インスタントフィクション 「君からの雨」
君によく出会う日はだいたい雨の日だったね。
君はほんと気まぐれな性格だから大変なんだよ。
君の顔色はコロコロとよく変わって、雨を降らせるから。
ときに甘いような、ときにしょっぱいような君の雨。
僕は君の雨受け皿になるために生まれた気がする。
でも、君と僕の距離間はけっこう曖昧だよね。
僕は君とずっと一緒にいられない。
僕は君がゆっくり僕から離れていくのをみていることしかできない。
君の雨を受けるのは僕じゃなくてもいいだよね。
でも、覚えていてほしいんだ。君の雨が僕を潤していたことを。
もし、また巡りあって出会えたら、静かに僕を見守ってほしい。