作戦
第14話 作戦
シェニーの頭に、彼の姿が思い浮かぶ。彼ならどうしただろうか。きっとすぐに、首輪を外してあげただろう。
僕は優しい者でありたい。人間とか、魔族とか関係なく、困っている人を、辛い思いをしている人を、助けたいんだ。こう言うと魔族との戦争に参加しているのが矛盾に思えるだろうけど。ホントは話し合いで解決したい。
そう彼が言ったのはいつだろうか。まさにこんな場ではなかったか。助けを求める魔族、切り捨てた自分。
気づけばユキメの首輪に手を伸ばしていた。
「シェニーさん?なにしようとして、、、」
エバンが困惑した表情を浮かべる。
、、、分からない。この人が。エバンは本気でそう思った。先程までの反対が嘘のように、彼女は素早くユキメの首輪を解呪していく。
首輪が落ち、自由になったユキメから決意が感じられた。目を合わせると、目の前にホログラムのようなものが現れ、ユキメの作戦が絵で示される。不思議な魔法だ。
「この通りに動けと?押し包んで殺す気か」
シェニーの不信じみた言葉が出てくる。確かにシェニーの言う通り悪く考えればそうもとれるだろう。それでもやっぱり、俺にはユキメが裏切る気がしない。
「シェニーさん、俺は彼女を信じてるんです、一旦言う通りに動いてみませんか」
「もし彼女が私たちを殺すつもりなら?」
「そんなことはさせません」
「お前なぁ、、、」
「お願いしますっ!」
「、、、まだこいつを信用した訳じゃねえ。妙なそぶりをしたら殺すが、いまのところは付き合ってやる」
取り敢えずユキメの作戦通りに動く。裏切りはその時考えるしかない。
俺とシェニー、ユキメが別々の方向に走る。
右へ折れたエバンはすぐに戦闘になった。ポケットのカードを惜しげもなく使い、魔法を迎撃する。少し逃げ、また撃つ。耐えて、耐えて、解放。炎の矢が魔族たちに飛ぶ。15人の魔族を相手にしながら、彼は所定の場所に移動しつつあった。
中央に当たったシェニーもまた、10人の精鋭魔族と戦闘になった。刀を包む炎は時にそれが飛ぶ斬撃となり、刀一つでありながら相手に可変的な戦闘を強いる。魔族たちは気づいていなかった。じりじりとシェニーが後退しているのは、彼らの作戦に嵌まりつつあるのではなく、圧倒的な実力差で動きをコントロールされているということに。
左の魔族を相手取ったユキメは、本来教えられていない筈の、魔法を使い戦っていた。ブロック状で半透明の塊を何個も打ち出し、それが彼女の思いどおりに曲線を描いて魔族たちに降りかかる。
後退していく3人は魔族の包囲網に押され、ついには互いの背がぶつかり合うまでになった。魔族たちがほくそ笑む、だがエバンたち3人もさして焦りは見えない。
その時、ユキメが空に飛び上がった。
「撃ち落とせ!」
魔族が魔法を撃つ姿勢を見せる。エバンとシェニーは計画どおり地に伏せた。
ユキメの目が蒼く光った。




