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TRRGプレイヤーズ~恋と、青春と、TRPGと、先輩と~  作者: 鏡読み
第四章 続・TRPGの日 シティアドベンチャーをしよう

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第二十六話「キャラ紹介 乗っ取り編」

第二十六話「キャラ紹介 乗っ取り編」


俺は椅子に座り眉間にシワを寄せていた。

なるほど、須山さんの事情も分かった、でも事前に教えてくれてもよいのではなかろうか。


いやいや、それはさておき、今はまず、人が一人増えるバランス問題に対応しなければ。


そう思い俺は鞄からシナリオを取り出す。


完璧な四人用のバランスで組んだのだ。

惜しい、ほんと惜しい。


俺は未練がましくシナリオを確認し、シティアドベンチャーのパートのバランスどうしようかと頭を抱えた。


(まずは落ち着こう)


そして、一度深呼吸をし、冷静さを取り戻そうと努めた。


バランスを直すとしても、まずは作るキャラによりけりだ。

それによって考えればいい。

そう考えた俺は長机を囲む一同に声をかけた。


「えー、そうしたら、先にキャラクター制作と、成長をまとめてやってしまいましょうか? シナリオの調整はその内容を見て考えます」


各々から了承をとり、シナリオ調整前に、キャラ制作に入ることになった。

黒木さんか、須山さんに、ナーフだ、なんだと言われるかと思ったが、あまり気にしないみたいだ。


「前回参加した方には20点の成長点が渡されます。それを使ってキャラを成長させてください。新規の人は通常ルール通り新規キャラの作成をお願いします」


そういうや、いなや、ルールブックを手にし、皆はそれぞれの自分のキャラの育成計画を練り始めた。


ああ、そうだ。今のうちに、今日のシナリオの話を少しした方が良いかもしれない。


「ちなみに今回はボス戦はありますけど、ダンジョン探索はありません。街の中を調査、聞き込みをするシティアドベンチャという形式のシナリオで進行します。成長やキャラクターの制作の参考にしてください」


一応、技術などを決める前に、参考になればと俺はみんなに声をかけた。

シナリオの情報にプレイヤー一同はガヤガヤと話し合いを盛り上げている。


「となると、必要なのは交渉術系の技術か?」

「……ギムレットはこれ以上はいらないから予定通りバフを取る」

「ノボル、あなたのキャラ作っておいたわよ」

「え、ありがとう……えっと女キャラ?」

「マティーニは……火力かしら」


やいのやいのとキャラの話が続き、話がまとまるまで小一時間はかかった。


かくして、新規のキャラクターも完成したみたいなので、俺は進行を進めることにした。


「そうしたらまず新規キャラの紹介をお願いします。えっと……」

「城戸でも、ノボルでも好きな呼び方でいいよ」

「それじゃあ、城戸。キャラ紹介よろしくお願いします」


そういい、俺は城戸へ話を振った。


「ちょっと待って」


しかし、城戸のキャラクター紹介は須山さんに一度止められた。

彼は目をしばたかせ、須山さんを見る。


須山さんは城戸に「実はそのキャラちょっと断っておかないとまずいのよ」と付け加えて俺の方を向いた。


「GMちょっと相談なんだけど、シャンディを貰ってもいい?」

「……はい?」


疑問符とは別に、俺はなんとなく城戸のシートに記載されている内容をさっした。


彼女は連れてきた恋人に回復の技能があるシャンディをやらせようとしているのだ。

バランス的にはそれもわかるしいいアイディアだと思う。

俺はおよそ一分長考した。


(…………まあ、今回以降、出番があるわけじゃないしいいか。回復役がいると派手なダメージの戦闘できそうだし)


「んー……分かりました。オッケーです」

「ありがとう。それじゃノボル、改めてどうぞ」


隙あらば、進行を奪わないでください。

彼女の言葉に、城戸は少し照れたようにためらいを見せたが、意を決したのか、一度大きく深呼吸をし、キャラクターシートを読み上げた。


「えっと、俺のキャラの名前はシャンディ。技能は【飛び道具の極意】。弓矢を装備して戦う遠距離攻撃主体のキャラクター。目的に探究と出たので盗賊団の一員として何かの研究を行っている?……ということで」



