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第59話 ドラゴンプリンセス

 腰まである赤色のストレートロングヘアー、瞳も赤く服装は赤いドレス姿に足や腕に金属製の装備をしている。しかし武器の類いは装備していない。

 

「失礼ですが、貴方は一体誰なんですか?」

 私の質問に対して目の前の美少女は目をつり上げて怒鳴り返してきた。


「なんですって!? アンタ、このアタシを忘れたって言うの!?」


 物凄い剣幕である、マリスも心配そうにこちらを見ている。しかしこう言う瞬間湯沸かし器みたいなのには絡みたくないのか私を盾にして距離をそそくさと取る辺り冷静な彼女だ。


 とりあえず話を続ける。

「そう怒鳴らないで下さい、この国で知り合いなんて心当たりがないんですが……どちらでお会いしましたか?」


「…………アンタが父上や母上、それに兄弟達を土下座させた現場であったわよね?」


 ………………あ。


「と言うかアタシもさせらたわよね? 土下座…」

「……………………」

「…………アーク、お前」


 マリスの視線が痛い、そう言えばそんな事もあったなぁ~(遠い目)しかしそんな事を素直に認めると思うなよ?

 私は私が悪くない可能性が数パーセントでもあれば全力で自らを擁護するドラゴンである。


「すみませんが人違いですよ? 私はただの錬金術師ですからね」

「アーク? アンタそんな名前を名乗ってるの?」


 こちらの言葉を無視された。しかしまだ諦めない。


「私はただの人間ですから」

「人間がこのドラゴニアの象徴的な建造物であるジグラードに住める訳ないでしょ」


「ここには知り合いの伝手で間借りしてるだけですから」

「そんな戯れ言を信じるとでも? そもそも竜の王族を前にしてそんな平然としてる時点でおかしいのよ!」


 竜の王族がなんだってんだよ、別にそこら辺とモンスターと何も変わらんでしょうに……。

 そう思ってマリスをチラリと見る。


 するとマリスは青ざめた顔をして自称ドラゴンプリンセス、略してドラプリを見ていた。

「……マリスさん?」

「アーク、お前分からないのか?その女の魔力。尋常じゃないんだぞ。恐らくあのシャードルの女王以上の力を持っている、下手に刺激すれば私達は…」


 ああっそう言う事ね、私の悪い癖だ。

 力を持ちすぎると敵の強さも大して気にならなくなるんだ。何しろ虫もドラゴンも大した違いなんてなくてさ、どちらもデコピンで死ぬ相手に変わりないんだもん。


「大丈夫、マリスさんは何が起きても私が守りますから」

「…………ッ!? アーク、お前」


 とりあえずマリスの前に……もう出てるか。

 仮にも相手は王族、変な事をマリスにする事はないと思う。何故なら私を怒らせるとどうなるのかをよく知ってるのがこのドラゴニアの王族なんだからね。


「はっ! あの破壊と理不尽の化身みたいなヤツが随分とお優しくなったのね! しかも人間相手に!」

「人間を相手に優しくするのがおかしいですか?」


「別に? そんなのはアンタの自由よ、アタシがここに来た理由があるの。暇じゃないからさっさと話を進めたいわ」


「………そうですか」

 こっちは進めたい話なんてないんですけどね、こっちも色々と事態が進んでるので一度帰って欲しいドラゴンである。


「アーク、貴方の力を貸しなさい、そうすれば─」

「う~ん。先ずはこちらの置かれてる状況を話しても良いですか?」


「…………何よ?」

 話の腰を折って悪いけど、こちらもデュモスを黄金女王の前に置き去りにしてんのよ。


 流石の理不尽ドラゴンもボス戦を放置して他人ドラゴンだけどの話とか聞いてる場合じゃないのである。

 こちらの事情を端的に伝える。


「………と言う訳で今は色々と立て込んでますのでまた後日に来てもらえますか?」

「ふぅん? 貴方が自ら相手をしなければならない相手ね、それは興味があるわね」


「それは……」

 そこは正直微妙かな。多分戦えば数分も保たずに向こうが逃げ出すかも知れない、私から見れば大半のモンスターなんてデコピンでワンパンだからさ。


「ならこっちの話を聞かせる為にも、その女のモンスターをアタシがコテンパンにしてあげましょうか?」

「!? ほっ本当か!」


 なんでそんな話になるんだよ。私が一人で戻れば万事解決なんだってば。

 しかしもう行く気満々になったドラプリ、なんとかマリスはこの部屋に残ってもらうように説得した。


 そして渋々だがドラプリを黄金女王の元に連れて行く事になった、一度こうだと決めたヤツって話を聞かないんだよな……。

「それでは行ってきます、マリスさん」

「アーク。かっ必ず戻れよ!」


 マリスの言葉に私は頷く。なんかこう言うシーンってさ、良いよね~。


「ホラっさっさとアタシを連れて行きなさいよアーク!」

「……………」

 こう言うタイプの女の子ってある意味王道だけどさ……目の前にいるとなんかシンドイかも。


 私は表の世界に戻る門を作った、それでは戻るとしますか。

 そして戻った私の目の前には驚くべき光景が広がっていた。


「いやぁああーー! なんなのよこの炎の化け物はーーーー!」


「………………」

「………………」


 デュモスのヤツが黄金女王の巨大な蛇の部分に跨がり頭を連続で殴打しまくっとる、女王様は黄金の殻みたいなのを出して絶賛防戦一方である。アレは数分も保たないな。


 ウソでしょ? ボス戦まで余裕ぶっこいていたらボス討伐の手柄すら奪われてしまったぞ。

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