある。俺もそうだった。君のも、ただの治癒じゃないかもしれない」


そう言っているうちに、目的地にたどり着いた。豪華ではないが、大きめな木造の家。


「ここは?」

「朱雀様の家です」


待っていたかのように扉が開き、朱雀が現れる。五分袖くらいの服にスカートだかズボンだかわからないの(あとで着物、そのなかでも剣道着というらしいと知った)を着て、腰に刀を差している。


「来たか。さあ、入れ」


殺気こそ無いものの相変わらずの高圧的な態度。ただ、前よりも怖くはない。


「何をしている、朱雀。そんな高圧的でなくてもいいだろう」

「うるせえ、いちいち言うなクソメガネ」

「これは見苦しい所を見せてしまったね、客人。僕は四天の称号、、、」

「なんか反応しろ!殺すぞ!」


醜い言い争いがはじまる。

どう反応すればいいんだこれ、、、?

朱雀が叫ぶ。


「お前らもなんか言え!」

「とりあえず、、、中に入れて下さい」


----------


「まずは自己紹介からだ。僕はシリウス。このギルド最強、四天が一角、青龍を務めている」

「そして知っていると思うが、同じく四天が一角、朱雀のシェニーだ」


全く分かっていなかったが、朱雀は名前ではなく称号だったのか、と理解する。


「俺はエバンです。ところで、話ってもしかして、、、事件のことですか?」

「そうだ。彼女の思い違いで君を犯人と思い、迷惑をかけたこと、僕からも謝らせてくれ、エバン君。すまなかった」


え、、、なんて?案内されている間どう弁明しようか考えていたのだが、完全に出鼻をくじかれた。


「え、っと、ありがとうございます。でもなんで急に?」

「昨日の夜、君の無罪に関する証拠と、水量低下の原因となった出来事が明らかになったんだよ。本当の原因は、川底で地下空洞が陥没したことだった。これについては今も調査中だ。そして君の無罪はある宮廷魔法使い候補生が証明してくれた。君の師匠らしいな。模擬戦をしてみたが才女だな、あれは·····」


最後は独り言になっていったシリウスの言葉を聴きながら俺は安堵していた。ソフィアが何とかしてくれたらしい。てか、師匠てなんだよ。自分で言うなよ。


シェニーが後を継ぐ。

「私もすまなかったな。さあ、改めてようこそ、私たちのギルド『天奏』へ」

いつも読んでいただきありがとうございます。忙しくなってきたので7~8月は更新ペースが遅くなりそうです。これからもよろしくお願いします。

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