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作者、創造中!  作者: 闍梨
第一章 主人公と荒くれのファンタジー
8/14

エレベーター!

『まず、話を進める前に言わなければならない事がある。いや、俺じゃない。ナレーション、及び作者と、こんなオチを、面白いかも! とか思ってしまった奴らに……言っておこう。

 あの終わりは無いだろ。鍵かっこの後ろ、付けないってある? 話をしているんだぜ? 最中だったよな? 強制終了だぜ? パソコンだって、ユーザーに怒る時代なんだよ。分かるか? オイ。それにな、俺は良かれと思って話をしていたんだ。それをあんな形にするなんてな。

 大体だぜ? 俺は主人公だろ。そりゃあ間違いねぇよな? ようし、皆もそう思うな。よし、ならいい。

 だがな、一つ注意して見てもらわねーと。しっかり言わねーと。この作者、馬鹿だからまーた同じことやっちまうんだよ。三歩歩いたら忘れるような鳥頭なんだよ。いや、この例えじゃー鳥さんに悪いな。訂正しよう。このイエスマンが! あぁ? 脳(NO)無しって意味だよ。分かれよ!

 まぁな、最近思ってたよ。こんな感じで進めて大丈夫なのかってな。そんな事だからお気に入り件数も、アクセス数も伸びないクソ作品になっちまうんだよ。え? メタ禁止? 知るか!

 はぁ〜。いい加減イイ歳なんだから分かれよって事なんだが、言わなきゃ分からないほど作者おまえは馬鹿なのか? 違うだろ。期待してるからこそだろ。汲んでくれよ。俺の気持ちをよォ。

 誰だって失敗する。これは当然の事だ。俺だって心得てるさ。作者が、理不尽に終わらせてみようとした。そのチャレンジ精神は確かに褒めてやるべき点だろう。だがな……だが、どんな時でも、どんな些細な事でも……こだわりを無くしちゃお終いなんだよ。分かってんのか?

 本当に分かったのか? よし、だったら再開しようじゃーねーか』


 終わりましたか?


「終わりましたか?」


『ああ、分かってもらえた筈だ。安心したよ』




 では、気を取り直して……。

 自動ドアをクリアした主人公の目の前に、新たな敵が現れた。


『これは……!』


 主人公の目の前には、カードキーが無ければ起動しないエレベーターが立ちはだかっていた。


『むむむ、ここでも足止めを食らうのかよー!』


 嫌に棒読みな主人公ではあるが、目の前の状況に頭を悩ませていた。


「さぁて、これをどうクリアしてみせる?」


『畜生、作者め! なんて設定を考えやがるんだっ!』


「わざとらしすぎるだろ」


『しかし、本当に困ったな。カードキー式にしてくるとは……。今回は真面目に頭を使わないとクリア出来そうにないな』


 主人公はエレベーターの前に仁王立ちし、左上を向いて考えた。


『うーん、まぁ大体答えは出てるんだよ』


「ほう? 優秀だな。聞こうか、その答え!」


『階段で行く』


 作者に電流走る……!


「階段は無しっ! 無しだっ!」


『考えてなかったのか……。階段の存在感の無さに合掌だな』


「とりあえず、階段は無しだ! いいな!」


『全く、しゃーねーなぁ。で? どうすりゃいいんだ』


「とりあえず、そこにあるボタンを押してくれ」


 主人公は言われるまま、上矢印が描かれたボタンを押した。


「ふふふ、主人公……ここから楽しみだな」


『不気味に笑いやがるなぁ、作者。一体何が待っていやがるってんだ』


「ふふっ、驚くなよ!」


 エレベーターが一階に到着し、ゆっくりとドアが開く。主人公はエレベーターの中を確認しながら言った。


『何も……無さそうだな』


「さあ、進め。主人公」


『アイアイ。了解了解』


 主人公がエレベーターに乗り込むと、ドアが急に閉じた。びっくりした主人公は、咄嗟に「開く」ボタンを押すが、ドアは御構い無しに閉じていった。


『おいっ! どうなっていやがる……はっ!』


 主人公は「開く」ボタンの上辺りに目をやった。普通のエレベーターなら行き先の階を示すボタンが、階数と同様にあるはずなのだが、このエレベーターは違っていた。


『ボタンが……無い!』


「さて、どうしようかな」


『作者! いきあたりばったりすぎるぞ!』


「まあ、今回は演出を頑張るつもりでの創造だからな」


『理由になってねーんだよ!』


「しかし、話は変わるがアレだな……。二十四時間ATMってカードの種類によっては二十四時間じゃ無いんだな」


『いきなりなんの話だ!』


「昨日さ、会社の帰りにコンビニに寄ったんだよ。でさ、面白そうな雑誌見つけたからレジに持って行ったんだよ」


『てめー作者ァ! 無視すんなよ!』


「財布開けて支払おうとしたら、残金二百円だったんだ。それで--」


『金を降ろそうとしたら、降ろせなかったと?』


「実は店員が知り合いで、『こんな本読むのかよ』って馬鹿にされてさぁ」


『あ、あれ?』


「面白いと思うんだけどなぁ……。オレンジページ」


『お前は主婦か!』


「ああ! こっちの店の方がネギが安い」


『だから主婦かっての!』


「私は汚れた女」


娼婦しょうふか!』


「ザクとは違うのだよ、ザクとは!」


『グフか! 正しくはランバ・ラルだが!』


「本日のスープには最高級の--」


『シェフか! もういいわ! 作者、認めろ……無理してつなぐ必要なんてないんだ』


 主人公は優しく微笑みながら、作者に言った。作者は少し沈黙してから、エレベーターに「5」と描かれたボタンを創造した。

 主人公はボタンを押して、エレベーターが動き出してから口を開いた。


『馬鹿め、作者よ。あんな台詞に騙されるとはな! 俺は図ったんだよ。いつもは言わねえような台詞を使ってお前を騙したのさ! ふははっはははははっははは!!!』


「……ふっふっふ。貴様こそ騙されたようだな」


『なっ、何ィィィ!?』


「貴様が、ボタンを押すことはもう分かっていた。だからそのボタンは俺が「押させた」んだよ。分かるか? 主人公」


『おい、まさか……。すげー地下に落ちて、チンチロリンとかやって人生を逆転させる有名な漫画の展開か!?』


 ざわ……

  ざわ……


「ふっふっふ……。もしそうだとしたら……?」


『ひいいいいいい! やめろっ! やめてくれええぇぇぇぇぇぇぇぇぇーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!』




 エレベーターは普通に、すんなりと、何の誤作動も無く、五階に止まった。


『…………』


「……どうした?」


『いや、何かよ……言ってて恥ずかしくなっちまってさ』


「奇遇だな。俺もだ」


『今回は、じゃあ、痛み分けってことで』


「次回からはいよいよ魔王だな」


『だから、今言うなよ!』


「次回からはいよいよ魔王だな」


『何故二回言った!?』


「次回からはいよいよ魔王だな」


『三回目!? まあ、いいか。そろそろキリがいいみたいだし、次回は魔王登場するのか』


 無理やりまとめ始めた主人公は、ずんずんと五階の廊下を進んだ。目の前には『501号室 魔王』とある。

 主人公は唾を飲み込み、インターホンに手を伸ばした。


『次回へ続く!』

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