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エピローグ「Promissing Farewell ~未来への別れ~」

朝焼けに照らされる港に、二人の少女の姿があった。潮風に吹かれ、微かに揺れるブロンドの少女の前には、竜族の少女が佇んでいる。


そして、竜族の少女の顔面の左半分は痛々しい包帯で覆われていた。


「こいつをアタシが死んだ証拠として、例の依頼人に渡すように、『スマイリーズ』に掛け合ってくれ。スマイリーズに対する、この件についてのケジメにもなると思う」


ミティスはそういうと、キリエに薄汚れた瓶を手渡した。中の液体に浮かんでいるのは、キリエの剣で切り離した彼女の左の眼球だ。


「……わかった」


キリエはやるせない気持ちを抱えつつも、その瓶を受けとる。


「あんたには迷惑ばかりかけちまったな。……本当にごめん」


ミティスはそう言って頭を下げるとすぐに背中を向けて、国外行きの帆船へと歩き出す。


「ミティス!」


キリエはその重苦しい背中に向けて、必死に声を張り上げる。


「今の貴女に届くか分からないけど……これだけは言わせて! 自分が何者かを決めるのは、誰の血を引いてるかじゃない! 貴女が何を成し遂げたかなんだよ!」


キリエの目には涙が浮かんでいた。


「それと……私が友達になったのは、正しいことをしようともがいている、『三日月の守護者』なんだからね! 辛かったら、いつでも駆け付けるから! 忘れないでよ!!」


ミティスはふとその場に立ち止まると、キリエの方を振り向いて、寂しげな笑みを浮かべた。


それが、今の彼女にとって精一杯の感謝の表現なのだろう。キリエはそう思い、自身も精一杯の笑顔で返す。


やがて、ミティスの背中が見えなくなると、キリエもまた涙をぬぐって歩み始めた。


ほぼ同時に、彼女のスマリトが着信を告げる。


[キリエか!? ヴィッキーだ。『ゴールド・ブレイズ』に緊急の依頼が来てる。イカれた怪物が暴れまわってるってさ。すぐに戻ってこれるか?]


「うん。任せて……すぐに行くから」


そう告げてスマリトを切ったキリエの表情が、みるみるうちに戦士のものへと変わっていく。


この異世界でもがき、傷付き、それでも生き抜こうとする者たちのために闘う戦士、ゴールド・ブレイド。


彼女は新しく出会い、そして去っていった友への想いを胸に秘めながら、次の闘いへと立ち向かうのであった。






  G O L D  B L A D E   &   D  R   A  G  O  N !



                 -END-











「はぁ、はぁ……やっと、届いた……」


毒婦の街では夜通しもがき続けたカノンフェイスが、ようやく自身の切り離された下半身の元へとたどり着いていた。


「くそっ、あの小娘共……今に見てろ。すぐに見つけ出して八つ裂きに……うん?」


改めて周囲の状況を確認したカノンフェイスは、自分が街の娼婦たちに取り囲まれていることに気がつく。


娼婦たちはみな憤怒の表情で、手に手に包丁や木の棒といった武器を持っている。カノンフェイスは、毒婦の街の娼婦たちは大体横のつながりが強いことを思い出した。


「おいよせお前ら……復讐は何も産まないぞ」


娼婦たちがそう思っていないことは明白だった。

これにて「ゴールド・ブレイド&ドラゴン!」、ひいてはゴールド・ブレイドシリーズ3部作はひとまずの完結です! 次回作の構想は既に出来上がっていますが、内容としてはミティスのその後を描いたラブコメ要素ありの話になると思います。完成がいつになるかはわかりませんが、楽しみにしていただけると幸いです。それではまたどこかでお会いしましょう! 

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