第48話 ご先祖様
しかし普通ならここでマリスになんでこんな入口を知ってるんですか? とか聞くのが普通だよな、まあ大方の予想はついてるが聞いといてあげますか。
「マリスさんは何故この隠された入口を知っていたんですか?」
「それは以前ここに錬金術で必要な素材を取りに来たときにたまたま……とかではないんだよこれが!」
なんか面倒くさい言い回しをする巨乳師匠である、見当はついてるからさっさと話せ。
「……実はお前が話していた大昔にこの辺りで好き勝手にした化け物だが、それを封印したのが私のご先祖様なんだよ」
「なんと、そうでしたか」
でしょうね、正直あの変な森にアトリエ持ってる変わった錬金術師って時点で妙だとは思っていた。
それにあの封印解除の儀式に必要な道具、アレは全て錬金術によって生み出された物なのは実物を直接見た私には分かる。
錬金術師のクセとでもいうのか、そう言うのが錬金術で生み出した物に現れる事がある。そしてあのチーム怪しいヤツらの拠点で見たあの道具にはなんとなくマリスに似通ったそのクセがあったのだ。
だから私はマリス本人ではなくても、近しい関係にある人間がこの道具を生み出すのに関係してると踏んでいた、まあご先祖様と言う話も納得である。
「それでは、最初からハーマストで暗躍する連中の目的は分かっていたんですね?」
「どうせ放っておいてもここには辿り着けないと思っていた。しかしまさか封印の解除に必要な道具をそれだけ大量に集めていたのなら話は別だ…」
ちなみにその道具の幾つかをくすねて偽物と入れ替えてる事はまだ言ってない。なんとなくである。
「間違いなく連中はこの場所も知っている、万が一ご先祖様の封印を破られでもしたら……この大陸は終わりなんだ」
「それはまた、いきなり何故そんな物騒な言葉が出て来るのですか?」
「ご先祖様が封印した存在、それは大昔に錬金術を極めた一国の女王なんだよ……」
マリスが話した内容は以下の通りだ。
大昔、この地にハーマストなんて街が出来る前の事。此処にはシャードルと言う王国があったらしい。
国は豊かだった、理由は当時最盛期だった錬金術のお陰だとか。
しかしその国の女王はその豊かさ故に道を誤った。当時自身の老いと寿命を克服する術を求めて禁忌の錬金術に手を出したらしい。
それがどんな錬金術だったのかは不明、恐らく存在自体を闇に葬ろうとしたのだろう。
結果、何があったかは不明だ、しかし栄華を誇った国とその国の国民は滅び去ったらしい、そしてその女王は人ならざる化け者に成り果て当時共に国を支えていた錬金術師(その中にマリスの先祖もいたらしい)に封印され、その国ごとこの地下に封印されたんだそうだ。
ちなみにこのザザム荒野が不毛な土地になったのは当時の怪物女王と錬金術師達の死闘が原因なんだそうだ、う~~んファンタジ~としか言えない話である。
人間と言うのは本当に……まあ実際に阿呆みたいな時間を生きた立場だからな私は、そりゃあ死にたくなんてないし、女王様……女性なら歳を取りたくないのも分かるけどさ。
自分の国を滅ぼしちゃうとかどんだけだよ。女の執念は怖いね、一体どんな錬金術に手を出せばそんな結果になるのだろうか、賢者の石でも錬成しようとしたんかね?
「しかし、そんな大昔の女王がまだその封印の中でも生きていると?」
「普通なら封印されても歳くらいは取るからとっくに死んでいる筈だ、しかしご先祖様が残した古文書によるとどうやらその狂った女王は本当に不老不死に近い力を得たらしくてな。数千年封印されても寿命で死ぬことはないと記されていた」
「………マジですか」
「ああっマジだ。無論実際に封印を解いたらとっくに死んでいて、封印の中には骨が残ってるだけだったと言う可能性もおおいにあると思うんだがな」
確かにそこまでファンタジーな話をされるとな…まあ実際にここにそれ以上に長生きしてるドラゴンがいるのであり得ないと簡単に言えないのがファンタジーな世界観の厄介な所だ。
「とにかく進むぞ、封印を解いてその妙な連中が何をしたいか知らないがもしもその道具を揃えて既にここまでその手が及んでいたら厄介だ」
「分かりました」
マリスの秘密も明らかになりましたね。




