ギフテッド
第15話 ギフテッド
ユキメの目が蒼く光る。
「スキル<堕天使の祝福>」
魔法を撃とうと身構えていた魔族の目が、同調するように青く光る。その直後、彼らは次々と悲鳴をあげて倒れていった。
サリエルのギフト、それは天からのギフテッド。その目は全てを見通す。
さっきは視界に入った特定の対象に、一度に魔法をかけた。彼女のスキルのなかに内蔵してある魔法。かけた相手の五感を奪い、それを支配する。
ユキメは考える。いままで自分は道具としてしかみられていなかった。せっかく優しさをかけてくれる人を見つけた。生まれて初めて受けたそれは、憐憫かもしれないけど、ひどく暖かかった。
ユキメは目に魔力を足し、幻覚魔法をかける。
人の心は脆い。五感を支配された魔族の精神は、それが見せる幻覚の前に音を立てて崩れていった。
廃人となった彼らをユキメが軽蔑するように見て、終わったよ。そう言いたげにエバンを見つめると、彼女は地面に倒れこんだ。
「ユキメ!大丈夫か?」
ユキメを抱き上げた俺の声に彼女は目をあける。
「、、、だいじょうぶ。これはすきるのだいしょう。ひとめみただけであいてをころせるから」
「ん?、、、スキル?まさかお前人間なのか?」
シェニーが驚くように呟く。頷いたユキメを見て、俺は納得する。<穢れた血>とはそういうことなのだろう、ニネヴェが言っていたのは。
そう言えばシリウスさんは大丈夫だろうか?そう思ったとき、俺は足に染みる特異な感覚に気づいた。夜で周囲は見えないがこれは間違いなく、、、
「雪!?嘘だ、今は春先なのに、、、」
空気が心なしか冷たい。
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烈火のごとく藪から飛び出してきたニネヴェがシリウスに拳を振る。だが彼は何かを察して飛び下がった。
「そんなに焦るな。僕に近づき過ぎると凍死するぞ」
どういうわけか振った右腕が凍りついている。しかしそれで止まるニネヴェではない。僅かに力を入れただけで氷は砕け、無傷の腕が現れる。
「闘気<蒼燐火>」
彼の四肢が青白く薄い光を放つ。
「闘気か。全身に魔力を染み込ませ、基礎身体能力と耐久をあげる技、、、古いな」
シリウスは杖を構えた。両手持ちの長い杖。先端には透き通った水晶がはめ込まれている。
一瞬の静寂の後、それは始まった。木々を足場に、縦横無尽に駆け回りながらニネヴェは彼に迫る。シリウスは先のとがった氷を次々に作り、射出する。
迫ってくる氷を打ち砕かんとしたニネヴェは手を引っ込める。
こいつ、、、!打ち出す氷一つ一つに超冷却を付与している!回避するしか策がない!
一度距離を取ったニネヴェは新たな技を出す。
「闘気<白虎掌>!」
魔力の塊が飛んでいき、氷塊を次々砕き割る。そのうちひとつはシリウスの頬を掠めた。
その一瞬の隙にニネヴェは飛び込んでくる。
拳が、飛ぶ。




