第36話 探索中
群がるキモキモモンスターを相手にする錬金術師団、まあ相手をするモンスターは事前に分かっていたので特に問題なく戦っていた。
私? 私はキモキモ達を相手にしたくないから未だに魔法で姿も気配も消している、分身体が荷車引きの護衛をしてるので多分大丈夫だろう。
スキンヘッドをはじめとした錬金術師達が次々と魔法を発動して飛ばす。
モンスターの方から爆炎が上がったり氷柱が現れたりと中々に派手な光景だ。
他にも魔法でバリアを張ってモンスターがこちらに来ないようにしてる錬金術師もいた、洞窟とかだとその手の魔法ひとつで敵の動きを完封出来る場面がある。
どうやらキモキモモンスター達は魔法は碌に使えないようで次々と錬金術師達の魔法で退治されていった。
「あの数のモンスターを相手に圧倒してますね」
「ハハッ魔法を使える人間が何人もいれば、ある意味普通の光景だぜ? あの手練れの錬金術師達を相手にしたら本業の魔法使いも裸足で逃げ出すって話だ……」
分身体と私が荷車を押してあげた名前も知らない荷車引きが会話をしている、どうやらあの錬金術師達は実力者として知られる連中らしい。
やがて数分後には全てのモンスターを退治し終えてしまった、大したもんですな。
その後は倒したモンスターを解体するらしい。これも収入の一つと言う訳だ。
私はあんなのに触りたくないので魔法でいないふりをする。分身体も解体には不参加であった。
ゲジゲジはともかくミミズとかどこをどう解体するんだろうと思ったら輪切りにして運び安くしてた、全部は無理だから余ったのは魔法で焼いていた。
そして洞窟の探索を再開、中はそれこそ十数人の大人が問題なく通れる程の規模がある大きな洞窟である、中は暗いので私が用意した松明が使える!
……っと思ったのだが普通に魔法で明かりを出していた。
幾つもの光る球が洞窟内に放たれているのでその内部もかなり把握出来るのか錬金術師達は荷車引きに色々と指示を飛ばして洞窟内のあれとかこれとかを採取しろと言っている。
中には錬金術師自身が採取していたりもする、どうやらこの洞窟にはその手の材料となる物が沢山あるらしい。
もちろん探索途中にはまたモンスターが現れたりもした、探索、採取、戦闘を繰り返しながら私達はハプオン洞窟の奥へと進んで行った。
◇◇◇◇◇◇
そして時間にして2時間ほど経っただろうか? 私達は洞窟の最深部と思われる場所にやって来た。
そこはかなり大きなドーム状の空間で見上げる程に天井が高い、そしてその空間の真ん中には湖が本当にあった。
「……きたぞ、湖の主は近付くと現れて攻撃してくる、荷車引きはここで待機してろよ」
そう言うとスキンヘッドと他の錬金術師達が湖の方へと向かう、私は分身体とスキを見て交代して荷車引きの中に紛れる。
私が出ると湖の主とやらの強さを見る前に決着がついてしまうのからな、先ずはどんなもんか観察である。
錬金術師達が湖の十メートルくらい手前に近付いた時だ、湖から大きな何かが現れる。
それは巨大なヤドカリだった。全長八メートルはある、背中の青い貝に立派な赤いイソギンチャクをくっ付けているヤドカリだ。
あのイソギンチャクもモンスターだな、てかどっからイソギンチャクを持って来たんだよ。
「かかれぇっ!」
スキンヘッドの号令で錬金術師達が次々と魔法を飛ばす。ヤドカリの身体に次々と魔法が着弾すると同時に炎や雷撃や氷が現れる。
……があのヤドカリには効いていない、ヤドカリなので表情とか私にも分からんが今ヤツは『コイツら何かしてるのか?』てレベルでなんもダメージを受けていないのだ。
それでも攻撃はされたのでやり返しておこうかとヤドカリは考えたのか鋏をぶん回す、錬金術師の誰かがバリアを張るが押し切られた。
錬金術師が数名、宙を舞う。
それでもスキンヘッドは攻撃を指示し続けた、しかしヤドカリに有効な攻撃魔法はなかった。
最後にはなんとあのドデカいイソギンチャクが触手をウネウネさせたかと思うと魔法を使ったのだ。
魔法で生み出された紫色の霧をくらった錬金術師達はその場で倒れてしまった。
「こっこれは駄目だ、敵わねぇよ!」
「逃げるぞ、逃げるぞお前ら!」
「荷物はどうする?」
「そんなの置いて行くしかねぇだろ!」
集められた荷車引き達は逃げ出した、まああれと戦って錬金術師達を救うなんて彼らには無理だ。
むしろ変に蛮勇を振りかざさないで逃げてくれたあたり私には好都合である。
荷車引き達にモンスター避けの魔法を発動してあげる、これでハーマストまでは安全だろう。
「あっあんた何してるだ!早く逃げろよ!」
私が荷車を押してあげた人だ、まだ残ってたのか。
「私は他の錬金術師達を助けますので貴方は他の皆さんと逃げて下さい」
「ハァアッ!?」
驚愕する荷車引きのおっさんを無視して私はヤドカリの方へ向かって行った。
今週はここまでです。




