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おくりもの

作者: 大和佳寿
掲載日:2017/05/19


今、山中に立っているのは誰だ。


その人は見上げている。


見上げれば眩しく映る曇り空。


雪が降りそうだ。


白いワイシャツを通して肌に凍える風が触れる。


目の前は白い霧、微かに奥の山が見える。


その人の周りには草が生い茂っている。


他の人はいない。


その人だけだ。


その人は腰の高さほどある歪な岩に座り俯いた。


その人は頭の中で過去の走馬灯を描いていた。


寒さでその人は震える自分を抱き締めた。


ふと、その人は正面を向いた。


目の前も周りも白い空間が続く。


どのくらい時間が経っただろう。


その人は右の手首に目を向ける。


着けていたはずの時計がない。


ポケットにあるはずの財布や鍵も入っている感覚がない。


今のその人には何もない。


そう、ない。


あるのは体と服だけ。


今、この時にはその人自身の思い出も忘れ始めている。


身長と歳は...歳ってなんだ。


考えていたが、やがてそれも止めた。


気がつくとその人は裸になっていた。


最早、今のその人にとってはどうでもよかった。


考えるのを止めたその人は戯言を呟き始める。


空、自由、鳥、光、水、輝き、夢...。


覚えている限りの単語を言葉に並べた。


不意にその人は呟くのを止めた。


そして、虚ろな表情で呟いた。


「誰だ...この...」。


もうその人にとっては自分がどうでもよくなっていた。


名前を忘れたその人は座っている岩の上で横になり、両目を閉じた。


しばらくして、その人はもうその人ではなくなっていた。














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― 新着の感想 ―
[良い点] 面白い題材だと思います。 [気になる点] 無駄な文章が多い気がします。 [一言] すごく面白そうな題材に感じます。 それゆえに言葉が重複していたりするのがもったいないです。 例えば、上…
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