第60話 不老不死の正体
不味いな。アレだけ格好つけて出て行って来てみるとデュモス無双でボス戦が終わっていたとかさ、それはそれで困るよ。
だって私がこれまでした自分の方が本当は遥かに強いんですムーブ的なのが台無しだ、むしろアレだけ実力を小出しにしといて最後まで活躍しないキャラとか……私ならなんだこのクソ野郎はってなる。
なんでそこにいるのか意味が分からんってなる。
どうしょうかな?
…………よしっ。
「デュモスさん、よくやってくれました。そこまでで良いですよ……」
私の言葉を聞いたデュモス、巨人から元の人間サイズに戻ってこちらにジャンプで移動してきた。
「なっコイツは……災禍の巨人!?」
「なんですかそれ?」
災禍の巨人? 知らない、デュモスの二つ名的なヤツだろうか。なんか物騒な名前である。
「知らないの!? かつて裏の世界に現れて暴れ回った怪物よ、何故か表の世界で消息を絶ったって聞いたけど……なんでここに?」
「あ~~成る程、多分表の世界に来たのは私にケンカ売る為ですよ。私が寝ていたらいきなり炎で攻撃してきましたから」
いきなりのファイアーボールに痛くも熱くもなかったが普通起こされてムカついた記憶がある。
「あの時は少し機嫌が悪くて……片手で潰してしまったんですよね~、すみませんねデュモスさん」
「あっアンタって……」
デュモスは頭を左右に振る、気にするなって事だろう。多分ね、或いは私の顔色を窺っているだけかも知れないけどさ。
よしっさっき考えた作戦を実行する。
「デュモスさん、貴方は十分な働きをしてくれました。なので貴方には自由を与えたいと思います」
デュモスが驚いている、声は出さないけど身振り手振りでなんとなく分かるのだ。
「ハァッ!? こんなの勝手に自由にされても困るわよ!」
「そうですか? ならデュモスさんの面倒を貴方の国で見ますか?」
「なんでそんな話になるのよ!」
「デュモスさんの実力は本物ですので。このまま腐らせるのは惜しいじゃないですか、それに彼は長年封じられていて今の世間を知らないですしね」
私はデュモスの方を向き直る。
「デュモスさん、私は貴方を自由にすると言いましたが、また好き勝手に暴れると言うのなら話は別です。私の視界でもしもまたそんな真似をすれば……分かりますよね?」
デュモスは凄い勢いで頭を上下に振る。まあ多分心配は要らないだろう。
「それではこちらの竜の王女様について行って下さい。とりあえず働き口を見つけて生活基盤を頑張って固める事をオススメしますよ」
先ずは生活基盤をなんとかする、それが私が読んだ異世界転移系のラノベのお約束である。
生活さえなんとかなれば後はどうとでもなるし、お金をさえちゃんと稼げれば余程の愚か者じゃなければつまらない犯罪行為なんてしないと思うのだ。
デュモスはドラプリの方を見る。どうやら話は理解した様である。
「………ハァッ分かったわよ、デュモス。貴方の身柄はアタシが預かるわ、悪いようにはしないから暴れたりしないでよね」
デュモスは頷く、それを確認したドラプリは私の方を見る。
「それとアタシの名前はエルドミーネ、ミーネと呼んで」
ドラプリ改めミーネね。
「分かりました、ミーネさん」
「それじゃあ引き上げるのよね?」
「少し待っていて下さい」
ミーネに待ってもらい私は魔法を発動する、すると目の前で溶けかかっている黄金の大蛇の残骸から小さな何かが引っ張り出されてきた。
それをアイテムボックスから取り出した空のビーカーの中に入れる。それは黄金の小さな蛇だった。
「ん?なんなのよこれ……」
「これが禁忌の錬金術の正体ですよ」
ビーカーの中のヘビは目を回している、これねっ実はあの黄金女王様のなのである。彼女の本体だ。
このヘビはモンスター、ゴールデンコブラ。
自身の魔力の支配下にある黄金を自由に操る能力を持っているのだ、それであの大きな大蛇とか女王様の姿になっていたのだ。そして生き物を黄金に変えてその生き物の生気を吸収して生きるのである。
「あの女王の不老不死とは魔法でこのゴールデンコブラと融合する事だったんでしょう、ゴールデンコブラの寿命は人間よりも遥かに長く何より歳を取っても黄金で作った自らの美貌は何も変化しませんからね」
「…………」
「そして寿命が迫ればまた新しいゴールデンコブラと融合する、そうすれば見事、不老不死の完成と言う訳ですね」
「……フンッ人間って本当に愚かね。下らないわ」
確かに、歳を取りたくないからって自分の意志でこんなモンスターになりたいとか一体何を考えていたのか。
そりゃあ国の錬金術師達も反発するよねって話である。誰だってヘビになんてなりたくないし人間を黄金に変えて生気をチューチュー吸って生きるなんてキモイ生き方したくないだろ。
「ミーネさんはデュモスさんと共に裏の世界へ戻って下さい。私はこの空間を破壊してこのゴールデンコブラをマリスさんに渡したり人間の町で知り合った人達に旅に出る事を話してからそちらに向かいます。間違ってもこちらに来ないで下さいよ?」
「………ふぅん」
「何か?」
「いいえっただあの理不尽の塊が、随分と周りの、それも人間に気を遣うようになったわね」
「私は元から温和で誠実なドラゴンですよ?」
私の発言にミーネは眉をひそめる、デユモスも顔なんて燃えてるので表情なんて分からないのに納得していないのがとても伝わってくるよ。
なんだよ文句あるの? あるなら言いなよ物理で黙らせるからさ。




