幼馴染はストーカーロリ
ある日、僕は不思議な箱に出会った。それは白くて不思議な装飾された箱。
それを開けると世界一変して、いつの間にか室内にいた。
周りを見れば本棚があり、一冊本を取るとそこには未知の文字が書かれているのと同時に大量の絵が書かれていた。
そこに描かれいる光景は、今目の前で起こっているのだと錯覚してしまいそうなほど、派手で繊細で惹きつけられた。しかも知らないはずの文字なのに不思議と読める。
僕はまた一冊、また一冊と読んでいった。僕はその中に登場する人物達に憧れはじめ、なりたいと思った。
ヒーロー、ダークヒーロー、トリックスターその他。
僕は今まで無かった目標を——進むべき道を、手に入れた。
僕は山の中を走っていた。それは紫の追跡者から逃げる為である。
さて現状を再確認しよう。僕の名前リアン・ロゼリド十二歳。
ストーカー気質な幼馴染みの紫の追跡者ことメル・カダルから絶賛逃走中である。
念の為に言っておく。彼女が惚れているのは僕じゃない。イケメン以外興味がないから。
そんな彼女のストーカーキングを手伝わされるのは僕だ。その時は、お菓子を餌に三回ストーカー行為手伝わせたのだ。許せん。
僕の現状のミッションはここからかの幼馴染みに見つからず、追いつかれずに僕の秘密基地に着くことである。
昨日僕の家に来るといっていたし、一応妹に時間稼ぎを任せたがどれだけ持つか。
しかし、いくらあの幼馴染の足が早くてもしばらくは来れないはずだ。大人で走って一時間かかる距離なのだから。絶対来れない。
あ、今フラグが立ったかもしれない。いや立ったな。後ろの方からドドドッと音がする。
後ろの方を見れば土煙を巻き上げて猛スピードで走ってくるロリがいた。それを言ったら僕はショタなんだけどね。
僕は夢かと思い一旦深呼吸、(もちろん走りながら)後ろを見れば案の定の煙しかもそのロリの正体が明らかになる。
紫色の髪でツインテールをしている、赤い瞳が特徴のストーカー気質な幼馴染みメル・カダルだ。
現実逃避している場合ではなかった。
「フラグからの登場が速すぎるって!」
「リアアアアアアアアアン!!」
ストーカーロリの咆哮が森の中に響く。
僕は走るスピードを上げて逃げる。捕まればストーキングの手伝いをさせられる。
今時そんなロリがいてたまるかって話なんだけど、実際いるから後ろに。
こうして、僕と奴との追いかけっこが始まった。
森の中を猿のように木を伝い、ターザンのようにツタにまたがるが、途中でツタが切れ空を飛んだ。そのまま地面にぶつかる……と思ったがちょうどよく巨大なキノコがクッションになってくれた。
僕は無事着地してまた走り出す。しばらく走った後、足跡が聞こえないことに気が付いた。後ろを見れば紫の追跡者はいない。
「……撒けたっぽいね」
そう思って安堵するが、間違いだった。空から何かが降ってくる。
それは紫のロリだった
「あ、これ全然撒けてない!」
僕は彼女の近くの巨大なキノコをクッションにして着地した。僕は同時にすぐ走りだした。
「僕を追いかけるより他の男の人を追いかけた方がいいと思うけど!?」
「あんたがいないと近づくこともできないのよ!」
「知らないよ! イケメンを見るたびストーカーするのが悪い!」
「とにかくあんたも手伝いなさい!」
「断る! 紫の犬なんて二つ名がついたらどうしてくれるんだ!」
「どうしてみんな紫を強調するのよ!」
こんな調子でこの追いかけっこは夕方まで続いた。
僕とメルは走っているうちに山を抜けていた。
その後、街の近くの橋で同時に倒れた。互いにもう動けない。
息を切らしながら僕はメルに話しかける。
「メル……ホント……毎回思うけど、アスリート、に向いて、るよ」
「あす、りーと?って何よ。あんたのせいで、予定……狂、たじゃない」
「僕もなんだけど?」
しばらく倒れていたおかげでようやく体が動けるようになった。メルは僕より早くに起き上がり手を差し出してきた。
「今日はこのまま解散。明日は手伝いなさいよ」
「明後日にして」
流石に明日は秘密基地に行きたい
「ダメ明日」
「いやでも……」
「明日ね」
「……明日ねうん」
すると、彼女はつい数時間前に見せたような迫力はなく、年相応の無邪気な笑顔を見せた。誠に遺憾である。
それはそれとして、僕は彼女のストーキングの手伝いをすることになってしまいとても憂鬱だ。
一年ぶりの復活、どうも霊月です!
リアルでいろいろあっていつの間にか一年過ぎていました!
これからまたボチボチ出していくので、
来年もよろしくお願いしますm(__)m