第2話 本の番人ヘライクマー!?
「イジュースって何?」
サンディルはこの瞬間イジュースと出会ったのだ。
「何これ、全部外国語じゃない。私スウェーデン語と英語しか分からないんだけどな。どこかに英語で書かれているページはないかしら。」
サンディルは自分の誕生日なんかすっかり忘れていきなり目の前に広げられた本に興味を示していた。
「ダメ。イジュースの所以外どこにも英語の記載がないわ。それにしてもこれ何語かしら?……そもそもなんで私の部屋にこんな本が??」
サンディルはそれが疑問でならなかった。
何故自分の家系について、ましてや外国語で書かれた本がサンディルの部屋にあるのか。
考えても考えても答えは浮かばなかった。
その時、
「15歳の誕生日おめでとう」
本の方向、というより本の方からテノール声の男の声が聞こえた。
「わぁっ!!」
サンディルは驚きその場ですってんと転んだ。
「誰!?誰なの!?!?」
少しの静寂が訪れた。
サンディルはビビりきってしまい体をガクガクさせてしまっていた。
そしてポケットに入っていた携帯を取り出し警察に通報しようとした時、
「驚かせたようだね。待ってろ今行く。」
また男の声が部屋の中を響き渡った。
すると本のページが勝手にペラペラと動き出し、イジュースのページで止まった。
その時、本から人の右腕が飛び出してきたと思えば、本からメキメキと人の身体が出てき始めた。
「わぉ…」
サンディルはこれ以外の声が出なかった。
薄ら寒い風がサンディルのブロンドの髪をなびかせた。
本から出て来た人間はゆっくりと本があったベッド影の方から現れた。
その人間は薄緑色の顔とタキシード姿が印象的な男だった。
「改めまして、誕生日おめでとう。サンディル」
男はタキシードのリボンを正しながら言った。
「あ、ありがとう…ありがとうございます。あなたは誰?何者なんですか?」
「俺の名前か?俺はヘライクマー。」
「ヘライクマー??」
「そうだ。覚えづらいか?なら覚えやすいように好きな名前で呼んでくれ。例えば……
ハッ…「スター・ロード」とか!」
「いや、ヘライクマーでも私は困らないわ。」
ヘライクマーの提案は虚しくも散ってしまった。
「あなたは何者なの?何で本から出てきたの??そもそもこの本は何なの?なんて書いてあるの??」
サンディルはヘライクマーの登場で気が動転していて、質問をすることで動転を抑えようとしていた。
「おい、質問は1つずつにしろ。気が動転しそうになる。今お前が1番気になる事を質問しろ。」
サンディルは改めて今1番気になる事が何か考えた。
しかし、考えた矢先、思いついたのは意外な1つの質問だった。
「ねぇ、ヘライクマー、……あのヘライクマーって呼び捨てにしてもいい?」
「あぁ好きにしろ」
「分かった。ねぇヘライクマー、、、、、「イジュース」って何??」
サンディルは他にも知りたいことがたくさんあったが自然と質問したのがそれだった。
「他の人間が尋ねることを尋ねない。流石ブランデーの一族だ。何よりもまず「イジュース」の正体を暴こうとするとは。」
サンディルは一瞬まずいことを聞いてしまったか不安になり固まった。しかし固まったのはほんの一瞬で良かった。
「教えてやろう。イジュースを。これはお前にとって切っても切り離せない運命の魔法だ。」
ヘライクマーは強い目線でニヤッとした口をした。