第7話 イジュースを操れ!?
タンスを投げつけられてイジュースが無理矢理だが出せるようになってから1ヶ月。
サンディルは側頭葉のトレーニングや筋トレを始めたり、何時でもイジュースが出せるようになるように「ポルテチオ」を何度も言い放って側頭部を擦り、イジュースを何度も出したりしてみた。
それでもって、黄色いイジュースを出せるようになったサンディル。
ヘライクマーはサンディルの成長速度に驚いた。
そして課題は次の段階へ進んでいくのであった。
夕暮れ、ヘライクマーがまた本から出てきた。
「今度はイジュースを操る練習をしてみようか。」
サンディルには自信があった。
何せ、何度もイジュースを出してるうちに、コントロールも少しばかり出来るようになっていたのだ。
しかし、コントロールの練習はそんな次元の話では無かった。
ヘライクマーは帽子から羽ペンを取りだし、サンディルの部屋の至る所に✕マークを書き始めた。
「ちょっと!何してるの??」
「これから、イジュースを飛ばして、この6つの✕マークの真上を通過しながら最終的に自分の腕に吸い込ませてもらう。
腕は力を抜いて前に伸ばしたまんまでいろ。
最後に腕を曲げさせてもらう。
お前は腕を曲げられないようにイジュースで腕を強く固めろ。
力で腕を強くしても俺からしたら簡単に曲がるからな。」
サンディルは聞いて驚いた。
「イジュースってそんなに飛ぶものなの!?」
「あぁ。飛ぶぞ。最長記録はお前の祖父にあたる「グレカ・ブランデー」の1kmだ。
ちなみにイジュースは飛ばせば飛ばすほど威力が下がる。
つまり、飛ばし続けた後でも強いパフォーマンスが出来れば、そんなに飛ばさずにイジュースを使えばより強くなる。」
「えぇ…1kmも??
そんなに飛ばしてなにか意味があったのかしら。」
ヘライクマーは少し笑った
「どういう意味でそんなに飛ばしているかは分からないが、それだけ飛ばせたってことはそんだけイジュースが強かったってことだからな。」
サンディルはイジュースをだして早速試してみようとした。
しかし、いちばん近くにある✕マークにさえ達する前にイジュースが消えてしまった。
「もう1ヶ月あれば出来るようになるかしら………。
いや、いくらかかっても出来るようにならないと!」
サンディルは次なる課題に燃えた。
次の日、学校でサンディルは誰にもバレないようにイジュースを窓から外に向かって長時間飛ばす訓練を自主的にはじめた。
これにより、以前以上に長くいジュースを飛ばせるようになった。
サンディルはこうして、隙間時間を見つけてはそれを上手く使って練習を続けたのであった。
そして、後残す問題はコントロールのみとなった。
家にて、サンディルは✕マークがつけられた部分の真上を通る練習を続けた。
その練習は家でしか出来なかったため、家での時間は食事と風呂以外ずっとイジュースに時間を費やしていた。
それから1ヶ月後…
「ヘライクマー、見ててね。」
「あぁ。分かった。」
サンディルはとうとう、ヘライクマーにテストしてもらう実力に漕ぎ着けた。
「それじゃいくね。」
サンディルは左側頭部を華麗に指でこすり、イジュースを出した。
まずは、✕マークの通過の試練。
サンディルは3つの✕マークを綺麗に通過して、4つめの✕を通過しようとした時に練習をしすぎたせいか頭が少しふらっとしてしまった。
しかし、無事6つの全ての✕を通過した。
そして残るは腕の試練。
全てを通過した光を腕に吸い込ませて、曲がらないように力を与えた。
ヘライクマーはゆっくり近づいてサンディルの腕を掴んだ。
「さぁ、これで結果が分かるぞ。
いちにのさんで曲げるか。」
「わかったわ。いちにのさん!」
そして、ヘライクマーはグッとサンディルの腕を曲げようとした。
結果は、曲がらなかった。
サンディルの努力は勝利した。
「やったーーー!!!
1発でクリア出来た!!!
凄い快感だわ!!!」
「よくやった。見事な捌きだった。」
へライクマーとサンディルはタッチした。
「これだけ出来れば緑の帝王の破壊はできるぞ!」
ヘライクマーはウキウキ声で喋っていた。
「それじゃぁ教えて!緑の帝王は何処にあるの!?」
「待て待て。すぐに準備する」
「準備??」
ヘライクマーは本に手を突っ込みガチャガチャと漁り始めた。
「あった。これだ。」
そしてヘライクマーはピンクのリブタートルニットを出したのであった。
「これなに??」
「見ての通り。ピンクのリブタートルニットだ。
着てみろ。」
サンディルは言われるがままにそのリブタートルニットを着てみた。
「これ、なんか意味があるの??」
「イジュースを浸透しやすくて丈夫な生地出できるている。これがあればどんなことをしても破れる心配もないし、イジュースを最大限に活かせることも出来る。」
サンディルは試しにイジュースを腕の中に流し込んでみた。
「凄い!イジュースのパワーを前よりも感じる!!」
ヘライクマーはその感想に喜んだ。
「それはよかった。
それじゃぁ行ってみるか!「グリーンキングダム」へ!」
「グリーンキングダム??今から行くの??」
ヘライクマーは本のページをパラパラめくり、「グリーンキングダム」のページを開いた。
そして本を机の上に立てて、サンディルを本から2、3メートルの所に立たせた。
「今からグリーンキングダムに行ってもらう。
向こうで何時間、何日過ごしても、こっちの世界では10秒足らずだ。
これから、ミッションを与える。
グリーンキングダムに行って、緑の帝王を破壊してこい。
何度こっちに戻ってきても構わない」
「何だかドキドキしてきた。」
サンディルはこれから起こることの予測がつかずに緊張が高まった。
「それじゃぁ出発5秒前。」
ヘライクマーはカウントダウンを始めた。
「4,3…そうだ、サンディル言い忘れた」
「何!?」
「なるべく死ぬな」
「え??」
本は眩く光だし、サンディルはその光に飲み込まれ…消えた。