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silver bullet    作者: 流民
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1話

「あの日、あたしが見た物を、あたしは一生忘れないだろう……」


 暗闇に響き渡る銃声、この街ではけして珍しい物ではない。そんな日常と非日常とが交差する街。それが、このクルクスと言う街。そして今夜もヴァンパイアとそれを追うハンターとの熾烈な戦いは今日も繰り広げられている。

「こっちだ! その角を曲がった所の袋小路に追い詰めろ!」

 ハンター達のリーダー指示を送る。リーダーを始め精鋭一五人からなるヴァンパイアハンター達は、無駄のない動きでヴァンパイアを追い詰める。

「ついに追い詰めたぞ、セリェブロー! 今日がお前の命日だな」

 リーダーはセリェブローと呼ばれたバンパイアに銃口を向ける。セリェブローは赤く光る眼を向けたまま、とがった牙が少し見える口を少しいがませた様な笑みを浮かべる。

「撃て!」

 リーダーの命令の下、精鋭達は一斉にセリェブローに弾丸を撃ち込む。激しい銃撃の音と、溢れかえる硝煙の匂い、それに辺りに飛び散った弾があらゆるところに跳ね返り、その細かな破片が辺りに煙を立ち込めさせる。

「やったか?」

 銃撃の音が静まり返り、煙もだんだんと収まり、セリェブローのいたあたりのがはっきりと見えだす。

「奴は?」

 そこにはセリェブローの姿は見えない。

「挽肉にし過ぎちまいましたかね?」

 一人の部下の軽口に他の者もつられて笑うが、リーダーはそれを戒める。

「確認ができるまで気を抜くな!」

 リーダーがそう言ったその時、一陣の風が辺りを吹き抜ける。

 その瞬間、辺りに立っている部下たちは次々に苦しみながら倒れ込む。

「な!? い、いったい?」

「ふふふ、あなた方の弾は安物ですねー、これじゃ駄目です。こんな物じゃ私にはかすり傷もつける事は出来ませんよ」

 リーダーの背後でセリェブローの声が聞こえる。

「き、きさま! いったいどこに?」

 異様な気配に、背後を振り向くことも出来ずに声を上げるリーダー。

「ふふふ、あなた方の血などいりません。私が欲しいのはただ一人。メディウムの血のみ。あなた方にはここで消えてもらいます」

「メ、メディウム?」

 セリェブローはそっとリーダーに手をかざす。そのかざされた手は、生命を吸取るかのように、そのリーダーの肉体を干乾びさせ、終いには煙のように細かい塵になり、風に舞い街の闇に消えていく。

「ここにもいませんね……メディウム……どこにいるのでしょうか?」

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