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イジュース・ファンタジー  作者: 辻 雄介
冬の戦士編
28/36

第28話 ミゲルの悩み!?

30年前……

フロール・フューゲ当時12歳の頃。

「俺はバットでボールを打っただけだ!!」

フロールは草野球をしている時にホームランを打ち、ボールが何件か先の家の窓ガラスを割ってしまった。

「フロール!!謝りなさい!!」

母はフロールに厳しく言った。

フロールが罪を認めなかったからだ。

フロールはその後にしぶしぶと「ごめんなさい」と言った。

しかし、フロールの心はモヤモヤしていた。

「せっかくの記念すべきホームランだったのになんで謝らなくちゃいけないんだ!!」

母と手を繋いで帰っていたフロールは不満を打ち明けた。

「フロール、悪気がなくてもやってしまったことは事実なのよ。

今回は偶然でこのような事態になってしまったのは分かってる。

あなたが悪気があってこんなことをする子じゃない事はお母さんしってるの。

だけどね、時には偶然起こったことでも頭を下げなきゃいけないときがあるのよ。」

フロールは下を向きながら「うん」と答えた。

天へ昇っていくフロールにふとそのような記憶が甦ってきた。

「あれ……なんで今こんなことを思い出すんだろう…。」

フロールは何故か母親との記憶がしんみりと甦ってきたのであった。

たどり着いた天国は一面真っ白で地平線がどこまでも続いていた。

「うわぁ……ここが天国か……。想像以上の場所だな……。」

「フロール兄ちゃん」

すると、どこからか聞き覚えのある声が聞こえた。

「ハロル……?ハロルなのか!?」

「そうだよ!ハロルだよ!!」

フロールとハロルは天国で再会を果たした。

「他の兄弟は??アンサー兄さん達は??」

「まだ天国に来たのは僕らだけだ。」

フロールは肩を落とした。

「あの時殺された時…俺たちは天国へは行けず、遺体が埋められた場所でずっと幽霊として居続けるのかと思ってた…。」

「僕もそう思ってたよ。でも、違った。」

「そうだ!!ミゲルに会ったんだ!!あいつ植物の体になって蘇っていたんだ!!」

フロールは興奮気味にミゲルに会ったことを話した。

「僕も会ったんだ。ミゲル兄さん悲しそうな顔してたな。」

「そりゃそうだろうな…。目の前で兄弟が死ぬんだもんな…。」

その時、フロールが何故ホームランの時の思い出が甦ってきたのかが分かった。

「そうか……分かったぞ…。」

「何が分かったの?」

「いや、これは私情だ。」

きっと悪気はないがミゲルを悲しませてしまったことに関係しているのだとフロールは感じた。

「ミゲル……悪いな……。

お前にばかり悲しい思いをさせて…。」

「フロール兄ちゃん。

気にしなくてもいいよ。

ミゲル兄さんもきっとそのうちここにたどり着くよ……。

きっと……、きっと……。」

フロールは天国で下を眺めた。

「そうだなきっと。

俺たちまたひとつになれるんだろうな。」

天国の下にはいつまでも高く長く続く景色があった。


一方、ヘライクマーは……。

「騒ぎは落ち着いたようだな!

よくやったサンディル!!

まだ赤いイジュースは上手く扱えないから黄色いイジュースで対応したのか??

まぁいい!!それにしても良かった!!」

ヘライクマーはテレビをつけて現場の様子を見ていた。

「あとこれと同じような騒ぎが3回も起こるのか……。

それにどこで発生するかはランダムなようだしな…。

これは対処が大変だぞ…。

俺も出動するしかないか??でもどうやって……。

誰かが俺に本を近づけながら戦わなきゃいけなくなる。

そんな手間があるから俺はお荷物になるんだよなぁ……。」

悩んでいるヘライクマー。

何かサンディルを手助けできる方法はないのであろうか。


一方、サンディル達は……。

「やったなサンディル!!

