51話 王国の国
道具の放つ光に反応してか、あの大きな扉が独りでに開き始めたぞ。
マジかよ、やっぱりあの封印解除のアイテム。全部じゃなくて必要な数が一定数あればよかったのか? つまり数さえ最低限あれば封印解除を可能とするアイテムだったのか。
見ると私が用意した偽物は地面に転がったままである、おのれ~~~。
「くっくくく! 遂に目覚めるぞ! 不老不死を手にした黄金の国シャードルがな!」
黄金の国シャードル?目覚めるのはイカレてしまった女王様ではないのかね、なんか情報が錯綜している。
しかしここまま好き放題にさせてはドラゴンである私の沽券に関わる。
「少し邪魔しますかね!」
私が指をならす、すると地面に転がっていた偽物が赤い光を放ち始める。
私が何の意味もないゴミを連中の懐に忍ばせる訳がない、あれはいざという時に魔法の発動を阻害する能力を付与してあったのだ。
封印を解除すると言う魔法の能力もこれで弱める事が出来る筈である。
しかし扉は構わず開く、マジかよ、こちらの仕掛けが通用していない訳ではないはずだが……。
「くっ! 儀式が勝手に開始されただと!?」
「意識があるのはあのケルビスだけですが、彼が儀式を開始してるとは思えませんね」
ならば一体誰が? その答えを私達が知る前に扉は完全に開かれた。
放たれる黄色く眩い閃光が空間を満たしていった。
◇◇◇◇◇◇
「……………これは」
さっきまでいた場所じゃないなここは。
そこは砂漠であった。しかもただの砂漠ではなく足下の砂がまるで砂金のような輝きを放っている。
「こっここはどこだ?」
「恐らくあの地下遺跡でなく…」
「くっははは! 素晴らしい、素晴らしいぞ! 見よっこの途方もない量の砂金を! 黄金の砂漠だぞ! やはり黄金の国シャードルの伝説は本物だったのだ!」
なんか一人やたらとテンションが高いじーさんである、恐らくここは魔法で作られた特殊な空間。そんな所に引きずり込まれたのに何を砂金の砂漠で興奮をしているんだよ、普通ならどうやって元の世界に戻れるのかを心配しろっての。
じーさんの足元には倒れたヤツの部下連中がみんな倒れている。
さっきまでは地下に居たはずなのに、今はオレンジ色の上空には太陽が輝いている。日差しの強さはそこまでじゃないので恐らくあれは太陽に似せて作ったパチもんだろうな。それでもなかなか凝った代物だけど。
ちなみにさっきから私達の視線の先にはまるでアラビアンナイトなファンタジーに出て来そうな宮殿が並ぶ一帯が見えるのだが。
「あれは……まさか」
「シャードル! あそこに不老不死の秘薬が!」
「まっ待てケルビス! そんな物が本当にあると思ってるのかお前は!」
マリスの言葉を無視してシャードルとやらに向かおうとするケルビス、すると彼と倒れている侵入者達の足下に魔法陣が現れた。
これは転移魔法の魔法陣だな。何処かに無理矢理連れて行かれるのか?
誰が仕掛けた魔法なのかね、やっぱり話に聞く女王様? それとも他に謎の黒幕とかいるのかな。
まあ行けば分かるだろうけど、相手のリズムに乗るのはなんとなく嫌だな。私達の足下にも魔法陣が現れるが私はそれを踏み潰した。
魔法陣が粉々に砕ける、更に魔法を発動してマリスとバルギャーノ、デュモスの足下の魔法陣を破壊する。
ケルビスは最後まで不老不死とか秘薬とか叫びながら魔法陣の力で何処かに転移していった、さてっあの魔法陣に任せてしまった方が良かったのかどうか……まあ結局はあのアラビアンナイトな宮殿が幾つも立っている黄金の国とやらに向かうのだけどね。
「………アーク、今の魔法陣は」
「はいっ危険な魔法かと、思わず破壊してしまいました」
「そっそうか、まああれだ。よく私を守ったな褒めてやるぞ」
「……………」
言うことを言ったら黄金の国とやらに向けて歩き出すマリス、言っとくけど今の全然ツンデレとかじゃないからね? どんだけ上から目線ですかオッパイ師匠。
心の中でセクハラ発言攻撃をしながら、私もマリスの後に続く。バルギャーノとデュモスも無言でついてくる。
さてさて……鬼が出るか蛇が出るか、まあ何が出てもドラゴンな私なら何の問題もないけどね。




