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第32話 魔女呼ばわり

「………ハアッだからって何で連れて来ちゃうかな~~?」


 私はミリアを当たり前の様にマリスのアトリエの中心にある彼女がいる家まで案内した。


 呆れるマリス、まあ確かに気持ちは分かる。

「しかし困っている様でしたし、見捨てる事も出来なかったので…」


 まあ相手がおっさんとかだったら話とか無視して放置した可能性は高い事は認めるけど。

 ミリアも最初はその魔女らしき人と私が知り合いだと言っても半信半疑だった。


 なのでこうやってマリスのアトリエに連れて来たのだ、するとミリアの表情が変わった。


 マリスの方に移動するとペコリと頭を下げて挨拶をする。


「はっ初めまして、わたしはミリアと言います」


「マリスだ。その…何だ? 森に住んでるとかいう魔女? それが私だと言うのか?」


 まあ若い女性が魔女呼ばわりされて嬉しいと感じるとは私もあまり思わない。

 マリス自身に魔女呼ばわりされる理由とかはなさそうだ……いやっ森に住むゴーレム操る女性とか普通に魔女だわ。


「はい、魔女さん……いえっマリスさんはとても多くの知恵を持つ賢者だと聞いた事があります。実はその知恵をわたしも借りたいのです」


 魔女と呼ぼうとしてマリスが嫌な顔をしたので賢者と呼び方を変えた。正しい判断である。

 マリスも一応話は聞いてくれるみたいだ、いきなり問答無用で追い返したりはしないらしい。


「知恵ねぇ、あまり期待されても困るが。どんな事を聞きたいと?」


「……実は私の恋人がある病になってしまって」


 ミリアの話、それは病気となっと恋人の病を治す秘薬を持っていないか。或いはその秘薬の材料となる物を持っている、または素材となる物のありかを知らないかと言うものだった。


 よもや彼氏がいたとは、ここまで親切にしたのに軽く裏切られた気分である。まあいいが。

 しかし恋人の為にここまで来るとは、ラブとは凄いね、余程のイケメンが彼氏なのかな。


 イケメン死すべし、いやっミリアが悲しむからダメか。


 一方のマリスの方は話を聞いても無言である。

 そしてミリアが話し終えるのを待ち、冷静に答える。


「……つまりお前はその病を治す秘薬、或いは素材であるタナード鉱の粉末やユプテルの牙が欲しいと?」


「その通りです」


「まず幾つか言わせてもらう。そもそも人に知恵を借りたいと言うがその時点で対価はあるのか?この世にタダなんて物はないぞ」


「たっ多少ならお金も」


「金はある? お前が言う秘薬どころかその素材一つとっても金貨にして十数枚の値がつく代物だ。身なりからして貴族でもないお前にどうにか出来るのか?」


「!?」


 マリスは面倒くさそうにミリアの全身を見るように視線を動かす。

 マリスの言うことは正しい、そもそもその病とやらはそんな高価な秘薬が必要な病でもない筈だ。


 錬金術について元からある程度の知識は私も持っている、正直回復魔法の類でもなんとかなる病だったはずだけど……。


 ミリアの方を見ると無言のうつむいている、そして静かに喋り出した。


「………そうなんですね。すみません、いきなり押しかけて来て色々と厚かましい事を言った事をお詫びします」


「ミリアさん」


 ミリアは私の方を見ると『ここまで案内してくれてありがとうございました』と言った。

 ミリアは帰った、街まで案内をしようと提案したが断られた。


 まあ頼みを無下にされて色々思うところもあるんだろうと私も考え見送る事にした。

 ミリアがアトリエを去ると私はマリスの元に戻る。


「マリスさん、助けてあげなくてよかったんですか?」


「弟子が師匠にボランティアでもしろというのか? そもそもいきなり素性の知れない人間を連れてくるなよ」


「けど彼女はマリスさんと同じハーマストの人間らしいですよ? 冷たくすると街での評判とか…」


 この世界にネットとかはない。しかし人の噂とかそう言うのは結構早く広がるのだ、それは悪意のある噂も同じ。


 ハーマストでもアトリエを持ち、客相手に商売をしているマリスもその辺りは分かってると思うのだが……。


 すると彼女は私を見て少し呆れたような顔をした。


「ハーマスト? あの女は自分をハーマストに住んでるとでも言ったのか?」


「え? はいっそう言ってましたよ?」


「私は生まれた時からあの街に住んでる、ミリアなんて女はあの街にはいない」


「近年引っ越して来たとかでは?マリスさん、基本的にここのアトリエにこもりっぱなしですし知らないだけじゃ……」


 マリスは首を左右に振り答える。


「冒険者みたいに国を跨いで出たり入ったりする人間じゃないなら少しは情報が入ってくるさ」


「……つまりミリアは冒険者であり、その素性を誤魔化してると?」


「そうだ、ちなみにあの女が探してる秘薬の材料のうち幾つかは別の用途にも使える代物だ」


 別の用途、マリスの塩対応はそれが理由なのか?

「どんな事に使うんなんですか?」


「それはな…………秘密だ」


 私は煙に巻かれた。


「あっそれとお前に頼みたい事がある」


 煙に巻かれた上に頼み事? 本当に神経が図太い魔女様である。



 

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