第30話 整った~~
私はその日、とある木造の小さな家の中にいた。
その中では熱せられた石が籠に積まれていて時折お湯をかけてジュ~ッと水蒸気を発生させている。
その中でタオルを肩かけ全裸で汗を流しているのが私だ、歳は十八歳ほどの黒髪黒眼の若い青年の姿をしているが正体は巨大なドラゴンである私だ。
私は今、サウナを楽しんでいた。
魔法で作った木造ハウスの中でサウナをたのしんでいるのである。
十分に汗をかいたので外に出る、外には精霊の泉と呼ばれた綺麗な泉があるのでそこを水風呂代わりにしている、まあ私が水風呂代わりにするようになってから精霊なんて一匹も見てないけどな。
「うっうああ~~~~…………」
水風呂代わりの精霊の泉は冷たい、しかし動かないでしばらくすると冷たさが和らぐのだ。
その状態をキープして身体を冷やす、そして水風呂を上がると木造ハウスの横に用意したプラスチック製っぽいイスに座った。
そこで待つことしばらく……。
「ん~~整った~~…………」
まさに至福の時、私は外気浴をして心身共にリラックスの極致へと到る。
「整ってるんじゃな~~~い!」
突如現れた一人の女が整っている私の頭を手にした本で打っ叩いてきた。
ある意味何と豪胆なヤツだろうか。人間のふりをしてる私だから見逃すけどさ……。
「んもうっ何をするんですかマリスさん」
「そっそれはこっちの台詞だ! お前、人が任せた仕事もせずにこんな所で何をのんびりサウナを楽しんでるんだ!? そんな事では一人前の錬金術師になんて夢のまた夢だぞ!」
「……………」
そうっ今度の職業体験は錬金術師である。
このマリスと言う女性は錬金術師で私は今彼女の弟子と言う立場にあるのだ。
マリスは歳は二十代中頃、黒髪セミロングで瞳も黒い。顔立ちは塩顔の私と違いかなり整っている。
そして服装はクリーム色のシャツの上に黒のマントを羽織り下はスカートにストッキングと黒のブーツを履いている。グラマラスなスタイルの美女だ。
ぶっちゃけ錬金術師はこの世界では科学者的な立場にあり、基本引きこもってなんかやってる陰キャなイメージのある人々だ。
私もそこまで興味のある職業ではなかった、ほぼマリスと言う美女の弟子になれると言うのを理由に錬金術師の職業体験を決めたのである。
「マリスさん、私はサボってはいませんよ?」
「ならちゃんと言っておいた物を採取してきたと?見たところタオルしか持っていないようだが」
私は指をパチンとならした、するとマリスの足下に様々な薬草やら瓶に入れられた虫、綺麗な貝殻や石が山盛りとなって現れる。
私はマリスに色々と錬金術の材料の調達を期限付きで頼まれていた、それをさっさと済ませたのでこうやって休んでいたのだ。
マリスはこちらにジト目を向けてくるが仕事はちゃんとしたのでそういうのはマジでやめて欲しい物である。
マリスは無言で私が集めた材料確認している、私は外気浴の続きだ。
そして十数分後。
「………確かに材料は本物だな。よく短時間で集めた物だ、その木造の小屋もアークが?」
「勿論そうですよ、まあ放置するのもあれなので後で取り壊しますけどね」
「…………」
「あっマリスさんもサウナをやってみます? 結構ハマる人はハマりますよ?」
「けっ結構だ!」
その後はいい加減半裸から着替える。アイテムボックスに材料を戻してマリスが生活と研究の拠点にしている場所に向かった。
私は今マコニード王国と言う人間が主にすむ国に来ていた。首都は人が多すぎるので国でも四番目くらいに栄えてる都市に半分観光で来ているのだ。
その都市の名前はハーマスト、建物の様式はヨーロピアンな感じでまさにその手のゲームの背景に描かれるそうな街並みが広がっている。
そこにアトリエを持つ美人と評判の錬金術師がマリスである。なんとか弟子になったのはいいが彼女が本格的な実験を行っているもう一つのアトリエはハーマストから少し離れた森の奥に作られていた。
しかし自然の中で仕事するのは嫌いじゃない、さっきのサウナもこの自然豊かな場所だからしてみようという気になったのだから。
マリスの後についていく、森の中心部には木々が生えていない。マリスが魔法で何かしたんだろう。
その中心部には彼女の本物のアトリエがあった。
新章です、錬金術師編ですかね。
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