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第12話 モンスター冒険者

 しかしアルビス船長と言い合いをしていても話は平行線のようである、仕方ないので目的地に向かおうか。


 ジグラードから目的の場所はそこまで離れてはいない、歩くこと数分で着いた。

 そこは出入り口の扉の上に剣とか杖とか盾のレリーフが彫られた板が吊されていた。


 ファンタジー世界的に言う冒険者ギルドである、モンスターの世界にも冒険者ギルドがあるのだ。


「冒険者ギルド?まさかそんなのまであるの?」

「あるんですよ、モンスター冒険者が登録して活動しています」


「モンスター冒険者……世界は広いわね」


 確かに、モンスターって冒険するより冒険する連中を襲うのが仕事みたいなイメージある。しかしこの世界ではモンスターもひと山当てて良い生活を夢見ているのだ。


 中に入る、まんまラノベやマンガの冒険者ギルドのイメージ通りだ。


 武器を携え防具を着込んだ様々なジョブだかクラスだと思われる実にガラの悪い連中が丸テーブルを囲んで談笑をしている。


 イメージと違うのはそれが人間っぽいのからそうじゃないのまで、様々な種族がいることくらいだ。


 ネコミミ女子もいれば本物の猫が二足歩行で歩いてる、長靴を履いたネコとかだ。後は身体が木で出来たヤツとか岩の身体を持つオークみたいなのまでとアルビス船長には少し刺激が強い光景が広がっている。


「本当にモンスターが冒険者をしているのね」

「やはり海賊は冒険者とも繋がりが?」


「わたしが海賊の見習いだった時に海に出現したダンジョンのお宝を狙ってドンパチした事ならあるわよ?」


「話を聞くと冒険者も海賊も似たようなもんなんですね。私にはその2つの違いがチンピラと半グレとゴロツキと大差ないイメージしかないんです」


「……………アンタね」


 とりあえずアルビス船長を伴ってギルドの受付カウンターに向かう。そこにはハゲた頭に一本角を生やしたガラの悪い大男がでんっと居座っていた。


 仮にも冒険者ギルドを名乗るなら受付カウンターには美女置けこのゴロツキの吹き溜まりが!。


 そんな義憤に私は駆られた、しかしそれはおくびにも出さずに話をする。


「すみませんが腕の立つモンスター冒険者を何人か紹介してくれませんか?」


「──あ?何で人間がこんな所に」


「人間がこのファーブニルを歩いてる訳がないじゃないですか。私はモンスターですよ、ただいつもこの姿なだけです」


「確かに、そりゃあそうだな。分かった、仕事の話を続けようか……冒険者が欲しいならぶっちゃけ幾ら出せるかが問題だ」


「ならこれくらいで」


 私はカウンターに袋を置いた、その中には金色に輝く棒が何十本もはいっている。この裏の世界の貨幣だな、金貨じゃなくて金の棒である。


 勿論一本でそれ相応の価値がある、それを目にしたハゲ角は目の色を変えた。


「ハハハッ!コイツは大口の取り引きって訳だな?」


「はいっ出来れば別室を用意してくれると助かります」


 ハゲ角は笑顔で了承したと言って一度店の奥に消えた。するとアルビス船長が私の後ろにコソコソと来た。


「ちょっと何よあの大金は、わたしはアンタにあんな金払えないわよ?」


「大丈夫ですって、こんなのはした金ですから」


 何より元はタダで手に入れたドロップアイテムである。金とかドラゴンの一生ではマジで必要ないのだ。


 アルビス船長はアンタはどこの富豪なんだっと言う感じの視線を向けられるが無視した。


「ん~~?匂う、匂うぜ~~?コイツは海の塩の匂いだ………」


 なんか背後からまた別の声がした、野郎の声の時点でアウトなので無視してしまいたいが仕方なく後ろを振り向く。


 そこには狐耳を生やした金髪ロン毛の青年がいた、糸目のイケメンである……ちっ。

 私はイケメンは無条件で張り倒したくなる病をもったドラゴンだ。張り倒させろ。


「誰ですか貴方は」


「俺の名はマルス、妖狐族のモンスター冒険者だ」


 妖狐族、要は獣人の狐さんバージョンである、人を化かしたりは出来ないが耳と鼻はとてもよく、素早い身のこなしと独自の魔法っぽい術を使うモンスター種族だ。


「俺が用があるのはアンタじゃねぇよ、そこの女だ」


 アルビス船長?まさかナンパか?もしナンパなら表に出ろって話になるぞ糸目。


「───わたしがどうかしたって?」


「匂いで分かる、お前は人間だな?」


 匂いでか、モンスター種族には鼻が良いやつは多い。やっぱり隠し通すのは無理かな?。


「──まっ人間かどうかは俺はどうでも良いんだ、問題は海の塩の匂いの方だ……アンタは海のある街で働いてるのか?」


「ならなんだってのよ?」


「いや?ただ俺は冒険者だが海賊が大嫌いなんだよ。もしこの街に海賊がいたら殺してやりたくなるくらいな……」


「「………………」」


 なんてピンポイントな事を言ってくるのだろうかこの糸目は、これは完全にアルビス船長の素性がバレているのではなかろうか?。


 ってかバレているな絶対。


「海賊?まあ海賊は嫌われてるわよね、このモンスターの国でも」


「……………」


 しばし不穏な空気が流れる、しかし奥からハゲ角が現れた。


「お客さん!こっち来てくれ……ってマルスお前何絡んでんだ?その方達は上客だから失礼な真似は辞めろよな!」


「───分かったよ、じゃあな」


「すみませんね、アイツは腕は確か何だが少し気難しいヤツで。それじゃあ奥に……」


 ハゲ角からは用意出来たとのこと、私達は奥の部屋に通された。


 奥の部屋に行くとソファとテーブルがあり、奥には事務仕事用の机があった。

 そしてその部屋には数名のモンスター冒険者が立っていた。


「彼らはこのファーブニルの冒険者ギルドのモンスター冒険者でも五本の指に入るトップパーティーのリーダー達ですよ」


 見るからな高そうな装備やダンジョン産の装備で武装したモンスター冒険者である、確かに彼らならトップパーティーと言われても納得出来る。その自信に満ちあふれた表情、一目で実力者だと分かった。


 ちなみに種族的な説明をすると赤い鱗のリザードマン、二足歩行するマンモスマンみたいなヤツ、タコが頭になってるボディ人間みたいなヤツである。


 無論彼らを見たアルビス船長は無言である、もう少し人間ベースのモンスター冒険者が良かったと言うのが彼女の気持ちだろうな。


 しかしアルビス船長が向かうのは未知と危険が溢れる未知の宝島なのだ。ならば私は可能な限り手練れのモンスター冒険者を用意しよう。


 何故なら私は船の入手までしたらその後はアルビス船長の後に続く下っ端海賊に戻る予定だからな。


 ……あくまで私の目的は、女海賊アルビスの海洋浪漫冒険活劇を共にして、職場体験する事なのだから。手助けはある程度までっである。


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