第16話 魔導式ラムキャノン
さてっ刻一刻と幽霊船団が近づいてるのでそろそろ準備に入るか。
「距離もあるので心配はいらないでしょう、この魔導軍艦の主砲をかまします」
「主砲って、この船に砲台も何もないでしょう?」
確かにアルビス船長の言うとおりだ、この魔導軍艦は軍艦だけど主砲とかを船自体に装備してはいない。
と言うのも魔導軍艦は速度もある程度維持する必要もあるからか、その為に邪魔だから最初から設置されていないのだ。
「しかし代わりに魔法兵器を装備しています、見てて下さい」
魔導軍艦の甲板には船頭と後ろ、そして船体の左右に金属製の大きな板が設置されている。
その板には幾何学模様が彫られている、それはゲームとかで見る魔法陣のようなものだった。
彫られた模様が光る、すると数メートルサイズの魔法陣が幾つも現れた。それらは宙を移動して魔導軍艦の前方に展開した。
「これがこの軍艦の主力兵器、魔導式ラムキャノン砲です、あの魔法陣から魔法で創られた『槍』を放ちます。それはこちらの敵に自動で追跡し視界に入る距離ならどれだけ離れている敵でも破壊します」
まあ私が魔法かドラゴンの力で破壊しても良いのだが、わざわざ魔導軍艦を用意した訳だしちゃんと活躍して欲しいのだ。
魔法陣が輝きだす、するとその中心から幽霊船団の方に向けてニュッと光る鋭利な突起が生えた。
それは他の魔法陣も同様、全て幽霊船団に向けて発射準備完了である。
「それではアルビス船長、お願いします」
「分かったわ………魔導式ラムキャノン砲発射!」
アルビス船長の号令に合わせて、私は幽霊船団に向けてラムキャノン砲を発射した。
魔法陣からドシュドシュッと音を立てて発射されるのは光る巨大な槍だ、およそ人間が持てるヤツじゃないサイズ、丸太くらいの長さはある。
それが見づらい霧の中の幽霊船団に向けて真っ直ぐに飛んで行く、ドラゴンの私が魔法を操作してるからな、外れる心配はない。
最も向こうからすればこれだけの距離があっては魔法も届かないだろうと考えていたらしく、こちらの攻撃が発射されて直ぐは威嚇射撃かなんかだと思っていたようだ、私が目視で確認したら大して慌ててはいなかった。
しかし数秒後放たれた『槍』がぐんぐん飛距離を稼いで接近すると、オイオイあれマジかよ?って感じでにわかに慌て始めた。
その時点で慌て始めても遅いぞ、うすのろめ。
私は幽霊やらガイコツパイレーツが慌てまくる様を眺めながらヘラヘラと笑っていた、だって普通は見れないからである。それでは真面目に観察を開始するか。
────放たれた光る『槍』、総勢二十発。
幽霊船団にも魔法を扱う者は多数いた、魔導師のゴーストやワイトメイジである。
しかし彼らは即座に理解する、あっあれは自分達の魔法じゃどうにもならんと……。
何故なら魔法兵器の魔法とは発動と操作こそ術者がいるがその攻撃魔法自体は事前に数十人、或いは数百人規模の魔導師や魔術師が魔力、魔法を込めて数日間かけて準備するものだからだ。
そんな高レベルの攻撃魔法を防げる結界魔法を即座に展開出来る者は人間でもモンスターでも幽霊でもまず存在しない。
無駄とは分かっていて魔法の結界を張る、他に出来る事が無いからだ。
幽霊船団の左右一番端っこの船、それぞれ一隻に魔法が同時に直撃する。
結界魔法は意味を成さず、船と幽霊海賊達は一瞬で蒸発した。
今度は左右それぞれ二隻ずつに『槍』が同時に直撃した。消し飛ぶ幽霊船を見た残りの幽霊船団の連中は、この攻撃魔法はターゲットから攻撃速度から完全にコントロールされている事を理解した。
本来は魔法の発動とターゲットを選ぶ事は出来る、しかしここまで魔法兵器を完璧に操る真似は普通は不可能なのだ。
それを知る幽霊船団の一部の者は、ケンカを売る相手を間違えた事を知った。
幽霊船団の左右それぞれ3隻に『槍』が同時に直撃する。幽霊船団は崩壊した、幽霊海賊達は我先にと船から飛び降りて逃げようとした。
「今まで散々海賊として、或いは幽霊海賊として好き放題にしといて。ここで逃げるか……」
まあ私も人間だった過去はあるので気持ちは理解出来る、ゲス程自分が可愛いのだろう。自分が他者に強いてきた理不尽を他ならぬ自分が強いられる側になるのが耐えられないのだろう。
残り三隻、『槍』はそれぞれの船の遥か上空へと飛び……そして停止した、空中に。
呆然とその光景を見つめる幽霊海賊達、そして『槍』は時計の針のように回り。その切っ先を下の幽霊船へと向けた。
………このまま落とすのは簡単過ぎるな。
私はラムキャノンにアレンジを加えた。
ん~~~!合体!。
残った全ての『槍』が合体した私のオリジナル魔法『闇鍋オールフュージョン』である、この世にあるものなら大抵の物を強制的に合体させる。
それではトドメである。
幽霊海賊達が海に潜る、『槍』が船を貫いた。
残った幽霊船も潜った海賊達も全て蒸発して消え失せる。幽霊船団の殲滅が完了した。
はいっ真面目に解説すんのはお終いである。
「……さっ幽霊船団の掃除も完了ですね、魔導軍艦を操作して進みましょうか」
「そうね、わたし達の目的は宝島だしね」
アルビス船長も開き直った。幽霊船団とかただの障害の一つである、そんなものにこちらは興味はないのだ。
さっさと地図に載っている宝島に行く。そこからが我々パイレーツとモンスター冒険者の冒険が始まるのだと信じてる私だ。
作者のやる気に繋がるので評価をお願いします。




