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第61話 彼女の正体

 その後何とかあのミーネとデュモスを説得してここから裏の世界に帰ってもらった。

 無論ジグラードへと行くことはないだろうから心配はない、あそこへの鍵は私が持っているからな。


 そしてビーカーに蓋をしてこの広間の有様を見る。デュモスが余程暴れ回ったのだろう、黄金の小山も数々の財宝もみんな燃えてしまった。

 まああのイケオジ達を人間に戻す事が果たして可能だったのかは私にも分からないしな。


 私に出来るのはあの黄金像に変えられた人間達を解放する事だけだ。

 私はこの黄金の国シャードル全域に向かって魔法を発動する。


「…………ハァッ!」


 私の右手から放たれた赤い光がこの広間の黄金に当たる、すると砂金の山や黄金像が光へと代わり消えていく。

 この魔法はモンスターの扱う呪いや特殊能力で受けた効果を無効化する魔法だ。


 果てしない時を存在した黄金像や砂金の小山は元は人間。それが永遠から解き放たれれば、ただその存在は光となって消えていくのみだ。

 これが救いになるのかは私にも分からない、しかし魂と呼ばれる物は確かに存在する。


 その魂が解放され、帰るべき場所へと帰る事を私は知っていた。

 このシャードルにある全ての黄金は消える、本来はとっくの昔に滅んでいた国が少しでも正しい形で終われるのなら、それでいい。


 私は全ての黄金が消えるのを見届けた。後にはこの国には何も残りはしなかった。アラビアンな宮殿が並ぶがその中には朽ちてしまった家具の類いしかない。


 がらんどうだな。

「さてっそれじゃあこの異空間を破壊して外に出ますか」


 私が左足を上げて地面に落とす、すると地面に大きなヒビが入りこの異空間がガラスが割れるような音を立てて砕け散った。

 異空間は消滅し、気がつけば私は元の地下へと戻って来ていた。


 さてっ、後はマリスをここに呼んで地上に向かうか。それとも地上に出てからジグラードまで呼びに行くべきか……。


「う~ん、けどその前にまだ…やるべき事がありそうだ」

 私は天井を見る、するとその天井が崩れてきた。


 地下が崩落する、私はそれに巻き込まれた。



 ◇◇◇◇◇◇



 場所はザザム荒野、そこに一人の女が立っていた。

 赤色の髪をポニーテールにしたオレンジ色の瞳を持つ二十歳くらいの女性だった。


 女性がブツブツと何かを呟き、右手を地面に向ける。すると地面が揺れた、途端に地面の一部が砂へと変化し地盤が崩落する。


 女性が立っていた所以外が突然砂漠へと姿を変えていった。これの影響で地下の施設は崩落する事になったのだ。


「………アポート」

 女性が更に魔法を発動させる。すると宙に突然ビーカーが現れた、中には黄金色に輝くコブラが入っている。


 女性は微かに微笑む、その女性の背後にまた一人の女性が現れた。黒装束に身を包み肩と胸に革製の肩当てと胸当てを装備し足には地下足袋じかたびに似た物をはいていた。


 フムフム、こちらも中々にスタイルが良い。


「ミリステア様、このヘビが例の物なんですか?」

「……ええっこれがこの地で大罪を犯した者、ようやく手にする事が出来ました」


 どうやら彼女の目的はあの黄金女王だったようだ、可愛い顔して取る手段が怖いね。やっぱり女の人は怖い生き物である。


「ミリステア様、それでは国へ─」

「その前にそこに隠れている方、出て来なさい」


 おや?バレてしまった、クノイチもどきにはバレなかったのに。ミリア…いや。

「ミリステアさんが本名なんですか? ミリアさん」


 現れたのは当然私だ。あんな天井が抜けたくらいでかすり傷すらつかないよ。魔法で地上に出てきて魔法で姿を隠して地下を破壊した犯人を捜していたのだ。


 そこにミリアが現れたのである。

 う~んまさかこのタイミングで現れるとは、彼女が今回の騒動を裏で糸を引いていたのか?


「アークさん? まさか貴方がここに現れるとは思いませんでした」

「……もしや、あの領主に不老不死なんてデタラメを吹き込んだのって貴女だったりします?」


「…………」

 私の言葉に無言となるミリア、いやっミリステア。クノイチもどきは無言で腰の短刀を抜いた。

 ここでやるの? 別に戦っても良いけど、殆ど無傷の私に二人でとか(笑)となってしまうよ。


「ミリステア様、口を封じます」

「………待ちなさい」


「私はどちらでも構いませんよ?」

「その余裕、マリスさんの身が危険だとは思っていないんですね? この下で何が起きているのかを理解していないのですか?」


「地下? ああっシャードルとかいう国の事ですか、それならそのガラス瓶の中身を見れば分かるでしょう? もちろんマリスさんは安全な場所にいますので心配なんてしてませんよ?」


 こちらの態度と話を聞いたミリステア、こちらを真っ直ぐ見つめて口を開く。

「まさか、このヘビは貴方が?」


「………」


「フッここでの目的は達しました、私達はこれで失礼しますね」


 こちらの無言をどう取ったのか知らないが、ミリステアは引くことを選んだ。魔法を発動して私の視界から消える。

 まああのコブラ女王を入れたビーカー、魔法で封じてあるから開けるのはかなり大変だろうから頑張ってとエールを送る。


 マリスにしても目的を達成したのなら身の安全は大丈夫だろう、領主を失ったハーマストは大変かも知れなけどドラゴンの私には関係ないしな。


 これにて一件落着って事で……。


「すませるのはまだ速いですよね」

 私の目は千里眼的な能力も持っている、転移して逃げても普通に追えるんだこれがさ…。

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