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第19話 再びの幽霊海賊

 そしてその日の夜をジャングルで明かした。私はベースキャンプの外で寝ることになったがな、おのれアルビス船長と愉快な仲間達め。虫に刺されてかゆい思いをしろ。


 ……あっ私の魔法で虫は近づいたらみんな死ぬから無理だったか、ハァッ。


 私が気落ちしながらも一度ジグラードに戻った。シャワーを浴びて着替える為である、もう別に下っ端海賊として日々不衛生な姿を晒す必要はないので普通にシャワーくらい浴びる。


 姿は下っ端海賊のあの姿だけどな。

 取り敢えず小綺麗にした私がベースキャンプに戻ると……何やら事態が動いていた!。


 そうっアルビス船長のベースキャンプが包囲されていたのだ。アルビス船長は1人起きていたらしく剣を抜いて対峙するのは……。


「……アレは、幽霊海賊達か?」


 アルビス船長を囲んでいるのは不健康そうな青白い肌をした痩せこけた海賊、他にも下半身が霧状になっているゴーストパイレーツや骨が海賊の格好をしたガイコツパイレーツまでいた。


 間違いない、ヤツらは遂に姿を拝む事になった幽霊船の船員達だ。

 その中の一人、青白い肌をした海賊が口を開く。


「貴様ら、どうやってこの島に?まさか船団の連中を倒したと言うのか?」


「当然よ、亡霊なんてわたし達の敵じゃないわ!」


「フッいきのいい人間達だ。殺して我々の仲間入りをさせ………ん?」


 アルビス船長の背後にテントから出て来て並びはじめた連中を見て青白海賊が固まる。

 まあそうだよな、明らかに幽霊海賊よりも強そうな連中がモリモリ出て来てんだもん。


「ほうっやはりまだ幽霊海賊の仲間がいたか、まさか船にいるだけが全てとは思いはしなかったがな」


「オイオイッそれにしてももう日が出てるのにゴースト系やガイコツ系までいるぞ?やっぱりこの宝島の太陽は見かけだけの模造品か?」


「太陽が、模造品?」


「異空間を扱う魔法だと夜や朝を演出する為に見せかけの太陽と月まで用意する凝り性な魔法使いがいるんだとよ」


 へぇ~~凝り性なヤツは何処にでも……ってそれはどうでもいい、モンスター冒険者はオバケなんぞ慣れたもの、既に武器を取り出して臨戦態勢だ。


 しかし朝っぱらからドンパチするのもあれだしな。仕方ないのでここはドラゴンな私が人肌脱ぐ事にした。


「皆さん………朝っぱらうるさいのは勘弁ですから、ここは私に任せて下さいね」



 そして小一時間後、アルビス船長とモンスター冒険者には私が魔法で出した風呂に入ってもらい汚れを落としてもらった。


 着替えは前以て持参させといた。


 本当なら昨日の夜に用意する筈だったが、連中が私のガラスのドラゴンハートを傷つけたのでね。少し意地悪をしたのだ、今後はお風呂を交渉材料にテント睡眠を確保する所存である。


 ちなみに幽霊海賊達はと言うと……。


「おお~~い!いつまで朝の準備に時間かかってんだ!?女子かお前らは!」


「すみません、日頃から清潔にすると言う概念が抜け落ちてる連中ですから。もう少し待って下さい」


「たくっアークさんがそう言うならまあ我慢するけどよ~~、俺達も朝の見回り中だから直ぐにアジトに戻らにゃならんのだからな?」


 気さくに話すこの幽霊海賊と私は無論赤の他人だ、顔見知りとかではない。

 ならば何故にこんな会話をするのか。


 それは私の魔法でちょちょっと『私達を仲間であるという誤認』を刷り込んだからである。


 正確には私とアルビス船長、それにモンスター冒険者をひとめ見た幽霊海賊達は全てそう勘違いすると言う精神操作系の魔法を使った。


「アーク、アンタも結構危険な魔法を……」


「まあまあ、流石に向こうもそれなりの数いましたからね。真っ向勝負なんてしたらモンスター冒険者にも犠牲が出てましたよ?」


「──まあっそれはそうね、助かった事は礼を言うわ、アーク」


 礼を言われて鼻高々な私だ。幽霊海賊が宝島にいるとは私も考えていた、そして出くわしたらこの手の魔法で利用しようと決めていたのだ。


 何故ならここにいる幽霊海賊なら宝島の地理にも詳しい筈だ。何しろ何十年ここにいたのか謎な海賊達である、そしてアジトもあるらしいのでそこにも向かい情報をあるだけ戴くつもりだ。


 後もしかしたらリーダー格の幽霊海賊がいたら、それはそれでは使えそうかも…まあそれは可能性の話なので今は保留だ。


 仲間だと勘違いさせた海賊達は思いのほか友好的だった、私達を当たり前のようにアジトへと案内する。


 ついて行くと現れたのは、くぼんだ大きな穴だ。その穴の端に人が数人横に並んでも通れそうな道がありそこを進んでいく。


 まるで闇の中に歩いていくみたいな感覚だ、しかししばらく歩くと闇の中から幾つももの光が見えてきた。


 そして私達の視界に広がったのは大きな地下空洞にて幽霊海賊の類と思われる連中がかなりの数がいる市場みたいな光景だった。


 青白い光源が宙に幾つも浮かび、そのホラーな光景を鮮明に見せられる。なんじゃこれは、幽霊海賊達が海賊港の光景を再現したとしか思えない光景である。


 妙に活気がある幽霊海賊共が広大な地下の空間に村を作り上げていた。まあ建物は平屋の木造建築なのはジャングルの木を利用したのか?。


 本当にどれだけ長い年月をここで過ごしたらこんなのが出来るのだろうか、私はこの幽霊海賊共の適応力に呆れてしまった。


 流石にこの海賊村の幽霊海賊を全て相手にするのはモンスター冒険者でも無理である。下手にケンカを売らせないで正解だったな。


 私達を案内した幽霊海賊は「それじゃあまたな」と言ってどこかに行った。なので私達は行動を開始する。


「現状は私の魔法で幽霊海賊達はこの場の全員を仲間だと誤認し続けています。今のうちに宝島の財宝について可能な限り情報を集めましょう」


 アルビス船長のあの地図には島の中心にバッテンがされているだけなので道筋が分かんないのである、この島、空から地形を確認しようとすると魔法で視覚を妨害されて目で見る光景がボヤケて平行感覚とかを狂わされる。


 アレじゃあ地図のバッテンがある真ん中に空から案内する事すら出来ない。少し困っていた私の前にこの島について知ってそうな幽霊海賊が現れたのはある意味とても助かった。


 狙うのはやはり幽霊海賊の幹部だ。見つけさえすれば後は魔法でどうにでもなる。

 モンスター冒険者はそれぞれのパーティーメンバーで、私はアルビス船長と糸目の三人で行動を開始した。



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