虚像虚弱病の生産工場
「わが社の見学希望者でしょうか。そうですか、では此方に。わが社は自然保護や動物愛護といった分野まで、幅広に手を広げております」
膨大な土地に、人が人が。なんというか、ちゃんと整列して不揃いに並べられている。通交には不便がないように配慮されながら、大きなハサミ。それを使って腕を切り取ってはかごの中へ、腕を切り取ってはかごの中へ、かごがいっぱいになると、それを違うところに運んでいく。
運ばれたそれらは、機械の中に入れられて。あぁ、後は全自動生産である。その機械からは赤い液体が出てくるので、他の機械がペットボトルに詰め込んでいく。それを梱包して、最終的には誰かの元へと届くのだ。
「このように、安定した生産をしています」
次に向かった場所には、人間の生首。いや、違う違う。首から下は地面に埋められているだけだ。細いチューブを口の中に突っ込まれて、何かの液体を無理矢理詰め込まれている。そんな光景をちらほらと、一人一人を管理するかのように、丸い何かがグルグルと。
腹を引き裂かれて、製品を製品を取り出された後は、知らない、知らない。何故なら残りは要らないから、それ以外は要らないんだ。思想も感情も感覚も意志も、都合よくここは声が避けてくれるんだ。
「このように、完璧な生産をしています」
後は、火力発電所。人が燃える臭いが、とてつもない臭いだ。この工場の動力源として、それを動力源として、それをするためにエゴだ、エゴだ、エゴだ、わがままなんだ、否定、拒絶。受け入れられない
「では、肉食動物が草食動物を食べることを。草食動物が植物を食べることを、罪と弾圧しますか。いえ、仕方ないことなのです。あなた達もしかたないことだったのです」
それでも、言い直す。身勝手過ぎて、バカらしいから。
「私達は自然保護や動物愛護といった活動をしています。もし、私達の事を身勝手と言うのでしたら、自らを良く考えてから発言してください」