第50話 不老不死
しかしまさかここまで来てるとは驚いた。てっきりあれだけやられたらしばらくは動けないと思ってたのに、案外元気そうである。
まあ恐らくは回復魔法が何かだろうけど。
連中が陣取っているのは見上げる程に大きな扉が突き当たりに存在するフロアである、そこに総勢三十名は侵入者がいた。多過ぎだろ侵入者め、少しは遠慮していただきたいものだ。
そして間違いなくあの扉がそのイカレた女王様とやらを封じている物なんだろう。見るからに頑丈でっせ、という佇まいをしているもの。
その大きな扉の前には、以前にも見た封印解除の為の道具が並べられている。
儀式開始も秒読みって感じですな。
「アーク、アイツらは…」
「はいっその封印の解除に必要な道具を集めていた連中ですね、まさかあの時に倒した連中もいるとは」
しかしよく見るとあの時に相手にした連中は数名で他のは知らない顔だ、恐らく補充要員が居たのかも知れない。
後もう一つ、何故か連中の中に顔色の悪い老人が一人いた。
「マリスさん、あの老人は」
「まさか! ヤツはケルビス。ハーマストの領主だぞ」
おおっいきなり領主の登場か。
しかしと言うことは錬金術師ギルドに圧力をかけたヤツってのはあのじーさんなのかね?
一応連中の傍まで行って会話を聞いてみるか。
「ケルビス様ここは空気も悪い。やはり屋敷に」
「黙れ。ようやく我が悲願である不老不死が手に入るのだ、屋敷で待ってなどいられるか!」
「「……………」」
なんか一瞬で連中の目的が分かったな。
マリスと共に連中から距離を取り、また会話をする。
「マリスさん、あのケルビスと言う老人が言っていた事は…」
「……以前風の噂で聞いた。領主ケルビスは何でも重い病にかかったらしく、それから病を治す事に執着していたとか、まさか不老不死なんて代物まで求める様になっているとはな」
確かに、まさか自分が住む街の領主があんな顔色の悪い上に変に鬼気迫る感じのじーさんとかなんか嫌である。
ふたを開けてみるとしょうもない答えが出て来たもんですな、もう攻撃魔法で連中を全滅させてお終いにするべきか?
「マリスさん、連中をどうします?」
「決まっている。領主だろうが誰だろうがここに眠る災厄を目覚めさせてたまるか、連中には少々痛い目にあってもらいここ数時間の記憶をパーにする薬でも飲ませてやる」
言ってる事はまんまこの前あの変身イケオジ達に私がした事と大差ないことである、師弟の繋がりを感じますな。
封印の解除に必要な道具は幾つか偽物とすり替えてるのでその狂った女王が目覚める事はない筈なのだが……正直その儀式の事も私にはよく分からないので楽観視は辞めておくか。
「それでは攻撃を?」
「バルギャーノで何人か吹き飛ばすと同時に攻撃魔法で更に数を減らす。ケルビスは一応生かしておくぞ、ここで死なれたら迷惑だからな」
「了解しました」
と言う訳で行動を開示する。連中には悪いが不法侵入者には先制攻撃だ。
バルギャーノが突進をする、数名の侵入者を吹っ飛ばした。その瞬間連中もこちらの存在にようやく気付いた、ケルビスを一番奥へと退避させて他のモブが前に出た。
「ここは貴様らが来て良い場所じゃない!今すぐ帰るんだな!」
マリスが水球を幾つもの撃ち出して連中に当てる、水球が当たるといきなりその水が凍り、連中をその場で氷漬けにする。
なかなか面白い魔法だ、氷をそのまま撃ち出して当てると下手をすれば骨折くらいは有り得る、それをしないで行動を阻害する事のみを特化した魔法か。私は内心感心しながら移動する。
あの変身イケオジは転移魔法が使える筈なのでそれとなく転移魔法を無効化する結界を張ってと……それと変身イケオジは一発殴って昏倒させるか。
「ほいや!」
「プヘッ!?」
バコッと殴って変身イケオジを無力化に成功、ほかの侵入者には魔法をプレゼントだ。
「昏倒スリープフォール」
次々と倒れていく侵入者達、さっきまで不老不死~と元気に言っていたケルビスも今やあわあわとパニックになってるだけである。
「……………」
「デュモスさんはお休みですよ」
炎で燃やしたらコイツら死んじゃうからね。
さてっなんかパッとしないがそろそろお終いって事にするか。
ケルビスの前に立つ。
「なっ何者だ貴様達は!ワシを誰だと心得る!?」
「知りませんよ、ここは私有地なんです。侵入者の立場なんて犯罪者以外にありませんね」
「なっなんだとぉおおっ!?」
「ケルビス様! ここは我々がブホォオッ!?」
なんか格好良く領主の前に出た連中がバルギャーノに吹き飛ばされた、ウケる~~。
更に残りの侵入者達を片付けたマリスも私と合流する。これで勝利は決定したかな?
「さてとっマリスさん。この者達をどうしますか?」
「さっき言った通りだ。記憶をイジって荒野に捨てる、そこから先はコイツらの能力次第だ」
「きっ貴様ら~このケルビスを愚弄するのも大概にしろ! お前達、この者達は不敬罪だ! 始末しろ!」
「「「「ハッ!」」」」
とても偉そうだぞ領主、お前の部下はもうその数名以外全滅してんのになんでどうにか出来ると思っているのだろうか?
時間にして一分あったかな? 私達は残りの雑魚を難なく倒す。
後はこの死にかけ老人だけだと思った時である。
なんと連中が扉の前に並べた道具が黄色い光を放ち始めたぞ。
ドラゴンに不敬罪、端から見るとアホな事を言ってますな。




