魔法の才能が無い?
「魔法の適正測定ですか?」
5才になった直後、家庭教師をつけられた。
魔法を専門に教えるらしいのだが、その一日目で測定するらしい。
「そうだ。この水晶に手をかざしなさい。それで結果が出ます。」
どうやら結果次第で教えるものが違うようだ。
言われるがままに手をかざしてみる。
水晶がキラキラと光り始める。
色的に青、黄、黒の三色がそれぞれ光っている。
しかしどれも弱々しく、夜中に灯す小さな蝋燭よりも暗い。
「フッ、これがアルフォード家次男ですか。二度と私の時間を無駄にしないでください。」
鼻で笑われた挙句、教師は帰ってしまうようだ。
いくら何でも失礼だと思ったが、原因が分からないので口出しも出来ない。
背後にいた母さんと父さんが少し悲しそうに見える。
空気が悪くなったので、適当に言い訳をつけて、自室に戻った。
手をかざし、詠唱するとシシリーが姿を現す。
この数年本当にお世話になった。ていうかこれからも世話になり続ける予感がする。
「なあ、あれってどういうことだったんだ?」
「あーあれですねー、一般的には魔法の才能が無いって見られるんですよ。」
「才能が無い?」
水晶に手をかざしただけでそこまで分かるのか。
「ははは、エル様に魔法の才能が無かったらみんな才能が無いことになりますよ。」
苦笑いで答えるシシリー。
呼び方がエルダー様からエル様に変わっているのはそう呼ぶように要求したからだ。
少なくても今は「エル」という名前だからな。
シシリーが魔法で壁に絵を描く。紙に書くのが面倒だというのが理由だそうだ。
描かれたのは正六角形だ。その頂点にそれぞれ字が書かれている。
「そういえば今まで魔法の説明してませんでしたね。いい機会なので全部教えますよ」
こうして魔法のお勉強が始まる。