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B・レイズ  作者: 島津 高志
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第三話 教授との交渉

埼玉県に本拠地を置くバスケットボールのクラブチーム“埼玉ブルーブレイズ”。


埼玉ブルーブレイズは今、チーム存続の危機に立たされていた。


そんな、状況を打開しようと、ある選手が知り合いの男をチームにスタッフとして呼ぼうとしていたが、その男は学生であるが故に半年間の休学を取らなくてはならなかった。


男は許可をもらうべく、教授の元へ向かおうとしていた…

仙台市の繁華街から少し離れた場所にある“青葉台大学”


現在は試験期間も終わり、普段と比べて学生が少なかった。そんな中、蔵之介はある学棟を訪れていた。


「はぁ…」


蔵之介は教授室の前に立ってため息を吐いた。


(駄目って事は無いだろうが、半年も休むとなると流石のあの教授ひとも難色を示すだろうな…まぁ、グダグダ考えても仕方ないか。)


覚悟を決め、扉を三回軽く叩いた。


「失礼します。」


すると、扉の向こう側から声がする。


「どうぞ。」


返事があったので、蔵之介は扉を開けて中に入った。教授室の中にはパソコンとにらめっこしている男がいた。この男が蔵之介のゼミナールを担当している教授の中谷芳郎である。


「お邪魔します、中谷教授。」


中谷は蔵之介のいる方へ振り向く。


「おお、本条君ではないか。」


「テストの採点中でしたか?」


「うん。ついさっき終わったところだよ。ところで、夏休みに入って私の所へくると言う事は、何か用かな?」


「ええ、おりいってご相談がありまして。…あ、そうだ。」


蔵之介は左手に持っていた紙袋を中谷教授に差し出す。


「お菓子を買ってきたので食べますか?」


「おお。じゃあ、アイスコーヒーでも入れるからちょっと待ってて。」


「どうも。」


蔵之介は教授の一角にあるテーブルの上に買ってきたお菓子を並べる。すると、すぐに中谷教授がアイスコーヒーを持ってきた。


「さて、その相談とやらを聞かせてもらおうか?」


「ええ。」


蔵之介と中谷教授は向かい合わせになるようにテーブルの座席に着いた。そして、蔵之介は事の顛末を話した。


「なるほど。それで、チームの再建のために君に白羽の矢が立った訳か。」


「再建なんてたいそれた事ではありませんよ。それで相談といのが、夏休み終了後も半年間ほど休学させていただけないでしょうか?と言う事なのですが…」


「うん。いいよ。」


「まぁ、半年間は無茶ですよね…って、ええっ!?」


予想外の返答に蔵之介は驚く。そして、中谷教授に詰め寄り顔を近づける。


「な、な、なんでですか!?」


「近い近い。」


「あ、すんません。…っていうか、本当に良いんですか?半年間も大学不在になっても?」


「別に構わないよ。それに、君の事だ。卒業に必要な単位はもうほとんど取っているのだろう?」


「ええ、まぁ。」


「なら問題はなかろう。」


「…はぁ。」


蔵之介は拍子抜けしてしまった。


「あ、そうだ!」


中谷教授は何かを思い出したかの様に声を挙げる。


「休学扱いじゃなくて、もっと良い方法があるぞ。」


「…え?」


「インターンシップにすればいいじゃないか。」


「インターンシップですか?」


「うん。」


「そんな事できるんですか?」


「実際にバイトとして働く事となっていたのだろう?」


「まぁ、それはそうですが…でも、良いんですか?将来的に行くかわからない職場の職業体験なんて。」


「それは全然問題ないさ。本当にインターンシップに行く子は、わからない仕事をして、今後その道を進むか、違う道にするか見極めるのだから。それに、君自身もやっていくうちに、その道へ進みたいという事になりうるしな。」


「はぁ。」


「さて、となれば善は急げだ。早速、手続きを進めよう。学校の方には私から話をしておくから、君はその友人に話をしておきなさい。」


「わかりました。」


蔵之介は頭を下げる。


「お手数をおかけすることになりますが、お願いいたします。」


「気にすることは無い。生徒の手助けをするのが、教員の仕事だ。」


「ありがとうございます。」


「ただし、報告はしっかりしてもらうよ。それと…」


「はい?」


にこやかだった中谷教授が真剣な眼差しで蔵之介を見る。


「もしそのクラブチームが上部に昇格できなかったら卒業させないから、そのつもりでやりたまえ。」


「っ!?」


しばらく空間が固まったような雰囲気になる。


「…なーんて、冗談だよ、冗談。はっはっはっ!」


「は、はぁ…」(いや、あんたなら本気(マジ)でやりかねんから笑えんぞっ!)


中谷教授の豪快な笑いを他所に、蔵之介は心の中でツッコミをしていた。


「では、これにて失礼します。」


「ああ。お菓子ありがとね。美味しかったよ。」


「…どうも。」


そして、中谷教授との話が終わると、蔵之介は教授の部屋を出てすぐに順平に連絡を入れる。


『もしもし。蔵か?』


「ああ、俺だ。例の件、話がついたぞ。」


『それで、どうなった?』


「休みは取れなかった。たが、半年間そっちに居れる事になった。」


『どういう事だ?』


「いやなに、教授が機転を効かせてくれてな、インターンシップとして扱ってくれるらしい。」


『なるほど。』


「それでだ…近い内にうちの大学から、インターン斡旋の連絡が行くと思うから、事前に八十の方からお偉いさんに話をつけといてくれ。」


『わかった。』


「とりあえず俺は、仙台こっちで用事が済んだら帰るから、色々と詳しい話はその時にしよう。」


『ああ。』


「それじゃ…」


『なぁ、蔵。』


「ん?どうした?」


『ありがとな。』


「礼はいい。…またな。」


『あぁ。』


蔵之介は通話切った。そして、しばらくスマホを眺めていた。


「…やれやれ、思ったより大変になりそうだな。」


蔵之介はスマホをズボンのポケットのしまうと、大学を後にしていくのであった。

今回、初登場となる中谷教授はぶっちゃけ、トンデモ教授です。


愛車はエボⅨという、謎の設定があったりなかったり。


ジョージにCVさせてぇなぁ…

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