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スキル<無限収集>

スキル選定試験、前の人の番が終わる。呼吸を整えて水晶の前に立つ。


、、、えぇ、なにこれ、というのが最初の感想だった。

 水晶に映る俺は、荷馬車で運ぶような荷物を手のひらサイズのカードに変え、ポケットにしまいこんでいた。そしてそれを取り出し、「解除」というとそれがもとに戻る。


水晶を離れ、少し考える。これ、確かにめっちゃ便利なんだけど、、、それだけじゃね?


もうちょっと戦闘向きの能力を期待していただけにショック気味だ。


「エバン!大広間で写真撮ってくれるらしいよ、撮ろうよ!」


と、ソフィアが上機嫌に駆け寄ってくる。


「ソフィア、その顔じゃ申し分ないスキルが見つかったっぽいな」

「そうだよー!じゃ、沈黙は肯定ってことで、大広間まで、ひとっ飛び!」

「えっ、ちょっとま、、、うあぁぁぁ!」


ソフィアは俺を担いだまま講堂の窓から飛び出し、そのまま空を飛んで大広間に着地する。


「むちゃいえ!めっちゃ怖かったぞ!」

「えー、いいじゃんいいじゃん。早く着いたから順番待ちの列もほとんど無いし!」


「ハイ、チーズ」

ちょっと困り顔ではにかんでいる俺の隣で満面の笑みを浮かべるソフィアの写真。ソフィアはそれすらほとんど見ず上機嫌のまま、俺に言う。


「そうそう!大広間に来たのはこれだけじゃないんだよね。ちょっと付き合ってくれない?ねぇ!」


ゲッ、マジか、期待のこもる目で見られ俺は思う。

 あー、、、これダメなやつだ。完全にギア入ってる。 これ断っちゃ終わるな。死ぬより痛い目にあわされる、、、


「ねぇ、協力してくれない?」


ソフィアが俺の首根っこを掴んで空に飛び上がる。


「こっから落としてもいいんだよ?」

「わかったよ、わかったから降ろして!」


ソフィアの言う通り10歩の距離で向かい合う。


「ファイアボール!」

火球が彼女に飛んでゆく。


「反発」


え? 状況を理解できない俺に火球が迫りくる。

とっさに防御魔法を展開し防ぎきったが、下手に気を抜けば教会送りになるところだった。


「今のがソフィアのスキルか、、、」

「そう!反発のエネルギーを操り、空も飛べれば魔法も跳ね返せる優れものだよ!」


いや、優れものはおろかチートだと思うんだけど、、、


「エバンは?どんなスキルが見つかったの?」

「俺は、、、俺はここじゃ見せれないよ。紹介出来るようないい能力じゃない」

「えー、見せてよーじれったいな」


仕方なく俺は広間の端にあった甲冑をカード化し、ポケットに入れる。


「なるほど、、、」


ソフィアもそう言ってくれるだけでなにも感想はないみたいだ。


「それだけかよ、マジでカスじゃんw、魔法使いより荷物持ちの方が向いてるかもw」


どこからともなく広間にいる人の中からそんな声が聞こえ、嘲るような笑い声が俺の耳に入ってくる。


 恥ずかしさと、こんなスキルを引き当てた運の無さで、俺は真っ赤になった顔のまま、大広間を逃げるように出ていった。


はぁ、と、学校裏の山小屋でため息をつく。適材適所で考えるなら、俺がギルドに入ったとしてあてがわれるのは荷物持ちだろう。


 どうしようか、家を出たとしてたいした収入が得られるとは思えない。


「エバン!おーい!」

「ソフィア?なに、、、?」


山小屋のドア前にソフィアが突っ立っていた。


「何でそんなしょげてるのよ、あなたのスキル相当チートよ」

「荷物持ちの面ではだろ」

「エバンは自己肯定感が低いなぁ。戦闘面でも強いよあれ」


へ? どういうことだ?

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