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5 予知する電話の話


 家の電話のベルが鳴る前に、電話の着信に気づくことがよくありますよね。

 「電話が来るよ」と予言するとまぁ、100パーセントの確率で電話が来ました。

 大体二~三秒後に電気が光りベルが鳴ります。

 どうも耳がいいというか雑音をよく拾う性質でしたので、何か機械の作動音を察知していたようですが。

 まぁ、全てに気づくわけではないのですが、その場にいれば、八割は超えるくらいの精度でしたね。

 

 しかしながら、機械音では説明のつかない電話予知も何度かありまして。

 

 記憶に残る一番最初の電話予知は、以前にも話題に挙げた曽祖母の訃報でした。

 リビングで遊んでいると、突然動きを止め「お母さん、電話が来るよ」と言ったそうです。

 そしてしばらくしてから鳴り出す電話。曽祖母の訃報でした。

 

 二度目は祖父の訃報。

 もともと具合を悪くして入院中でしたし、余命三カ月を宣告されてから三年生きた人でした。

 母は向こうの病院と家を行ったり来たりしていましたし、正直にいえばいつ死んでもおかしくはなかったのです。

 ですが、一時危険だった容態が落ち付き、母が家に帰ってきている時でした。

 夕食を食べていると突然、電話が来る!と強く感じたのです。

 とにかく電話が鳴るのが怖くて怖くて「電話に出ちゃダメ」と強く言いました。。

 いえ、もちろん家族はぽかんとしていましたよ。

 電話が来るのを予告することはあっても、出るなと言ったことなんてありませんでしたしね。

 ただ、とにかくその時は嫌な感じがしたのです。

 そして、いつもとは違いすぐには電話は鳴りません。

 凍りつく食卓。居た堪れなくなってきたころにようやく電話が鳴りました。

 祖父の容体が急変して亡くなったという知らせでした。

 

 「電話が来るよ。内容は聞きたくない」

 そう言うと、母は少し覚悟をしたようでした。

 中学時代の元同級生が交通事故で亡くなったという知らせでした。

 たいして仲のいい子ではありませんでしたし、高校に進学してすっかり疎遠になっていましたが、つい二週間ほど前に駅でばったりと顔を合わせ、久しぶりと挨拶したばかりでした。

 高々16歳で同級生が死んでしまったことも衝撃でしたが、電話の機械作動音ではない電話予知が訃報を知らせるものであると確信したことのほうが重大な出来事でした。

 

 四度目は祖母の訃報でした。

 休日に自分の部屋にいると、突然電話が来ると思ったのです。

 リビングに走り「電話が来るよ」と言うと、母はひどく自然に言いました。

 「そう、お祖母ちゃんね」と。

 父方の祖母がやはり末期の癌で入院していたのでした。

 

 

 しかしながら現在。

 最近、耳が悪くなったのか機械作動音による電話予知も五割を下回るようになりました。

 

 それでも、電話が鳴る音を恐ろしく感じるのです。


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