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1話

春。

高校の入学式。

俺、西山翔太は高校デビューをする。実は中学生時代までは陰キャで、友達が一人もおらず、話しかけられたことがない。それが日常だった。だが、あるときふと、こんな考えが浮かんできた。こんな地味で意味のない学生生活を送っていていいのか、と。だが、中学でいきなり陽キャになるのは周りの反応などがあり、ハードルが高い。だから、高校入学と同時に俺は陽キャになる。その為に、県外の高校を選び、人気モデルなどの姿勢や雰囲気、話し方などを特訓してきた。大丈夫。大丈夫。なんとかなる。そうぼんやり歩いていていた。

「きゃーーー」

なんか叫び声が聞こえる。ん?叫び声?その声は上から聞こえる。そして、上を向くと、眩しい太陽のど真ん中に人がいた。よくよく見ると女の子。そう。女の子が降ってきた。

女の子が地面に直撃した。痛そうだ。

「あの、大丈夫ですか?」

俺がそう話しかけると女の子が起き上がった。地面に直撃したのに、なんで起き上がれるんだ?この子、もしかしてやばい子なのかもしれない。

「おはようございます。」

…。えっ?今この子挨拶した?空から降ってきて普通に挨拶できるとか本当にこの子ヤバいぞ。

「あの、どうかされました?」

「えっ、あぁ、ごめん。えっと、おはよう。なんで空から降ってきたの?」

「空から降ってきた理由ですか?えぇっと、なんでしたっけ?忘れてしまいました。」

こんな重大なことを忘れるなんて、本当にこの子大丈夫か?しかもその子全く怪我もしていなければ、制服だって汚れていない。なんでだ?空から落ちたんだぞ?この子、頭だけじゃなくて、体までおかしいのか?

「その制服、山高ですよね?私も同じ高校に入学するんですよ。先輩?それとも同学年?どちらですか?」

「同学年だよ。」

なんか、普通の会話している。空から降ってきた件に関しては触れられたくないってことなのか?だとしたら、気にしないであげよう。

「そうでしたか。同学年ですか。これからよろしくお願いします。私の名前は天宮茜です。あなたの名前はなんて言うんですか?」

「俺は西山翔太。こちらこそよろしくな。」

やっぱり、空から降ってきたことは衝撃的すぎて気になる。他のこと考えて、このことを考えないようにしないと。

「あの、早くしないと、入学式遅れちゃいますよ?」

よくついさっき会った人とこんなに気軽に話しかけられるな。しかも、空から降ってきて。まず、確実なのは天宮茜さんは普通の人間じゃない。まず、普通の人間は空から降ってこないし、空から降ってきて、無傷な訳がない。普通なら死んでいるくらいだ。そして、空から降ってきた理由を覚えていないなんて、あんな大胆な行動を起こした理由なんて、そう簡単には忘れられないはず。寝坊したといても、普通は走ってくるだろうし、いや、寝坊はないな。身だしなみがきちんと整っている。実に、ミステリーガールだ。

そんなことを考えている間に、学校に着いてしまった。そして、学校に着いたときには、ミステリーガールは俺の視界から消えていた。俺は靴を履き替えて、クラス発表のや紙を見ていた。クラスは7クラスまであった。結構多いな。いや、高校だったら、このくらいか。中学は田舎だったしな。俺は何クラスだろう。1組から順に見ていった。そして、俺は1番端の7組だった。教室に移動すると、すでに結構な人がいて、なんとも入りづらい。そんな中、俺の視界に入ったのは、今朝会ったミステリーガールだ。同じクラスだったのか。しかも隣の席。俺の席は窓側の隅の席。1番端のクラスの1番端って面白いな。どんな偶然だ。1人で少し笑っていると、ミステリーガールが話しかけてきた。

