第15話 魔導軍艦対幽霊船団
その後マルスをアルビス船長の前に連れて行く。海賊は殺すと息巻いていたヤツがノコノコ海賊船に乗り込んだのだ、これはお見逃し出来ませんって話である。
「マジか、コイツ俺達が運んだタルに隠れてたのかよ……」
「確かに妙に重い空のタルがあったような…」
マブトパーティーが驚く、その声に芝居じみた雰囲気は感じないので恐らくウソはついていないだろう。なら別に構わん、私はアルビス船長にこの不届き者の処遇を聞く。
「アルビス船長、このマルスと言う糸目の冒険者をどうします?」
「──そうね、先ずは何が目的でこの船に忍び込んだのか、話す気はある?」
「…………」
「──アーク」
「仕方ありません、ここは魔法で質問に全て素直に答えてくれるように……」
「ちょっちょっと待った!話す、話すから」
私とアルビス船長の小芝居で素直になったようだ、マルスは話し出した。
「俺も冒険者だ。これだけのメンツが集まって何かしてる、コイツは金の匂いがするだろう?それでちょっと忍び込んだらアンタらの船だったって話だよ……要はたまたまだ、たまたま…」
「「「…………………」」」
話としては筋は通る……か?まあここでどうするかはアルビス船長の判断だ。私は彼女の方を見た、アルビス船長は少し考える。
「まあ既に海に出てしまっているし、その気があるなら船員として雇うことも構わないわ。どうする?」
「おおっ!そりゃあありがたい、所でそのねえちゃんが大将なのか?」
「そうです、この船の船長は彼女です。私は彼女の依頼で船や船員としてマブト達を雇ったに過ぎません、ですから彼女に従える者だけがこの船に乗っています」
「──分かった。俺もねえちゃんに、いやっ船長に従うぜ」
話は決まった、正直海賊は殺すとか公言してるこの糸目野郎を海賊であるアルビス船長の近くに置くのは不安だが、まあどうにかなるだろう。
そんなマルス関係で船内がゴタゴタしてるとクトールがこちらに来て話をし出した。
「この先の海域に不自然な霧が立ちこめておる、それと……霧の中から妙な気配が見え隠れしておるぞ」
なんと?確かに目をこらすと海の向こうから霧が広がってきていた。夜だから気づくのに遅れてしまったようだ、糸目を適当にオモチャにしていたのが仇になったか!。
………っま、だから何だと言う話だがな。
「アルビス船長、幽霊船の強襲の可能性がありそうですよ」
「まさかここまで早いお出迎えとはね。まあいいわ、船員全員に伝えて。幽霊船が来たわ、臨戦態勢よ!」
「分かりました」
見ると確かにあの霧は魔法の霧だ、普通の霧と違い生きてる様に動く。その魔法の霧がこちらの魔導軍艦の周囲を完全に包囲してしまった。完全にこちらを獲物として見てるか幽霊船のヤツらめ。
まあこっちは魔導軍艦なので幽霊船なんて相手にならな…。
「ん?あの霧の中の気配、少し多くないですか?」
「なんですって?」
観察を続けると霧の中から青白く光る幽霊船が現れた、しかし問題はその数だ。
一隻……二隻……三、四……マジか。
「全部で十五隻ですか。完全に幽霊船団ですね」
「ちょっと!?あんな数知らないわよ」
アルビス船長の時はもっと少ないって話だったのに、ならこちらの魔導軍艦を見て向こうも本気を出して来たという訳だな。
「貴女の話が本当なら、そろそろ海底からも幽霊船が現れてこの魔導軍艦に接近してくる筈ですが」
そんな話をしていると確かに海の下からモンスターの気配が大量にしてきたな、これが海底からの不意打ち部隊か。
「魔導軍艦は私の意思で操れます、海底から浮上してくる幽霊船に体当たりでもして一発かましませんか?」
「それ採用、海賊に二度同じ手は通用しないって事を教えてあげるわ!」
「───海賊ねぇ」
妙な反応をするマルスは緊急事態なので無視した、そして幽霊船が出現するであろう場所にあたりをつけて魔導軍艦を操作する。
場所は右斜め後方、現れるタイミングジャストでぶちかましである。
「………………!」
ザッパァアーーーンッと幽霊船が浮上してきた、登場と同時に移動していた我が魔導軍艦が幽霊船の目の前に迫る。
喰らえ、魔導軍艦のぶちかまし!そぉーーいっ!。
ズッガァアーーーーーーーーーンッ!
ちなみにだが、向こうは幽霊船でも所詮帆船、その全長は大体30メートル、全幅は10メートルもないくらいである。
一方のこちらは仮にも軍艦であるその大きさは。
全長120メートル、全幅は20メートルはあるのだ。ぶちかましされた幽霊船は海の藻屑となって消えた。
「「「……………」」」
「幽霊船もこうなると呆気ないですよね、ささ、次は遠目の幽霊船団の相手ですよ~~」
更にちなみにの話だが、日本で一番有名な戦艦で大和ってあるけど、アレの全長は二百三十六メートル、全幅三十九メートルとこの魔導軍艦のほぼ倍の大きさだったりする。
そんなのが海に浮かぶんだ。凄いねって話。まあもっと大きな豪華客船とかもある、確か全長三百六十メートル以上だったっけ?人間って本当に無駄にデカい物とか造るものである。維持費が大変な事になるのぞ。
まあそんな話はどうでもいい、この魔導軍艦の凄さが霞む話をしてしまった事を猛省する私だ。
「幽霊船団、こちらに向かって来てるぞ!」
「おうおう、数で押せると判断したか?どうします大公の旦那」
すると幽霊船団が見える甲板にぞくぞくと集まる我がモンスター海賊団(仮)、アルビス船長もこちらに視線を向ける。
他のモンスター冒険者達もだ、確かに普通に戦えば負ける戦力差がある。しかし実はそんな事は問題なかったりする。
「アーク、あの幽霊船団に勝てる見込みはあるの?」
「はいっもちろん、後の残りは距離があるウチに魔導軍艦に搭載された魔法兵器で消し飛ばしてしまいましょう」
「「…………………」」
何だよ、わざわざ船員同士でやり合う戦闘とかするわけないだろう?。こっちが有利なのだから。
と言う訳で……待たせたな群がる幽霊船共よ。
我が魔導軍艦の見せ場の為に撃沈しなさい。




