第26話 カー・リッカーに会おう!?
それから数日後…
サンディルの赤いイジュースの腕はあがっていった。
つい数日前まで赤いイジュースすら出すことが出来なかったサンディルにとってこれは大きな進歩であった。
「2つ目の試練は何とかクリアできたわ。
ミゲルが並べたようにペットボトルを並べてみせたわ。」
「すごいやサンディル!!
ここ数日でここまで出来るようになるなんて!!」
ミゲルも喜んでいた。
ヘライクマーもその成長速度に驚いていた。
「よし、ここまでできるようになったら最後だ。
最後はペットボトルの蓋を弾丸にする試練だ。
お前は一度、ものを飛ばすことに実はもう成功している。」
「ペットボトルを吹っ飛ばした時ね。」
「そうだ。
あの時の感覚を手元で行うんだ。
そうすれば蓋は飛んでいく。
まぁ問題は狙い通り飛ばせるかっていうとこなんだけどな。」
「まかせて!今度は一発で成功させてみせるから!!」
その時、サンディルの携帯が鳴った。
メールの通知音だ。
相手は「カー・リッカー」だった。
しかし、サンディルはこのことに気づかず、イジュースの練習に励んでいた。
メールの内容はこうだった。
サンディル・ブランデーさん
元刑事のカー・リッカーです。
本日はご連絡誠にありがとうございます。
リンダリン・リアル事件について長年調査をして参りましたが、
25年の時を超えて遂に進展があったとの事だったので私はすごく驚いている所存です。
いつか話が出来たらと思っています。
いつなら会うことが出来ますか?
私は最近刑事をクビにされたばかりなのでいつでも大丈夫です。
またご連絡ください。
「あぁ!!また長い試練になりそうだわ!!
根気よ根気!!」
サンディルはまた長い長い試練に取り憑かれたようだった。
「えぇと?ペットボトルの蓋を薬指と中指で挟んで赤いイジュースを出しますぅ。
それでそれで……赤いイジュースを蓋に流し込み続けてここだって言う時に指の力をやわらげてイジュースの出力を最大限にする。
で間違いないわよねヘライクマー??」
「口で言えても一緒だ。
それを行動で表わせ。」
「分かってるわよ!!今からやるから見てて!!いくわよ!!」
「そう言ってもう何回目だよ。」
ヘライクマーは深いため息をついた。
「サンディルの根気にため息なんかいらないよ。
だって、時間は無制限じゃないんだ。
諦められたら僕たちの負けだよ。」
ミゲルは言った。
するとヘライクマーはミゲルをじっと見て言った。
「お前はどっちの味方なんだ?」
ミゲルは唾をごくりと飲み込み、
「もちろん!サンディル達の味方だよ!!」
と言った。
「よし!もうワントライ!!」
サンディルは何度も挑戦を続けた。
一方で……
カー・リッカーはサンディル・ブランデーという名前のメールアドレスが来たことに驚いた。
「これがブランデー族か…?
俺が25年追い続けてきた謎の一族「フューゲ族」のライバル的関係の一族であるあのブランデー族がこのサンディルという人なのか?
これはチャンスかもしれない…。
25年動かなかったリンダリン・リアル事件の真相がついに動き出したのかもしれないな…。」
カー・リッカーはサンディルからの連絡が待ちきれなかった。
「サンディル・ブランデー……。
今何をしているのか……。
イジュースは実在するのか……。
真相はこの人にしか分からない…。」
そして、サンディル達。
「はぁ…はぁ…疲れきったわ……。
ちょっと休憩……。」
「そうだな、休憩を挟もう。」
ヘライクマーはサンディルに休憩をさせた。
そして、サンディルはチラッと携帯を見た。
「ちょっと!!カー・リッカーから連絡が来たわ!!」
サンディルは思わず声を出した。
「本当か!!なんて書いてあった?」
「えぇと……刑事をクビになったんだって!!」
「えぇ!!……いやそれより他になんて書いてあった??」
ミゲルはカー・リッカーがクビになったと知ると何だか気まずくなった。
そもそも自分たちが殺されなければこんな事件起きなかったからである。
「えっと……いつでも会えるんだって!!」
「明日にも会ってこい!!」
「どこかにいいカフェか何かないかしら…。
調べなくちゃ!!」
「明日会うならもう夜も遅いし早めに連絡を返した方がいいんじゃない??」
「そうよね…!近くにいいカフェ見つけたわ!!」
「カフェに行くよりここに来てもらった方が話が早いんじゃないか?」
「ちょっと2人ともだまってて!!」
サンディルは呼吸を整えた。
「分かったわ。明日この家にカー・リッカーを招待してミゲルの存在やイジュースの存在を教えて、代わりにリンダリン・リアルについての情報を教えてもらう。
これでいいわね??」
「それでいい。」
「問題ないと思うよ。」
これで全員の意見は一致した。
そして、サンディルはカー・リッカーに返信をした。
カー・リッカーさん
サンディル・ブランデーです。
返信ありがとうございます。
早速ですが、明日会うことは可能でしょうか?
