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イジュース・ファンタジー  作者: 辻 雄介
緑の帝王編
12/36

第12話 壁の女神!?

黒い生き物に囲まれたサンディル。

ここはもう戦うしかないと決心した。

「ポルテチオ」

サンディルはそう唱え、左側頭部をこすってイジュースを出し、両拳に吸い込ませた。

「ほら!かかってきなさい!!」

黒い生き物達は一斉にサンディルに飛びかかった。

しかし、サンディルは拳で一人ぶっ飛ばしたと思えば、今度はイジュースを足に吸い込ませて背後から襲ってきた黒い生き物を蹴り飛ばした。

「戦える!」

そう決心したサンディルは、イジュースを使って次々に黒い生き物達をなぎ倒していった。


一方、逃亡中サイドは…

「本当にいるんだろうな!壁の女神ってやつは!!」

「兄ちゃんの友達の誰かの誰かから聞いた話なんだがな」

ダンドルとバーバリアンは走りながら会話していた。

「そりゃいいや、信憑性が高そうなことで!」

ダンドルは皮肉を言った。

「今は言い争ってる場合じゃないよ!!バーバリアンを信じよう!

なんてったって今壁の女神のいる所を目指してるんでしょ??」

サンクチュアリが場を落ち着かせようとした。

「いや、今俺たちは俺の家へ向かってる。」

「は?」

バーバリアンの発言にダンドルは驚いた。

「なんでお前の家に行かなならんのだ!!」

「星型の傷をつけるには刃物が必要だろ??だからだ。」

「んなもん木の枝とかで何とかなるだろ!!」

ダンドルは焦っているせいかキレ気味になっていた。

その時、サンクチュアリが走りながら太い木の枝を拾った。

「こんくらいの太さなら出来るんじゃない??」

バーバリアンは、

「いいや、刃物の方が確実だ。」

と言った。

「着いたぜ。ちょっと待ってろ。」

バーバリアンはごちゃごちゃとした自分の家の中から刃物を探した。

その間一同は周囲にセンピグネスの連中がおってきてないか心配しながら確認していた。

「サンディルは今大丈夫だろうか……」

ダンドルはボソッと呟いた。

「もし、サンディルが無事じゃなかったら俺のチンポコは……」

するとバーバリアンは、

「心配すんなよ!あのすごいパンチ見ただろ??今頃どこかに走って逃げてるって!」

と言ったが、

「お前は早く刃物を見つけろ」

とみんなから言い返された。

「刃物見つけたぜ。よし、例のスポットに行くか。」

みんなの顔が晴れた。


一方、サンディルサイドでは…

「はぁ…はぁ……何人いるのよ!!!」

相変わらず戦闘状態は続いていた。


そして、逃亡中サイド。

「急げ急げ!!例のスポットまでもうすぐだ!!」

バーバリアンはみんなに声をかけた。

「ここまでやって何も無かったらお前どうなるか分かってんだろうな!!」

ダンドルが言い返した。

「何も起こらなくても俺を恨むなよ!」

「恨むなって!?今そう言ったのか!?」

「そう言ったんだ!」

ダンドルとバーバリアンの言い合いが走りながら行われていた。

「もういい加減にしなよ2人とも~!」

サンクチュアリが大の男2人の言い合いにあきれていた。

「ついたぞ!ここだ!!」

一同は足を止めた。

「へぇー。何処にでもある壁じゃないか。」

「どこにでもありそうな壁だから秘密を隠せるんじゃないか。

木を隠すには森へって言うだろ??」

「………一理あるな。」

ダンドルは納得した。

「よし、それじゃぁ行くぞ。」

バーバリアンは刃物を壁に突き刺し、ゆっくりと星型の傷を入れた。

ゆっくりゆっくりと。

「おい、もっとはやく削れないのか。」

「硬いんだよね。」

そして、とうとう星型の傷を入れ終わった。

その時、

傷の形に光が刺し始めた。

「おいおい噂は本当だったのかよ!!

信じられねぇ!!」

バーバリアンは興奮していた。

「ずっと迷信だと思ってたんだ。」

サンクチュアリは呆れた声で言った。

星の傷をいれた壁はみるみるうちに巨大な顔の形になった。

「わぁ、すげぇ。」

ダンドルは感心していた。

そしてまず、目が現れ、次に鼻が現れ、最後に口が現れた。

「私は壁の女神。

願いを叶えられるのは一人一つのみ。

さぁ、願いを言いなさい。」

そして顔の形をした壁は喋った。

「喋った!!」

一同は驚いた。


バーバリアンは前に出てきて言った。

「お願いします女神様!!

センピグネスの記録から、ここにいる全員の記録を消してください!!……

いや、後サンディルっていう異星人の記録も!!」

「それがあなたの願いですね?

分かりました。あなたのお願い切符はここで切られてしまいますが、構いませんね??」

バーバリアンは俯いた。

そしてしばらく悩んだ挙句、

「お願いします」

と壁の女神に言った。

「バーバリアン、お前案外良い奴だな。」

ダンドルは言った。

「とても仲間思いだね!」

サンクチュアリもそう言った。

「あなたの願い叶えます。

普通ならここで代わりに生贄を差し出せと言いますが、仲間思いのあなたに感心しました。

よって、生贄は無しであなたの願いを叶えるとします。」

一同は喜んだ。

「なんて情のある女神なんだ!!」

バーバリアンはそう言って喜んでいた。

「それでは私はここで失礼を…」

「ちょっと待って!!」

ダンドルは止めた。

「どうかしましたか?」

「サンディルをこの世界の住人に溶け込めるようにして下さい!!」

ダンドルは頭を下げて頼んだ。

「僕のお願い切符、ここで切ります!!

なので、お願いします!!」

壁の女神は微笑んだ。

「あなた達は本当に仲間思いの人達なんですね。

分かりました。

あなたのお願い切符をここで切って、サンディルをここの世界の住人に溶け込めるようにします。仲間思いなので生贄もいりません。」

「やったぞ!!」

「ダンドル、君サンディルがよっぽど好きなんだね。

自分の唯一無二のお願い切符を切っちゃうくらいだもん。」

サンクチュアリは言った。

「これでサンディルはもう安心だ!

サンディルがいなければ今の僕達だっていなかったんだ!

これでみんな無事だ!!」


一方サンディルは…

「どういうこと??みんな私に関心を無くしたのかしら、どこかへ行ってしまうわ!」

サンディルを襲っていた黒い集団はサンディルから関心をなくしたように離れていった。

「もしかして、ダンドル達がやってくれたのかしら!!」

「お前誰だ、すぐに出ていけ」

黒いバッファローはサンディルに近づきそう言った。

「わかったわ~♪すぐに出ていくわね♪」

サンディルはお茶目にその場を去った。

「さて、ダンドル達はどこに行ったのかしら??」

サンディルがダンドル達を探そうとした瞬間、道に紙が落ちてるのを見つけた。これが後にサンディルがここに来た理由である「緑の帝王の破壊」に1歩近づくことになる事が起きたのであった…。

「なにこれ、センピグネス主催の…

格闘大会??」


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