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第38話 マリスへの報告

 本当に色々あって疲れた。

 あの洞窟での一件を片付ける為に荷車引きのおっさん達を洞窟の外まで探しに行ったり、荷車に倒れたおっさん錬金術師達を乗せたりした。


 一応タナード鉱石とかいうのも採取はした、まあ錬金術師達を乗せるからあんまり採れはしなかったけど、どうせ今後は守護者ヤドカリもいないし、普通に採れるようになるさ。


 当然その後は動ける私は一人で荷車引きとお荷物錬金術師達を護衛するハメになるし、もう面倒なので皆まとめて転移魔法でハーマストに帰りたくなったね。


 その後は錬金術師ギルドに戻りアーニャにあのハゲが味方をけしかけてる隙に自分だけいきなりトンズラしたと報告した。


 そしてあのハゲについて少しアーニャが話してくれた。


「アークさん、実はアークさんの話を聞いて彼の自宅を尋ねると本人が自宅に監禁されてました。意識はありますがここ数日の記憶がないとか……」


「なるほど、ならあの男は何者かが魔法で化けていた偽者であると?」


「恐らくは、そしてギルドで調べても手掛かりはゼロです。時間を貰えればまだ何かしら情報が見つかる可能性もありますけど……」


 今回の洞窟の一件では錬金術師ギルドも所属する錬金術師達が病院送りにされたりで収支はやはり赤字だったらしい。事件について調べると言っても人手も足りないんだろう。


 ちなみに荷車引きのおっさん達が一度逃げた事は秘密にしてある。それを条件にお荷物錬金術師達を運んでくれるように頼んだからだ。


「まあボチボチでお願いします、それでは失礼します」


「はいっアークさんも何か分かったらギルドに報告をお願いします」


 ここの錬金術師達をボコボコにしたヤドカリ君と明日落ち合いますって言ったら彼女はどんな顔を見せてくれるのだろうか?


 なんかゾクゾクッて来た、いかんですな、私はさっさと錬金術師ギルドを後にした。



◇◇◇◇◇◇



 その後私はマリスのアトリエ支店へと向かった。一応の報告をするためだ。

 ハーマストにあるマリスのアトリエは二階建ての立派な建物だ。


 中に入ると紫色の瞳と茶髪ツインテールの美少女が話し掛けて来た。


「こんにちはアークさん、聞きましたよ? 今日は散々なクエストだったって……」


「こんにちはパナムさん。確かに今日は疲れました」


 彼女はマリスがこのアトリエを任せている支店長的な立場の女性だ。女子高生くらいの年齢と見た目だがやり手らしくあのマリスも彼女の仕事を褒めていた。


 このアトリエは彼女一人で全ての業務をしている、確かに大したもんである。


「またマリスさんのアトリエの本店に向かいますので…」


「分かりました、知ってるでしょうけど魔法陣は二階の方ですよ」


 私は『分かりました』と返事をしてアトリエの二階へと階段を上がった、そして廊下を移動して二階のリビングに行く。


 そこには魔法陣が光を放ちながら存在していた、私はその上に乗る。視界が一瞬で変わり森の中にあるマリスのアトリエ本店に転移した。


 すると丁度本店のリビングに来ていたマリスと再会する。


「ん? アークか、どうした何か分かったか?」

「はいっただ少し困った事になったかもと…」


「………何?」


 隠しても仕方ないので洞窟での事(ヤドカリ君については話さなかったけど)とハゲがやらかした事をしたり。


 マリスはアゴに人差し指を当てて思案している。


「そうか、まあその儀式とか封じられた化け物とやらについてはこの際後でいい。それよりもそのハゲの錬金術師に変身していたヤツが何かの組織に属する人間だと流石に面倒だな」


「このハーマストが化け物に襲われて喜ぶ人間がそんなにいるんですか? ハーマストかあそこに住む誰かしらに私怨を持つ者の犯行という可能性も…」


「その儀式の為の道具の在りかなんて個人が調べて分かる情報じゃない。まああくまでも可能性の話だが相手が一人二人だと思って動いて大勢の敵がいたら困るだろう? 念の為だ」


「それもそうですね。それで私はまだそのハゲ一味を追えば良いんですか?」


「ああっ私はまだしばらく動けないからな。しかし無理はするな、万が一ここにソイツらが現れても安全だからな。身の危険を感じたらここに避難しろ」


 なんかエラく自信があるマリスである。


「何しろここにいるゴーレム達は戦闘能力もある、十数人程度の人間が攻めてきてもなんの問題もない。モンスターがここに侵入してきたこともないだろう?」


「確かにその通りですね。分かりました、なら危険を感じたら戻ってきます」


「そうするといい」


 なんやかんやでマリスは良い錬金術師だ。普通引き篭もりがちな錬金術師って引きニートみたく他人を自分のテリトリーに入れる事に拒否反応を示すからな。


 彼女は師匠として中々に出来た人物である。

 今日はこのアトリエで休んでから次の日にヤドカリ君達のいるというシェル防具店へと向かった。

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