シャンディ プレイヤー/城戸ノボル

スタイル 中衛

技能 【飛び道具の極意】


目的 探究



俺は椅子からひっくり返った。


「ちょっと待ったぁ!? 医術の心得はどこに消えた! 須山さん!」


回復役がくると思ったのに違っていました。

突然弓矢で戦うキャラのシャンディが生み出されていた。

須山さんはあざとく可愛らしい笑顔を浮かべ、俺のツッコミに切り替えしてきた。


「えっとね。さすがに初心者に回復キャラはちょっと暇だと思った。反省はしていない」

「そんな危ない女にガフが惚れてることになりますが!」


どこから突っ込んでいいのか分からないので、目の前の一番絡むであろう本人はそれでいいのか俺は問う。


「いや、ガフならこう言うわね! ミステリアスな魅力がたまらない、とね!」

「便利な言葉で片付けるなよぉぉ!?」


俺は叫んだ。なんかもう、気づいた時には叫んでいた。

そんな俺に須山さんは親指を立てて、言葉を返してきた。


「問題ない大丈夫よ」

「……まあ、一番絡むと思うガフがそれでいいなら、いうことはありません」


俺は大きく息を吐き、心を折った。

まあ、楽しくできればいいか。


「それじゃあ、ほかの皆も、成長報告お願いします」


俺が進行を促し、残りのプレイヤーたちがそれぞれが成長させた内容を報告していく。


「マティーニは【精霊術の心得】を【精霊術の極意】に強化するわ」

「加美川先輩は順当に火力を伸ばすのですね」

「ええ、初志貫徹。このキャラは変に回り道はしないわ」


ルコアル精霊譚の成長は3種類あり、基本的にシナリオが始まる前に成長させておくことを推奨している。

一つは技能の取得・成長。これが一番効果が高い。


技能の取得には成長点を10点使う。

更に成長点を消費することでその技能を強化することがことができる。


その内訳は、

【○○の心得】から【○○の極意】にするために20点。

その後の【極意】から【奥義】に30点

【奥義】から【神髄】に40点


技能は強化すると基本的に振れるダイスの個数が増えるので積極的に強化をしたほうが良いらしい。


「ガフはHPの強化をして、最大HPを10点伸ばしたわ、残りは保留」

「なるほど、前衛ですものね」


次にHPの強化だ。成長点1点で最大HPを1上げられる。

各キャラクターの耐久にも影響してくるので、余ったポイントは積極的に使いたい。


「ギムレットは新規で【戦略の心得】を取得、それと回避力を+1、HPを+5」


最後にステータスの強化だ。

成長点5点で基本ステータスが強化できる。

10点で新規のスキルが取れるので、どちらかというと玄人向けの成長だ。


「黒木さんのギムレット技能ではなくてステータスか」

「……妖怪イチタリナイ対策。それに固定値は裏切らない」


なるほど、成長点25点でダイスの真ん中の数字である5が判定に上乗せされるので、確かに強いかもしれない。

ところで妖怪イチタリナイってなんなのだろう。


「シェイクステアは【交渉術】と【武具回避の心得】を取得」


宇和島先輩も順当にシェイクステアを強化した。

交渉事が多くなると踏んで【交渉術】入れてくれたのは、さすが宇和島先輩だ。

これで心置きなく難易度があげれられる。


「了解しました。それじゃあ、キャラクターが増えたことでシナリオ敵の数とか少しいじりますので、休憩後セッション開始でお願いします」


かくして俺はシナリオの調整に入り、ほかのプレイヤーは休憩として飲み物を買いに出たり、お菓子の追加を買いに行ったりと移動した。


「ねえ、ちょっといい?」


人の減った会議室。一人残った須山さんが俺に声をかけてきた。


「どうしたんですか?」

「ちょっとね。相談したいことがあるのよ」


そう、彼女は口を開いた。

登場人物メモ(new)


シャンディ 


薬草使いから、諸事情で弓使いとなった女性。

名前の由来はシャンディガフから。



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