第40話 まずは潜入します
シェル防具店を出た私達は徒歩で移動してハゲ一味のアジトへと向かう。
そして治安の悪い所に行くとガラの悪いゴロツキが多数たむろしている。更にこちらのモイモンが連れるイプシーはかなりの美女だった。
後は簡単だ、汚いゴロツキ共は呼んでもいないのにニヤニヤとキモい笑顔を見せてこちらに接近してくる。
「……昏睡スリープフォール」
私は新たなオリジナル魔法を発動した。
相手をまとめて強制的に眠らせる魔法だ、しかも狙って相手に悪夢を見せる事が出来る魔法である。
ゴロツキ共は酷い悪夢を見ているのかその表情は苦悶に歪み寝汗が顔に浮かんでいた。
ちなみにコイツらにはクーラーが全く効いてない満員リーマン電車で立ちんぼみっちり地獄を見せている。
クククッ前世にある地獄の一つを味わえ……。
「さっゴミ掃除は終わりました、先に行きましょうか」
「お~~」
「………………変な魔法」
変な魔法は酷くない? まっまあいいか。
私達は目的とする建物を見つけた、このハーマストの建物は中世ヨーロピアン的なレンガ造りの建物が並ぶ街だ、その建物も礼に漏れずそんな造りである。
見た目二階建ての少し古めの建物だ。ぱっと見人の気配は感じないだろう。
しかし本当はドラゴンである私には分かる、この中の連中は気配を上手いこと隠してるのだと。
「人数は十二人って所ですね。強さはまあ錬金術師達よりは強いですよ、モイモンさん倒せますか?」
「うん? まあやってみないと分かんないけど。ある程度の実力者数人ならどうにかなるよ」
「…………余裕」
そうなの? まあいざとなれば私も手を貸すくらいはするから大丈夫かな。
「先ずは魔法で姿と気配を消して中には入ってあの盗まれた物をゲットします、それから後は派手に行きましょうか」
「賛成~~」
「……………」
「会話はテレパシーを使えるように私の魔法でしますからそれでお願いします。それでは行きます」
魔法を幾つか発動して準備完了、私達は建物の中に侵入した。
建物の中は掃除もされていないのか床はホコリが溜まっている、そのホコリの上に人の足跡が何個もあった。
更に入り口付近には気配を消して隠れてる男が二人、多分見張り番だろう。
自分達も勝手にここを使ってるからなのか、見張り番もコソコソ仕事をしているようだ。
まあこの二人は中で騒ぎを起こしたらどうせ集まってくるだろうから今は無視である。
建物の中ははそこそこ広い、しばらく奥に進むと階段が見つかる。
モイモンとイプシーを見て上に行くとテレパシーで伝える、そして二階に上がった。
そこには予想通り何やら剣呑な雰囲気を纏った三十代から四十代の男達が集まっていた。
ある者はナイフを研ぎながら悪人みたいな笑みを浮かべている。
またある者達は何やら話をしているが、少し物騒な内容だったので無視した。
全員マッスルで服装は黒をメインカラーにしたコンバットスーツっぽい服装だ。
野郎しかいない。ミリアも他の美女なんて一人もいないじゃないか。
なんて嫌な光景だろう、魔法一発で吹き飛ばしたくなる。
するとモイモンがテレパシーで何やら話をしてきた。
(あっ! あそこを見て、盗まれたアイテムだ!)
見ると連中が集まる一画にあの円盤状の何かがあった。他にも私も知らないアイテムが幾つも山のように詰まれていた。
(うわぁ~これ多分封印魔法を解除する為のアイテムだよ)
(あの石で出来た円盤状の物だけじゃなかったんですね)
(うんっ封印魔法を解除するアイテムはそれこそ幾つものアイテムが必要とする儀式魔法が必要だからね。オイラみたいに護らせてるヤツ以外にも見つけられ難い所に隠したヤツとかあって。それらを全て集めないと儀式魔法は発動しないのさ)
(なるほど、しかしこれだけ集まっているとなると……)
(うん、そのアイテムを手間と時間をかけて集めていたんだね。こんなのただの冒険者に出来る事じゃないよ)
コイツらの正体も気になるな、しかし先ずは仕事を優先するとしょうか。
(取り敢えずはあの円盤状の物と、それ以外にも幾つか偽物とすり替えときますか? そうすればその儀式魔法とやらも失敗してお終いって結果になる可能性もありますかね?)
(そうだね、連中の目的が封印された危険な何かってのは間違いない。ならその封印を解けないようにするのがオイラと契約した魔術師の願いだろうし)
モイモンがどんな契約をその魔術師としたのかは分からない。しかしそんな物騒な封印なんて解けないままの方が誰も困らないのだ、ここはサービスしといてやるか。
「昏睡スリープフォール」
ハゲ一味が全員倒れる、そして私は魔法を解除して適当にアイテムの山の中から幾つかのアイテムを取り出した。モイモンも円盤状のヤツを手にする。
「取り敢えずこれらを魔法で形だけそっくりな物偽物を作ってそれとすり替えますね」
私が指をパチンとすると並べたアイテムとそっくりなヤツがポンポン出て来た。
それらをアイテムの山に放り込んでと……。
「ふぃ~~これでオイラの契約もダメにならないですむよ~」
「その契約ってそこまで続けるが意味あるんですか? もう解除してもいいのでは?」
「う~んけど放置して何かあったらな~」
モンスターのくせに人が良いヤドカリ少年である。そしてゴソゴソとしているとあの入り口付近にいた二人が中の異変に気づいたのかこちらに接近してくる。
丁度こちらの仕事も終わったので寝てる連中を起こして一つ、茶番でもするとしますか。




