一人目
『剣は折れた。希望も消え、深い絶望がこちらを覗いている。もう出来ることは何もない。驚くほどあっけない最後だった。』
(今のはなんだ?)
不思議な夢を見た。そんな気がした。でも、そんなことはどうでもいい。俺にはやらければならないことがある。かかっていた毛布を蹴飛ばし、急いで着替えた。約束の時間まであと、5分だ。荷物を持って足早に部屋をでた。メインストリートを急ぎ足で進んで行き、目的の場所までたどり着いた。残り2分。準備を済ませるのに1分。およそ時間道理だ。向のビルに相手が現れた。引きがねを引いた。これで、時間ちょうど。硝煙の匂いの立ち込める部屋からは空虚な雰囲気で満ちていた。
「22時24分、終了」
いつも道理だ。
「いや~、すごいね~」
陽気な声で話かけてくる男に驚いた。まるで、気づかなかった。
「さすがは、世界最高の殺し屋だね~」
「あんたは誰だ」
「おっ、殺しに来ないんですか?」
「そんな、無意味なことはしない。後ろを取られた時点で俺とあんたの実力差ははっきりした」
「賢いね~、確かに僕はここにくるまでに罠は全部はずしたからね~」
「それで、あんたの要求は何だ」
「そうだね、本題に入ろうか。ある人物を殺して欲しいんだ。情報は後で送るよ。」
「分かった」
後片付けも済んだ。ゆっくりと俺は歩きだした。建物を出た後にも男の言ったあの言葉がどうしても気になっていた。
「今度は、あっけない最後じゃないといいね。」