表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イジュース・ファンタジー  作者: 辻 雄介
緑の帝王編
13/36

第13話 緑の帝王の正体

サンディルはその後、連れ去られた時に薄々覚えていた道筋を辿ってなんとかダンドルの家にたどり着いた。

ダンドル達の中の二人はそれぞれ家庭を持っていたため、壁の女神の前で別れた。

そして残ったのはダンドルとサンクチュアリとバーバリアンとなった。

バーバリアンは家があるからよかったが、サンクチュアリは家から勘当されてたため、幼い年齢ながら家がなかった。

とりあえずダンドルとサンクチュアリはダンドル宅へ向かった。

「あれ?サンディル!?サンディル!!」

ダンドルは家にいたサンディルを抱きしめた。

「良かった!無事で。」

「ダンドルこそ!で、結局壁の女神はいたの??」

「ああいたさ。でかい口だったぞ。」

サンディルは微笑んだ。

「そっちはどうだったんだ?」

ダンドルは尋ねた。

「黒い生き物たくさんだったわよ。

今目の前にも一人いるけどね。」

ダンドルは自分の体が真っ黒だったことを思い出した。

「あぁ!確かに…真っ黒だ。」

二人は笑った。

そして話題は変わった。

「これからこの家は3人ですむことにしたんだ。

サンクチュアリとサンディルと僕だ。」

サンクチュアリは反応した。

「僕もここにいていいの!?」

「あぁ、ただちらかしたりするなよ。」

サンクチュアリの顔は晴れた。

「僕、部屋の掃除定期的にするよ!!

家事も任せて!!なんでもするよ!!」

「おいおいお前はまだガキなんだ。

ガキはよく寝て遊べ。」

雰囲気は和んだ。

そして、サンディルは帰りの途中で拾った「センピグネス主催の格闘大会」の紙を出して詳細を尋ねた。

「この大会ってどういう大会なの?」

ダンドルは紙をとった。

「あぁ、この大会か。」

サンディルは興味津々だった。

「この大会はな、毎年格闘技にあけくれる強者共がこぞって参加する大会だ。

一般の部で最後まで勝ち残った奴は、挑戦者としてセンピグネスの連中の中の一人と戦うんだ。

ちなみにその一人ってのは挑戦者が自分で選ぶことができる。

大抵勝ち残る奴はセンピグネスの連中に捕まったことがある悪っぽい奴が多いから、センピグネスでよく殴ってくれたやつが選ばれる事が多いんだな。」

「へぇー。私とは縁の無さそうな大会ね。

勝ったらどうなるの??」

「さぁ、勝った例を聞いたことがないから…。」

「へぇー。そうなんだ。」

そしてサンディルは青い空を見つめ、ふと我に返った。

自分はまだ緑の帝王を探せていない。

本来の目的を果たせていないままここでボーッとしている。

いい加減しっぽを掴まないと…。

ダンドルに聞いても分かんないかな。

「だめおしで聞いてみるか。」

サンディルはボソッと呟いた。

「何がだめおしだって??」

ダンドルが聞き返した。

「ねぇダンドル、緑の帝王って知ってる?」

「センピグネスのボスがそう呼ばれているよ。」

「センピグネスのボス!?」

サンディルは強く反応した。

「僕、聞いたことあるよ!

確か異形のモンスターとも言われているよね。」

サンクチュアリが言った。

「ねぇ、他の情報はある??例えば…結晶の話とか。」

「結晶?」

ダンドルとサンクチュアリは口を揃えた。

「よく分からないな。なんで結晶なんて言葉が出てくるんだい??そもそも緑の帝王についてなんでそんなに知りたがるんだ??」

「それは…その…。」

サンディルはこの二人に自分の本来の目的を伝えたら、巻き込むことになるのではないかと恐れていた。

「そんなに気になるなら壁の女神に聞いてみたら??