驚いちまったぜ!!戦う姿を見るのはまるで遊園地のアトラクションに乗ってる気分だった。

あの大量に物が浮かんでる中で物を反射させる考えにはびっくりした!」

「ありがとうカー・リッカー。

あなたがここに連れてきてくれたお陰で事は解決できた。

でも、解決すればするほどミゲルは兄弟を失うの。

だから……私素直に喜べないわ……。」

すると、ミゲルがフロールの遺体から戻ってきた。

「イジュースを受け継いだ。

そして、冬の戦士の1部も手に入れた。」

ミゲルは受け継いだハロルとフロールの2つの赤いイジュースと冬の戦士の1部を見せた。

「冬の戦士ってなんだ?」

カー・リッカーは言った。

「ダイアン・ダウンズっていうイジュースを扱える人間の最大の敵の魂の1部のことを言うの。

最終的に破壊するんだけどね……。」

サンディルはそう解説した。

「そいつはリンダリン・リアルよりも強大な敵なのか?」

「いや、それは分からないわ。

リンダリン・リアルっていう名前を知ったのはつい数日前だから……。」

「そうか……そうだよな……。」

「でも可能性として、リンダリン・リアルがイジュース使いだっていう可能性は高いわ。」

「僕もそう思うよ。

僕ら兄弟は元々イジュースなんか使えないもん。

イジュースの力を与えたのがリンダリン・リアルならそれは確実だね。」

ミゲルが横から言った。

「とりあえず目の前の敵は倒したんだ。

帰ろう。サンディルの家まで。」

カー・リッカーは言った。

そして、3人は車でサンディルの家まで戻ることにした。

それから30分後……。

ミゲルは思い悩んでるようであった。

「どうしたのミゲル。

そんな暗い顔をして。」

サンディルがそう尋ねた。

「ヘライクマーに言われたんだ。

僕は敵なのか、味方なのか、って。」

「そんなに気にしなくていいわよ。

ヘライクマーって気分屋なところがあるから。

たまたま聞かれただけよ。」

サンディルはミゲルを慰めた。

「そうかな……。僕自身もすごく気にしてたんだ。

僕は今こうしてサンディル達と共に行動をしているけど本当に味方なんだろうか自分自身に問いかけることがあるんだ。」

「そのうちわかる事だ。

お前がリンダリン・リアルを見つけ出し、倒すことに協力すれば味方だと認める。

それだけの話だ。」

カー・リッカーは運転しながら言った。

「そうだね…。それが正論だ…!」

ミゲルは納得したようだった。

「みんなで敵を倒せば僕も仲間になるんだ!!」

「でもいいの??倒してしまって。

警察に突き出した方がいいんじゃない??」

サンディルは疑問を投げかけた。

「今更警察に突き出したところで逮捕されることも無い。

それに、人を殺してイジュースの力を与え蘇らせて事件を起こすくらいなら倒した方がいいだろ?」

「そ…そうなのかもしれないわね……。」

サンディルは元刑事が言うくらいだからそうなんだろうと思った。

それから時間が経ってサンディル達は家にたどり着いたのであった。

「ただいま。」

「おかえりサンディルとその他2人。」

「その他って言うのやめて貰えないか?

俺はカー・リッカーだって自己紹介しなかったか??」

よくよく考えたらカー・リッカーだと紹介したのはサンディルだけだったことを思い出した。

「やっぱ……その他2人でいい。」

「僕はミゲルって僕は言ったからサンディルとミゲルとその他1人だよ。」

「もうめんどくせぇ3人で一括りにする。」

ヘライクマーはこれ以降3人を呼ぶ時は3人共と呼ぶことにした。

「それで、3人共。

どうやってあの敵を倒したんだ??

そして収穫はあったか??」

するとサンディルが

「わたしが宙に浮いたボルトでペットボトルガンを打ったの。

それが敵の脳天を貫いて……。

いや、2発打ったの。

で、2発目で倒したわけ。」

「誰か翻訳してくれ。」

ヘライクマーはサンディルの説明力のなさに呆れた。

「まぁ2発打って1発は囮に使って2発目で倒したってわけだ。」

カー・リッカーが分かりやすく言った。

「流石元刑事だ。

それで収穫は……??」

するとミゲルが手のひらを広げた。

「冬の戦士の1部だ。

そしてイジュースをまた受け継いだ。」

「冬の戦士か。でかした。

イジュースをまた受け継いだって言ったな?

出せるか?」

ミゲルはイジュースを2つ出して見せた。

「驚いた!!1人の人間に2つのイジュースが出てくるのは初めて見た!!」

ヘライクマーは感心していた。

「でも使い方が分からないから使えない…。」

「たしかにな。見たところ白いイジュースだからな。

俺にも使い方が分からない。」

「白いイジュース……。」

サンディルは言葉を失った。

白いイジュースにはどのような力があるのか。

そこにいた4人にはまだ理解する余地もなかった……。


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