3 鳥の話
3 鳥の話
なぜかやたらと鳥と縁があります。
小学生の頃、下校途中に友だちと歩いていると、何かが空から落ちてきました。
ドサリと音を立てて目の前に出現したのは、半分つぶれたつやつやとした烏。
一応、死んでます。
え、これどこから落ちてきたの?と空を見上げても電柱も電線もありません。
突如として出現したカラスの死体。
凍りつく子供二人。
たぶん、突然死した烏が降ってきたのが真相でしょうが、一歩間違えば、その烏が直撃していたということに戦慄を覚えます。
そして、その後の友だちを驚愕させた行動。
何を思ったのかその烏の足をむんずとつかみ、そのまま道路の真ん中から脇へと移動。造成地の草むらに放り込むと一仕事終えた気分で友だちを振り返りました。
その時見た、まるで化け物を見るかのような友だちの目が忘れられません。
烏って近くで見ると結構大きいし重いんですね。
鳥が落ちてきた話をもう一つ。
片側は住宅の裏手、もう片側は雑木林の細い裏道を歩いていた時のこと。
近くで鶯の鳴き声が聞こえていました。
まだ若く鳴き方が下手で、やたらとケキョケキョケキョと泣いていました。
ボキリと突然木が折れる音とともに、枝とみすぼらしい鳥が目の前に転がり落ちてきました。
そして目の前で、ホー…ケチョとなく鳥。鶯でした。
何となくそれまで鶯の外見のイメージはメジロだったので、地味にショックでした。かわいくない。
さらに鳥が落ちてきた話を。
木が生い茂る川べりを自転車ではしっていた時のこと。
突然、頭上から拳よりふた回りくらい小さい暖かくてほよんとしたボールが落ちてきて額の上部にぶつかりました。
驚いてバランスを崩し、思いっきり蛇行します。
何とか転ぶこともなく止まると、前かごに入れてあったカバンの上に置いてあった毛糸の帽子の中に何かが蠢いていました。
ピーピー鳴いている時点で正体は薄々気付いたのですが、帽子をひっくり返すと案の定、雀がコロンと転がり出てきました。
雀はすぐに飛び去ったので、大した怪我もなかったようですが、いやぁ、本当にびっくりしました。
ツバメに後ろから追突されたこともあるし、走行中の自転車の前かごにムックルじゃなかった、ムクドリが不時着しそのまましばらく運んだこともありました。
しかもツバメに体当られたのは一度ではありません。
飛行中の烏を叩き落としたこともありました。
威嚇のつもりだったのか、それともただ通り過ぎるだけのつもりだったのか、顔のすぐ横を通り抜けようとした烏を思わず叩いてしましました。反射的に。
よく蜂なども叩き落してしまっていたのですが、あんな大物は初めてでした。
叩き落とされた烏も地面に座り込んでキョトンと何が起こったのかわかりませんとばかりに首をかしげこちらを見ていました。
反射的に叩き落としてしまったものの、我に返ると烏が反撃を繰り出してくる前に、慌ててその場から駆け去りました。
着ていた上着を脱ぎ、かぶっていた帽子を脱ぎ、全力疾走。
烏の報復にはあいませんでした。
一年以上経ちましたが、未だにその道に烏がいるとビクリとします。
最後に、最新の鳥ネタ。
道路の真ん中にハトがいました。
向こうからトラックがやってきます。やってきます。
ハトの視線の先にはトラック。
間違いなくトラックを認識しているのにも関わらず、ぽっぽっぽと三歩動いただけでそれ以上移動しようとはしません。
その道路では以前、雀がトラックにひかれる瞬間を目撃していたので、またあの時の二の舞になるのかと思ったその時。
ハトはおもむろにその場に座り込みました。
流石にハトに気付きちょっと速度を落としたトラックがその上を通過して行きました。
トラックが通り過ぎた後、ハトは立ち上がり何事もなかったかのようにまたぽっぽっぽと歩きはじめました。
怖い。ハトが物慣れしすぎていて、怖い。