あの女神…何でも知ってそうだから。」

サンクチュアリは提案した。

「そうね…。ねぇ、連れて行ってくれない?壁の女神の所へ。」

「また行くのかあそこへ。まぁ、嫌ではないけど。

なら刃物を持っていかなきゃな。」

ダンドルはしぶしぶ刃物を準備した。

「行きましょう!壁の女神のもとへ!!」


5分後、壁の女神前にて…

「ここがそうだ。

ここに刃物で星の形を彫ると大きな顔が出てくる。それが壁の女神だ」

ダンドルは刃物で壁に星の形を彫った。

前彫った部分は完全に消えていて、また新しく彫るようになっていた。

「よし、後は待つだけだ。」

星型の傷は光出し、壁に大きな顔が現れた。

「あら、ダンドルじゃない。

もうお願い切符は使ってしまったという事は、何か助言を求めているということなの?」

壁の女神は話し始めた。

そして、サンディルの方を見て目を丸くした。

「ダンドルごめんなさい。この女の子と二人だけにさせてくれないかしら。」

「え!はぁ…分かりました。

いくかサンクチュアリ。」

壁の女神とサンディルは二人きりになった。

「あなたは緑の帝王の命を狙っているのね。」

サンディルは一瞬固まった。

「私の頭の中を読めるの!?!?」

「頭の中を読んでいるわけじゃないのよ。

ただお告げがあったの。緑の帝王を倒す生命体が現れるってね。」

たまによからぬ事を考えているサンディルにとって頭の中を読まれていないことは安心だった。

「私、実は緑の帝王を破壊するためにこの世界に来たんです。」

サンディルは壁の女神に真実を伝えた。

「分かったわ。私がお願い切符無しで緑の帝王の真実について教えてあげる。」

「お願い切符って?」

「今は知らなくていいわ。

緑の帝王。それは、生き物に絶大なるパワーを与える奇妙な結晶よ。

その結晶を手にした物は殺されない限り不老不死になる上、強力な武力を手にすることができるの。

体術でかなうことはまず無理な話ね。」

「それで今、緑の帝王はどこにあるの!?」

サンディルは食い気味に質問した。

「緑の帝王は今、センピクネスのボスの元にあるわ。名前はオルトゥンス。」

ダンドルがセンピグネスのボスが緑の帝王と呼ばれていると言ったのが繋がった。

「つまり、緑の帝王を破壊するには…」

「オルトゥンスを殺さなければならないわね。」

「そうだ!!」

サンディルはポケットの中にしまっていた格闘大会の紙を出した。

「ここで最後まで残ってオルトゥンスに勝負を仕掛けるの!!どう!?」

「あなたにそんな能力が備わってるとは思えないね。

それとも何か作戦があるのかしら?」

壁の女神はそう尋ねた。

「大丈夫!私にはイジュースっていう力を引き出す魔法が操れるの。

私はこれまでこの魔法でどんなピンチも乗り越えてきたわ。

センピグネスの連中にも引けを取らない実力が出せるのよ。」

「見せてもらえる?」

「えぇいいわよ。」

サンディルはポルテチオと唱え左側頭部を擦って黄色いイジュースを出して見せた。

「まぁ綺麗。これがイジュースなの??

力を引き出す魔法の光なのね。

この魔法自身に強いパワーを感じるわ。」

「私、出来るかしら…。」

サンディルは不安げに言った。

「私の魔法では殺しは出来ないし、殺しに加担することもできない。

しかし、オルトゥンスは罪人の多くの命を奪ってきた殺しの王。

私が何か言うのもあれだけど、オルトゥンスに罰が下るということなのでしょうね。」

壁の女神はそう言った。

「やるかやらないかじゃない。

やるしかないんでしょうね。

私絶対やるわ。」

サンディルはそう宣言した。

「それじゃあまた会いましょう。

今度は勝利を獲得した時に。」

「分かったわ。それじゃぁ。」

壁の女神は星型の傷とともにスっと消えた。

サンディルはその場から立ち去ろうとしたのだが、

「君、緑の帝王を倒すの??」

ダンドルが影から出てきて尋ねた。

「あぁ、聞かれてしまったのね。もう隠す必要もないみたい。

そうよ、そのためにここに来たの。

格闘大会に出て、オルトゥンスを倒すわ。」

「無茶だよ!緑の帝王はとんでもないパワーをひめているんだよ!!

サンディルのイジュースはすごかったけどとても太刀打ちできないよ!!」

サンクチュアリはそう言った。

「でも、だれかがオルトゥンスを倒さなければ虐殺は続くのよ。

そして、私は目的を果たさなければならないの。」

「格闘大会に出るんだな」

ダンドルは言った。

「えぇ。出るわ。」

「分かった。手伝えることはなんでもする。」

ダンドルは協力すると言った。

「うんとうんと…じゃぁ僕も!!」

サンクチュアリも賛同した。

「やつの息の根を止めましょう。」

そして、オルトゥンス殺害計画が進行し始めた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