第35話 洞窟への道
出発して移動を開始した、一団の後ろの方で軽きながら世間話をして分かった。
洞窟までの道のりは結構遠いらしい。
魔法で飛んでいけば一時間くらいの距離だが、それは移動を邪魔する物も何もなく飛行速度がそもそも速いからだ。普通に歩き休憩時間も考えれば五時間はかかる。
しかもそれは数名のパーティーでの移動の話、この人数での移動となると日が暮れる頃までに着ければラッキーと言ったところか? 気が滅入るな。
ミミズやゲジゲジがモンスターサイズで出て来るだけでなく移動すら面倒くさいとはハプオン洞窟め、本当に消し飛ばしたくなってきたぞ。
しかしそんな事をするとタナード鉱石とやらはゲット出来なくなるので我慢してゆっくり歩く錬金術師共の後を歩いて行く。
途中このハーマスト付近でよく現れるモンスターである大型の赤いクモのレッドスパイダーが現れた。ニメートルはあるゲキキモモンスターだ。
しかし錬金術師ギルドの錬金術師、思いのほか強かった。あのデカいクモを二人の錬金術師が前に出て魔法を発動して倒した。
右手を前に出すと小さな光がシュッとレッドスパイダーに飛んでいき着弾、すると大きな氷塊を発生させたのだ。レッドスパイダーは氷の中に閉じ込められる、ご愁傷様。
他にも何度かモンスターとエンカウントして戦闘になったが荷車引きにも私にも被害はなかった。
なんだ錬金術師って言うからゲーム的なイメージで支援職かなんかだと思ってたら普通に魔法で戦えるんだな。
この世界はとてもファンタジーだ、魔法さえ使えれば戦闘も大体なんとかなる。
「ふうっ空の荷車でも道が荒れてると疲れるな」
「後ろから押しましょうか?」
「そうか? それなら頼むよ」
筋肉はそこそこついてるが、それでも舗装もされてない道をタイヤも木製の荷車を引くのはキツいだろうに。
ちなみに歩いてる道も平坦な道じゃなくて坂になったり下り坂になったりと実に脚にくる田舎の道を思わせる。
私は荷車を力を入れすぎないように押しながら歩く、この錬金術師団が目的地の洞窟に着くのはいつになることやら……。
そして夕方、本当に日が暮れるんじゃね? と心配しているとようやくハプオン洞窟が見えた。
場所は周囲を木々に囲われた森、一応人が通るので道らしきものはあったけど本当に長かった。
空の荷車も引いてる人達が一番しんどそうだな。これ帰りにタナード鉱石をつんで帰れるのだろうか? こっそり軽量化の魔法でも使ってあげようかな?
「よしっ今日はここまで、流石に今からハプオン洞窟に入るなんて事はしないぞ。今日はここで野営して明日の入る」
リーダーのスキンヘッドの言葉に従い、私達は野営の準備を始めた……今夜は魔法で分身でも出してヤツらの目を誤魔化してジグラードの個室でシャワーでも浴びてベッドで寝ようかな。
ジグラードとはこの世界とは別にあるモンスター達が文明を築いた裏の世界にある大国の一つ、ドラゴニアにある超巨大建造物で聖塔ジグラードと呼ばれているものである。
そこに自分の部屋があるのだ。野営の準備を終えた私は魔法で自分そっくりの分身体を作り出した。
「それじゃあ私はジグラードで休みます」
「はいっこちらで何かあったら念話の魔法で知らせます」
そして私は懐から取り出した黒い鍵を投げる、すると黒い鍵が黒い石造りの円形輪に変形する、その輪の中には青白い渦が渦巻いている。
これが裏の世界に行ける転移門である。
私は転移門に飛び込む、そしてジグラードの最上階にある私の部屋へと転移していた。
「ふう~~汗をかいてしまった、シャワーを浴びるか……」
後何か食べたいな、冷蔵庫に何かあったっけ?
私はその日の夜はゆっくり休んだ。
そして翌日、朝食を食べてから顔を洗ってり歯磨きをしてから念話で分身体に状況を確認する。
(もしもし? そっちの様子はどうなってますか?)
(こちらは既に洞窟内に侵入してます、大きなミミズやゲジゲジが道を塞ぐように現れて戦闘が始まっていますね)
寝過ごしてしまったようだ、まあ朝食やそれ以外にも色々やってたからな。当たり前か。
(分かりました、ならその戦闘のどさくさに紛れて入れ替わりますか?)
(はいっそれならまず魔法で姿を消してこちらに転移すれば入れ替わりを見られる心配もないですよ?)
(確かにその通りですね、そうしましょうか)
本当はミミズやゲジゲジを倒した後に入れ替わりたいかもと思うけど、まあいいかどうせ戦ってるのは錬金術師団の腕自慢達だし。
私は後ろの方で見物するだけでいいよな。
そして転移する、するとそこには……。
ニョロニョロニョロニョロニョロニョロ
モゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾモゾ
「うんっ控えめに言って地獄だな」
ハプオン洞窟内部は通路も結構広め、しかしそのせいで大きな大きなミミズやゲジゲジが所狭しと群がって来ていた。
もう全てを破壊してしまいたいぞ、ドラゴンブレスかますぞコラッ。




