第52話 シャードルを探索
黄金の国シャードル自体は見えているので迷うことなく歩を進める。体感として一時間くらいで普通に国の入口までこれた。
シャードルはファンタジーな世界でのお約束と言うべきか、国の回りをたか~い城壁で囲われていてその城壁よりもたか~いアラビアンな宮殿的な建物が見えていると言う国だ。
入り付近に到着するといきなり異様な物を目の当たりにした。
「……あれは、黄金の像ですね」
「ああっ嫌にリアルな像だな」
私達の視界には幾つもの人間そっくりの黄金の像があった。その像がアート目的で作られたのかは分からない。
何故ならその黄金の像達は、まるでこのシャードルから逃げまどう様な姿で作られているからだ。
老若男女の様々な人々が必死に逃げようとする。
そんな鬼気迫る表情までが再現されている、これは何かシャードルと関係があるのか?
不気味な黄金像達を横目にシャードルへと侵入する、うわっ中にも馬鹿みたいに沢山同じような黄金像があるんですけど。
「……趣味の悪い黄金の像だ、バルギャーノぶつかって壊したりするなよ」
図体が大きいバルギャーノにマリスは指示をする、やはりこれだけ黄金像があるとこの中に何かしらのトラップがあると普通は考えるよな。
例えばこの黄金像の中に動ける像のモンスターが紛れ込んでいて、背中を見せると襲ってくる的な。
まあ魔法で常に周囲の状況を把握できる私がいればご安全である。私は魔法を発動した。
「……………ん?」
「どうかしたのか、アーク?」
「いえっちょっと魔法でこの黄金像の中にモンスターが隠れてないかと調べてみたら…」
「調べてみたらなんだ?」
「………あの黄金像全部からモンスターの反応があるんですよね」
「…………は?」
『あらあら、優秀な魔法使いね。貴方のせいでお前達の死期が早まったわよ?』
マリスが素っ頓狂な声を上げたその瞬間、回りの黄金像が信じられないくらい速さで動き出してこちらに向かって来た。
それとさっきの会話に割り込んで来たしつこい感じの女性の声、声を魔法で飛ばしてきたのか?
黄金像はデュモスが炎で蹴散らしているので特に問題はないが、やはり話に聞くイカレた女王様とやらにこちらは把握されているらしい。
「言葉を普通に話しているのなら、ある程度の知性は残っているみたいですね」
『何気に失礼なヤツね!』
「モンスターに囲まれている時に、普通に会話をしている場合か!?」
「まあまあっ落ち着いて下さい。このくらいの相手ならデュモスさんだけで十分ですから」
私の言葉の正しさを証明するようにデュモスの炎と鉄拳が黄金像達をぶちのめしたり燃やしたりしていく。
程なくして黄金像は全滅した。
『あらら? 全滅するとは思っていたけど、まさかここまであっさりやられるとは思わなかったわ? もしかして貴方達って危険な連中なのかしら?』
「う~んどうですかね? 私達は─」
「当然だ! 私達は貴様を封印ではなく、この世から完全に消し去る為に来たのだから! 黄金の国の女王よ覚悟しておくがいい!」
私のセリフを横からインターセプトしたマリス……まあ別に良いですけどねぇ~。
『フフッそれはまあっ楽しみねぇ? ならヒントよ。妾はこのシャードルの一番奥にある一番大きな宮殿の最深部にいるわ。生きてそこまでこれなら相手をしてあげるわ、それじゃあね?』
声はそこで途絶える。
「……どうやらお待ちしてるらしいですね」
「上等だ、必ず本人をこの手で打ち倒してやるぞアーク!」
マリスのやる気が凄いな。私は冷静な策士ポジとしてついて行こうかなっと考える。
黄金像が全滅したので歩きやすくなった、歩きながら一番奥の一番大きな宮殿を目指す。
まあここからだと宮殿なんてみんな大きいのでよく分からんけどね。いざとなれば空でも飛んで確認しようと思う私だ。
しかししばらく歩くと……。
「また黄金の像が出て来たな…」
「また襲われてもデュモスさんと私がいるので問題はありませんよ」
ここはゲームの世界じゃない。ダンジョンでもモンスターは少し待てば幾らでもリポップするなんて便利な仕様ではないのだ。倒して行けばやがて居なくなる。
だからこそ、無駄に兵力を削る様な真似をするとは思えないんだよ。
私なら最深部まで来させといてその入り付近をコイツらで固める。ボコった後に逃げられるとかウザいからね、逃げられないようにしといて仕留めてもらう方に全力で彼らには頑張ってもらおうとする。
無論、私ならの話だ。あの女王様が何を考えているのかなんて知らない、何より私がここに来た時点で全力で逃げようとしてないって事は私の人間に化ける魔法すら見抜けない程度の相手なのだ。
ハッキリ言って負ける訳がない。その気になればマリスやバルギャーノを魔法で浮かせてドラゴンに戻れば二、三分でこの国を踏み平せる。
まあそれをすると流石にマリスに引かれる可能性があるのでしないけど。
さてっ気を取り直して宮殿を探索だ。




