この国の法律ではちゃんと裁けない! それなら俺が裁いてやるよ。
“俺がお前を裁いてやるよ。”
突然! 見知らぬ男にそう言われた若い男は殺される。
俺の名は、三河屋相賀都、37歳、独身。
仕事は? “裁き屋”とでも言っておこう。
俺はこの国の法律では裁けない犯罪者を裁こうと思っている!
被害者が加害者のように扱われるこの国でどう裁くのか?
国が犯罪者を裁けないのなら、俺が裁いてやるしかない!
俺も3年前までは、ごく普通のサラリーマンで妻子が居た。
でも? 俺が仕事中に妻とまだ幼い子供が居た俺の家に見知ら男が
入ってきて俺の妻と子供を殺したんだ。
妻は犯人に凄く抵抗していたのか? 妻の爪に犯人の皮膚の一部が
付着していた。
まだ1歳になったばかりの息子はナイフのような刃物で一刺しで亡く
なっていたのを俺が発見する。
そこに、俺が仕事から帰って来る!
部屋は真っ暗で、人の気配がない事に俺は気づいた。
俺は何かがおかしいと思い、家の中に恐る恐る入ったんだ。
そこには、妻と子供が血まみれになって死んでいる事に初めて気づいた。
その後、第一発見者の俺が一番に警察に疑われ“あたかも俺が犯罪者”
のような扱いを警察から受ける。
『最近、奥さんと喧嘩は?』
『してません。』
『職場で若い女性社員と仲良くお前が二人で話していたと職場の人間が
話していたぞ!』
『ただの職場の後輩です。』
『飲み会でも、別の若い女性社員と仲良くしていたと言うじゃないか。』
『うちの会社は皆、男女関係なく仲がいいんです。』
『近所でも、最近お前が大声を出していたと聞いてるんだぞ!』
『・・・な、なんで俺なんですか? 俺は愛する妻と子供を同時に
失ったんですよ。』
『今日は、ここまでにしよう!』
『・・・わ、分かりました。』
・・・警察官の俺を見る目は、“完全に犯罪者を見る目だった。”
俺が犯人だと警察は決めつけている!
調べれば分かる話だ! 俺は何もやってない!
警察は犯人像が全く分からないのか? 身近な人物、俺を疑っている。
何か理由を付けて警察は俺を犯人にしたかったらしい。
でも? “俺はやっていない!”
証拠もないし、なにしろ妻と子供を殺す動機もない!
俺は直ぐに、“犯人”から外される。
当たり前の話だが、警察は俺を犯人に仕立てようとしていたんだ!
・・・だから俺は妻と子供を殺した犯人を俺の手で裁くと決めた!
警察は無能だ! 3年経った今でも犯人を捕まえられないでいる。
凶器も見つからず、犯人像も分からない!
それなら俺が警察より先に見つけて、俺の手で裁く!
俺は昔からの友人で、今は探偵をしている男に犯人を捜すように
依頼をしていた。
有能な俺の友人は、犯人を絞り込んでいた。
俺の妻と子供を殺した犯人を、もうじき見つけられる。
【プルルルル プルルルル プルルルル】
『はい!』
『とうとう、“お前の奥さんと子供を殺した犯人が見つかった。”』
『ありがとう!』
『オレの仕事はこれで終わりだな。』
『あぁ、今まで本当にありがとう。』
『後はお前が好きなようにすればいい!』
『あぁ、そうするつもりだよ。』
『じゃあな。』
『あぁ。』
俺は探偵の彼から犯人の住所を聞きだし、犯人の家に向かう。
俺はコイツだけは絶対に許さない!
“俺の大切な家族を奪った犯人。”
俺の手でコイツを裁いてやる!
【ピーポーン】
『はーい! どなたですか?』
『宅急便です。』
『少し待ってくださいね。』
女性の声だった。
俺は小さな段ボール箱を手で持って犯人の部屋の前に着く。
『ありがとうございます。』
【ドーン】
『急になんなんですか?』
『オマエか? 見沢俊樹って言う男は?』
『あぁ、おれだ!』
『“オマエが3年前、俺の妻と子供を殺した犯人だな!”』
『急に入ってきて何を言うんですか!』
『“おれだよ、おれがアンタの妻と子供を殺した犯人だ!”』
『えぇ!?』
『オマエにも愛する妻と子供が居るんだろう。』
『“おれに人の心はない! 人を平気で殺せる男が誰かを愛せる訳が
ないだろう。”』
『貴方!』
『すまん、おれはこういう男なんだ!』
『俺がオマエを裁きに来た!』
『・・・何時か? こういう日が来ると思っていたよ。』
『やめて! 彼があなたの奥さんと子供を殺した犯人かもしれない!
それでも今は、“私と子供にとって大切な人なの!”』
『・・・すまない奥さん、俺もここはもう引けないんだ!
俺の3年間の苦しみは誰にも分からない!』
『やるならやれよ。』
『そうするよ。』
【グサッ】
【キャー―――――――――アアアアア!!!】
『奥さん、すまない! これでおしまいだ!』
『・・・・・・』
『警察に届けたければ届ければいい! 俺はいつ捕まっても
もう失うモノがないんだ! 奥さんの好きなようにしてくれ!』
『・・・・・・』
・・・次の日。
朝起きてテレビをつけても、俺が殺したあの男のニュースは出ていなかった。
未だにどういうことなのか分からない!
これは俺の想像だが、“アイツの奥さんが警察に連絡していないのだろう。”
遺体を何処かに隠したか? 埋めたか?
俺にも分からない。
ただ俺は今でも“犯罪を犯した奴を警察より先に見つけて俺が裁いている!”
この国の法律では“犯罪者を裁けない!”
大きな罪を犯した犯罪者には、大きな罰を受けてもらわないとな!
国が裁けないのなら俺が裁くよ。
・・・そう、俺が決めたんだ!
最後まで読んでいただいてありがとうございます。




