Epilogue
「じゃあね、死なない程度に楽しみな。たまには顔を見せるんだよ。」
海風の中、ロゼリアが2人の若者の旅を見送る。
シンたちは一度エジノバに帰ったが、そこでロゼリアは本職の術式研究職兼術式医師に戻るという。
「さぼっちまったからねえ。患者がたまってないと良いんだけど。」
頭を掻きながらロゼリアが言う。
「ロゼ、本当にありがとう。」
シンが目を細めて言う。ロゼリアは少し照れくさそうにした。
「はん、まあ私も術式医術が上達したよ。まあ、あんたを診るのはもう最後にしたいね。大けがして治療してくれなんてごめんだよ。」
シンは苦笑で返した。
エドナもロゼリアに分かれの言葉を告げる。
「ロゼさん、いろいろ、本当にありがとうございました。研究がんばってください。」
「全くなんだい改まって。まるで一生の別れみたいに言うじゃないか。」
ロゼリアは呆れ顔で返し、エドナの耳元に顔を近づけて囁く。
「また進展を聞かせておくれよ。」
エドナは慌てて叫ぶ。
「ロゼさんっ!!」
街門まで二人を見送り、ロゼリアは二人が門から出ていくのを見送った。
完全に門が閉まってからも少しの間動けずに立ち尽くし、感慨に浸っていた。
行ってしまった。嵐のような数日間だった。
「沢山、経験しな。」
小さくつぶやき、踵を返して自宅へ戻っていった。
「シン様!この木の実食べられますか?」
エドナが元気に聞く。
「たべられるよー。」
シンはのんびりと答える。
「おいしくないけど。」
どちらかといえばそちらを先に言ってほしかった。
木の実を頬張った直後、エドナは悶えた。
エジノバから歩いて海沿いの隣街へ向かう。
馬車を使ってもいいが、歩いても高々2日で行ける距離なので景色や自然を楽しむために徒歩を選んだ。
なにしろ、時間はたっぷりあるのだ。
これからも、出会うもの一つ一つを楽しもう。
沢山見て、聞いて、感じよう。
行こうとすれば何処へだって行ける。生きようとして生きられたのだから。
シンは空を見上げた。
青い空の中を、雲が自分たちを先導するかのように流れていく。
旅はまだまだ始まったばかりだ。
さあ、どこへだって行こう。
ふたりの旅は、まだまだ続きます。




