第18話 モンスター冒険者の活躍
見るとジャングルの中で赤い虎みたいなモンスターが三頭現れていた。
大きさは軽く二メートルを超える虎だ、人間だった頃の私なら速効でちびる程に怖い。
しかし見た目の怖さならモンスター冒険者も負けてはいない。冷静に武器を手に構える。
「赤い虎ねぇ……コイツら島の固有種か?」
「知らん、しかし虎が連携する知能を持っていると厄介だな、それぞれのパーティで一体ずつ受け持つか?」
「その案採用よ!マブト!クトールはパーティーメンバーと戦って。ザガンは身長が高いから仲間が襲われないように虎と辺りを警戒。私とマルスで一頭虎を退治するわよ!」
アルビス船長の指示で動き出すモンスター冒険者、私が居なくなったからってアルビス船長を軽んじる真似をする輩がいない事にひと安心だ。
いたら普通に怒るからな、私が。
彼らはモンスター冒険者の中でも人間にもモンスター相手にも戦い慣れした熟練の猛者だ、何気にドラゴニアの冒険者ギルドでもトップクラスの冒険者パーティーと推されていない筈。
雇ってからずっと出番もなく暇していた彼らの本領発揮の機会が遂に訪れた。
「俺が前に出る!カール!デルマ!行くぞ!」
「「おうっ!」」
マブトは槍を愛用している、何かのモンスターの鱗を材料にしたらしき赤い槍だ。ファンタジーらしくて私はわりと好きな武器である。
槍を赤い虎に向かって放つ、虎に当たるがまるで金属同士がぶつかったような音がして槍が弾かれた。
「っ!?、コイツら硬いぞ!金属の体毛と表皮を有してると思え!」
「俺の大剣なら鋼鉄でも切れる、喰らえ!」
マブトのパーティーメンバーの大剣が虎に迫る、しかし虎はバックステップで躱す。
あの巨体には似つかわしくないスピードだ、攻撃を躱した虎は大剣を持つリザードマンに飛び掛かった。
「カール!デルマを頼む!」
「任せろ!おおーーーっ!」
マブトの指示に反応して虎に襲われた大剣持ちのリザードマンと虎の間に素手のリザードマンが割り込んだ、大剣持ちがカールで素手がデルマか。
デルマが呼吸を整え迫る虎に殴りかかった、彼はどうやらモンクだったらしい。普通なら虎と素手でやり合うとか人間なら普通に死ぬし、リザードマンでもキツいだろう。
しかしモンクは別だ、彼らはその拳で多数のモンスターも同時に相手にし、そして勝つために日頃から厳しい修行をしている連中だ。
私は暇な日はのんびり昼寝をしたいドラゴンなのでモンクにはなりたくない。私が殴ったら皆ぺしゃんこになって死んでしまうからな。
まあそれはどうでもいいだろう、それよりもモンクリザードマンの拳は思いのほか虎にダメージが入ったらしく顔面を殴られた虎は後ずさった。
「よしっ!やはり頭に喰らえばキツいらしいな、ササナ!全員に身体強化の魔法を頼む。一気に倒すぞ!」
「分かったわ!」
「「おおうっ!」」
あの杖持ってるリザードマン、付与魔法使いだったのか?白い服装してるが……まさかプリーストか。そして女性らしい。
まっまああの調子なら問題なさそうだ、私は他の連中を見る。
「……深淵の闇を見るがいい」
「ゴオオオッ!」「グポポポポ!」「ヌウゥ~~ン」
タコ頭のクトールが何やら怪しい魔法を使おうとしてる、ちなみに虎は奇声を上げるクトールのパーティーメンバーである人型の身体に魚貝類の頭が乗っかるシーフードな連中が抑えていた。
シーフードの内訳はヤドカリ頭(ヤドが帽子)とエビ頭で両手のハサミで虎を牽制してる。もう1人はヒトデだ、頭だけな。ヤツは水鉄砲を飛ばして虎をイラつかせていた。
そしてクトールが使おうとしてる魔法は発動すれば虎くらい即死させるくらい簡単な上位の攻撃魔法だ。あっちも問題はないな。
さてっ1番の問題はやはりアルビス船長とマルスだな。
「オラァッ!こんな虎くら訳ないね!オラァオラァッ!」
やはりマルスは独断専行したな、虎相手に剣を抜いて攻撃を仕掛けているが虎は確実に間合いを見切って躱しているな。
あの虎が魔法とか使えたらどうするつもりなんだか、マルスもモンスターなんだからモンスター相手に油断とかするなよ?。
「マルス!一人で前に出すぎよ!わたし達の目的は探索なんだ、虎なんてせめて追い払えればいいんだ。無茶をして怪我をする方が危険なんだぞ!」
「アルビス船長は海賊のくせに臆病だな!?そんなんだからモンスターの冒険者とか船員にする事になったんじゃないんですかい?」
「なっなんだと!?このキツネ耳が……マルス!危ない!」
「え?…ぐおっ!」
マルスがアルビス船長の話に気を取られたスキを虎が遠慮なくついた、マルスの攻撃を掻い潜り虎は体当たりをマルスにかました。
吹っ飛ばされるマルス、虎は追い打ちをかけようとしたが今度はアルビス船長が立ちはだかる。
「マルス!動けるなら一度下がれ!コイツはわたしが相手をする」
「…………!」
アルビス船長の剣は人間相手には強い技の剣だ、しかし虎が相手となると危険だな。せめて槍が欲しい所だ。
しかしあの虎には多少なりとも知恵がある、問答無用で襲われたらヤバいが剣を危険だと判断する相手ならアルビス船長にも勝機がある。
「あっ船長危険。ウラッ!」
そこに無慈悲に振るわれるのはザガンの棍棒だ。せっかくのアルビス船長の活躍の場は奪われてしまった。ザガン強ぇ~~虎が瞬殺だよ。瞬殺。
その後はマブト達もクトール達も虎を危なげなく倒した。やはり数もいるので虎のモンスターくらいは問題ないらしい。
その後アルビス船長達はジャングルである程度開けた場所を見つけてそこでキャンプをする事にしたらしい。
見るとテントを張ったり、焚き火の準備をしている。料理の準備もだ、あのザガンパーティーの二人に持たせていた大荷物にはそんな物が入っていたのか。
なかなか快適そうなベースキャンプである、そこで私がそこに行くと……。
「おつかれさまですね。私も休ませてくれますか?」
「……………絶対にダメよ」
「「「「「「……(コクコクッ)」」」」」」
え~~なんで?モンスター冒険者達が無言で頷いて私のテント休憩を拒否するアルビス船長に同意してる。なんてチームワークだ。
その日の夜、私はベースキャンプの外で寝ることになった。トホホである。




