第二十七話「相談」
第二十七話「相談」
須山さんからかけられた言葉に、俺は一度手を止めた。
(相談、なんの話だろう?)
内容を聞かないことにはなにも始まらないので、俺は須山さんに話の続きを促した。
「どうしたんですか? 成長のやり直しとか?」
「違う違う、んーそうね。まずは、ごめんなさい」
須山さんは俺に頭を下げできた。
まさか頭を下げられるとは思わなかったので、俺は少し動揺した。
「ど、どうしたんですか!?」
「急にプレイヤー増やして、悪かったなって」
「そのことですか、まあ、なんとかなりそうですし、大丈夫ですよ」
「そう、よかった」
俺の言葉にバツが悪そうな顔になりながら、須山さんは言葉を続けた。
「それとさ、もしかしたらあいつ……ノボルさ、少し様子がおかしくなるかもしれないから、GMには話しておこうかなと」
「……どういうことですか?」
「あんたも知っているかもしれないけど、ノボルって一度事件に巻き込まれているじゃない?」
「ええ」
彼が事件に巻き込まれて監禁されていたという話は、噂程度だが知っている。
どうしてそんな事件に巻き込まれたのかは俺はよく知らない。
その当時起こっていた別の事件に関係しているとか噂があったが、情報があまりに不確かで、本人とも話す機会はなかったからだ。
「あの前後ぐらいからなんだけど、なんというか、入り込んじゃうというか、目の前で見ていた私もよくわらないんだけど、登場人物をコピーする……みたいな? そんなことがあるのよ」
要領を得ない説明だが、彼が学校に来れない理由はそれなのだろう。
登場人物をコピーする……なんか覚えがあるぞ。
「あれですか。魔女が箒にまたがって空を飛ぶアニメを見て、自分もその気になって箒にまたがとちゃう、みたいな?」
カツンと鳩が豆鉄砲食らったような顔をする須山さん。どうやら的は得ていたようだ。
「……やっぱりここに連れてきてよかったかもしれないわ」
からからと笑う須山さん。
よく分からないが、腑に落ちた顔をしているので、大丈夫そうだ。
城戸ノボル、とにかくセッション中は少し気にかけておこう。
「サク君そろそろ大丈夫?」
ややあって会議室の扉が開き、飲み物を手にした加美川先輩を先頭に、残りのメンバーも帰ってきた。
「おー。ノボルー、私の飲み物ある?」
話は終わりとばかりに須山さんは城戸に明るい声で飲み物を請求する。
「ドクぺでしょ、はいどうぞ」
城戸も分かっているとばかりに買物袋からケミカルな味がすることで有名な炭酸飲料を取り出し須山さんに渡した。
「んーケミカルな味がたまらないわ」
けろっと態度を変えた須山さんに、女の人怖いと思いながら、シナリオを見直す。
まあ、シャンディの能力的に、ボスの取り巻きを一体増やせばバランスは大丈夫だろう。
他の部分はそのままで。
なんか不安要素あるし、下手に探索の難易度は増やさない方が良さそうだ。
「オッケーです、先輩。ーーそれじゃ始めましょう」
席につく加美川先輩に俺は答えた。
「おっし、活躍するぞ!」
「……うん」
「よしシャンディといちゃつくわよ!」
「ライカ流石にそれはちょっと」
それぞれが意気込みをはきだし、場の空気が温まってきたのを感じる。
最後に加美川先輩がみんなを確認し、俺に向かって宣言した。
「こっちも準備はオッケーよ。始めましょう、サク君」
かくして第二回セッションは幕を上けたのだった。
登場人物メモ(更新)
城戸ノボル
およそ一年前に同級生に監禁されるという事件に巻き込まれて、不登校になっている男子生徒。
須山ライカの彼氏さん
(更新)
事件の後遺症か、他人やキャラクターを真似る時があるらしい?