「西山さんは知り合いいますか?」

「いや、残念ながら、俺は県外の中学でな、知り合いはミス、君だけだ。」

危ない、危ない。本人の前でミステリーガールなんて言ったら、失礼だし、変人に思われる。普通の人も嫌だけど、変人に変人扱いされるのはもっと嫌だからな。

「君は俺以外に知り合いいるのか?」

「いえ、私も県外から来たので、知り合いは西山さんだけです。」

この子も県外から来たのか。今日の朝のはヘリコプターから降りてきたとか?でも、それなら、パラシュートを使うはずだし、しかも、ヘリコプターの音なんて、一度も聞いていない。まぁ、俺はぼんやりしていたのだが。あんまり、沈黙が長く続くと空気が悪くなってしまう。

「なら、天宮さんと俺は同類だね。」

「同類。」

もしかして、俺と一緒にされたの嫌だったのか?だったら、謝らなくては。

「ごめん。もしかして、俺と一緒にされたの嫌だった?」

「いえ、そんなことありません。ただ、誰かが仲間に入れてくれたのは初めてで、とても、嬉しいです。」

この子よく見たら、すごい美人だ。こんな子が空から降ってくるなんて信じられない。

「あの、私他の人に声掛けてみますね。」

「えっ、あぁ。またな。」

1人になってしまった。誰かに声掛けてみるか。でも、ぼっちが調子に乗るなとか言われたら、終わりだな。俺の学校生活いじめで終わるぞ。でも、そんなことしていたら、特訓していたことが全て水の泡になってしまう。その為には、まず、勇気を出さないとな。安全そうなグループ探して、そのグループに入れてもらおう。すると、明るくて、優しそうなグループを見つけた。あのグループに声をかけてみよう。

「あの、」

そう一声掛けただけで、みんな俺を見てくれた。緊張する。でも、特訓したから、大丈夫。

「初めまして。西山翔太と言います。よろしくお願いします。」

自己紹介はできた。でも、ひかれたらどうしよう。

「よろしく。僕は坂山隼人。隼人って呼んでね。僕も、翔太って呼ぶね。」

そう言って、隼人は爽やかイケメンのスキル爽やかスマイルを見せつけた。これが本当のリア充であり、陽キャ。レベル高。

「俺は中井秀。俺も、秀って呼んで。俺も隼人と同じで翔太って呼ぶわ。」

秀はスポーツ万能のちょいヤンチャタイプな奴か。トラブルとかすぐ起こしそう。

「俺は七瀬遼。遼って呼んでくれ。俺も翔太って呼ぶ。」

この人はちょっと陰キャ寄りの陽キャグループにいるタイプの奴か。こう言うタイプは面倒臭がり屋が多いんだよな。でも、タイプが違う奴しかいないグループだな。面白そうだ。

「でさでさ、翔太はこのクラスの女子どう思う?」

そう言って秀が俺の肩を組んできた。どうやら、グループへの加盟はうまく言ったようだ。でも、ここから、追い出されないように、気を付けないと。って待て、女子?女子なんてミステリーガールしか見てないぞ。そして、辺りを見回した。レベルが高い方だと思う。

「結構レベル高い子が多いと思う。」

「じゃさじゃさ、誰が1番可愛いと思う?」

なんだその質問は。俺は女子に興味がないし、興味を持てる気がしない。

「えっと、よく分からないや。」

「なんだよ。翔太は女子に興味がないのか?」

「うん、まぁ。」

「なんだよ、翔太は顔イケてるのにさ。」

顔イケてるなんて初めて言われた。そうか。俺顔いい方なんだ。

「俺の推しはやっぱり…」

名前を言おうとしたとき、隼人が止めにかかった。

「その辺にしておいたほうがいいよ、秀。」

出たー。グループをまとめる役割を持つ爽やかイケメン君。

「へいへい、みんなの学校の王子隼人様に逆らったら、あとで女子が俺にどんなことをしてくるかわかったもんじゃないからな。」

「ふざけてないで、入学式行くよ。」

こうして、なんとか無事陽キャグループに入って入学式の目標が達成された。あとは入学式をパパッと終わらせて、帰るだけだ。そう思って体育館に移動した。

「続きまして、新入生代表西山翔太さん。」

ん?今俺の名前が呼ばれたような気がする。いや、呼ばれた。俺新入生代表だったのか⁉︎


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