中1 4月
こんな思いをするのはいつからだろうか…
それを鮮明に思い出す日が近いとは、私は知らなかった。
「サーーリンーー!」
大声で私のあだ名を呼びながら走ってくるのは、佐伯文夏。いつも元気に名前を叫んで走って来てくれる妹的な子だ。ちなみに私の名前は麻梨紗理奈だ。てか、サーリンと呼ぶのは文夏だけだけど…
「どうしたの?」
「あのねあのね!さっき成田に手振ったら、手振り返してくれたの!凄くない!?珍しくない?!」
と、こんな感じで休み時間は、いつも飛んで来てくれる。同じクラスなのに、大声で話しかけられて、みんなにだだ漏れなのだが。
「文夏…声大き過ぎてみんなに聞こえてるよ…」
「え!うそ!やば!!はずかし!成田君に聞こえてたらもっと恥ずかしい!!」
先ほどから出ている成田ってやつは成田廉と言って私が、小学校1年から7年間連続同じクラスという腐れ縁男子だ。
特別仲いいわけではないけど、悪くもない関係を保ち続けている。
こんなに話に出てくるが文夏は、成田の事好きなわけではないらしい。コミュ障のニジオタだから、話すこと自体が珍しいから、よく話に出てくるそうだ。
「もう、文夏の声廊下まで聞こえたよ?」
「本当だよー。隣のクラスまで聞こえてるかもよ?」
そんなこといいながら近づいて来たのは原田莉奈と栄美紀。クラスメイトで普通に話すぐらいの仲の2人だ。
文夏は、一方的に美紀のことが苦手とも聞いたことある。莉奈と美紀はいつも2人でいるイメージが強い。
「マジ!気をつけなきゃ…」
「「「その声もでかいって!」」」
こんな会話はいつものことだ。
私達も、周りのみんなも、これで笑い転げていつも通りチャイムがなり授業が始まる。
いつも変わらない。変わらないようにこんなに気を使かっているのは、私だけだ。変えることを怖がっているのも、私だけだ。