私の家の住所を送るのでそこまで来て欲しいです。
口で説明しても信じてもらえない可能性があるので、実際に見てもらった方がいいと思います。
返事待ってます。
そしてサンディルは、送信ボタンを押した。
その頃カー・リッカーは……
「返事が来た!!
明日この場所に行けばいいのか??
結構近いな。
車で30分くらいだ。
分かりましたと返事をしよう。」
カー・リッカーはサンディルのそのメッセージに「分かりました」と返信をした。
次の日……
カー・リッカーは駐車場に車を停めて、メールで送られた地図を頼りにサンディルの家へ向かった。
「ここを曲がって突き当たりの所にあるはずだ。
あった。ここに違いない。」
カー・リッカーは家の扉に近づき、静かに扉を叩いた。
「いや、静かに叩いたところで気づいて貰えないや。」
扉を叩いた後にそう察したカー・リッカーはもっと大きな音で扉を叩いた。
サンディルは扉が叩かれたことに気づき、急いで扉を開けた。
「こんにちは。連絡したサンディル・ブランデーです。」
「よろしく。俺はカー・リッカーだ。」
2人は扉の前で握手をした。
「さぁ、入って!言いたいことが沢山あるの。」
「俺からも言いたいことが沢山あるんだ。
リンダリン・リアルの情報についてなんだけどね。」
2人は話しながら家の中に入り、リビングへ来た。
カー・リッカーはミゲルとヘライクマーを見ると目をキョトンとさせた。
「えっとー……君の名前は??」
「僕はミゲルです。隣りの緑色の人はヘライクマーって言います。」
「おい!自分の自己紹介ぐらい自分でできらぁ!!」
ヘライクマーは怒った。
「あぁ…君ら2人どっちも緑色に見えるんだけど……。」
カー・リッカーは戸惑っていた。
「そりゃ戸惑うよね……。
僕は植物の身体をしているし、ヘライクマーは顔が緑色で体調不良みたいだしね。」
「おいミゲル!!俺の事ずっとそう思ってたのかよ!!」
ヘライクマーはまた怒った。
「それよりリッカーさん、
リンダリン・リアルについての話なんですけど……。」
「あぁ。話そう。
そっちの情報も欲しいしな。」
サンディルはまず、イジュースの存在を分かって貰うべきだと思った。
「まずは見てもらいたい物があるんです。」
サンディルは左側頭部を擦り、ポルテチオと唱えた。
「なんだこれは!?マジックか何かか!?」
カー・リッカーは驚いた。
「いや、マジックじゃないの。
ブランデー族に代々伝わる魔法なの。」
サンディルはその後に赤いイジュースを出して、ものを浮かしてみせた。
「いや…いやいやいや信じられないよ!」
「リンダリン・リアルを知る上にこの魔法は切っても切り離せないはずなの。」
「そうなの……か??俺が知ってるリンダリン・リアルの情報にはそんな魔法みたいなものは一切ないんだが……。
俺はこの一件に役立てるのか……??」
「どんな些細な情報でもいいの!!リンダリン・リアルについて教えて!!」
「分かった…。教えるよ…。」
カー・リッカーはスマホをポケットから取り出し、情報を開示した。




