被検体
僕は呼吸することを強いられている。人間が生きる上で行う呼吸とは、全然違う。
あくまでも、無理やりに必要以上呼吸を強制される。
それは、とある白い空間(場所が特定できない)で行われ、拷問とほぼ同様の扱いだった。
本当にどういう原理かは分からないが、この空間は必要以上に空気(?)が多い。生憎僕には専門的知識がないから、そう表現することしかできない。
この空間自体が、独立した異界だとしたら....僕は、とんでもない人体実験の真っ最中なのかもしれない。
耐えなければ、死ぬだけ。
服従するしかない。
生きたいという生存本能が、苦しみや痛みよりも勝った。なんとか、自殺しようとする衝動に自制が働いた。
だからまだ、こうやって命がある。自殺せずに、かろうじて生き残る。
でも一度呼吸をすれば、噎せかえるほど空気が多すぎて────嫌な音とともに、身体のどこかが壊される感覚が迫る。
生きていることが奇跡と云っていい。
逆にまだ生きていることが、これ以上ない不運だとも云える。
後どれぐらい耐えれるだろう?
後どれぐらい生きればいいだろう?
......正常な内に、一刻でも早く、ただただ僕は誰かに助けてほしいと願う。