1 子供の頃の話
1 子供の頃の話
テレビの砂嵐を見るのが好きな子供でした。
別にそこに悪魔のメッセージを受信していたわけではないのですが。
何もない壁のちょっと手前の空間をじっと凝視している子供でした。
別にそこに目に見えない何かを見ていたわけではないのですが。
誰もいない空間に向かって一方的に会話をする子供でした。
別にそこに誰かがいたというわけではないのですが。
まぁ、そんな思わせぶりな子供だったのです。
どれもこれも何かを意図してやっていたわけではなく、ただ何となくそうであったわけですが、親からみればちょっと怖い子供ですよね。
やらかしたのは、曽祖母の葬儀の時でした。
たぶん、正確な歳は覚えていませんが、幼稚園児であったと思われます。
会った記憶も定かでない曽祖母の葬式なんて、まぁ他人ごとです。子供には退屈ですよね。
縁側で遊んでいたのですが、弔問客の何人かが時折構ってくれました。
葬儀も終わり、直会の席で私は問題発言をかましたそうです。。
曽祖母の遺影を指し、さっきこのおばあちゃんに遊んでもらったの、と。
その場はきっと凍りついたことでしょう。
もはや、その時の記憶はありません。
しかしながら未だに、四半世紀以上たった今でも親戚が神事で集まるとその事がまるで大層面白い話か何かのように話題に上るのです。
覚えていないのです。
もう、その話は勘弁してほしいと切実に思います。
元々怪しげな言動をしていた為に、この一件から母親に見鬼の疑いをかけられることになるのですが、私は幽霊なんて見た事ありませんってば。